人のために祈ると超健康になる! (米国医科大教授の革命的理論)  高橋 徳 (著)

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人のために祈ると超健康になる! (米国医科大教授の革命的理論)

「利他」の行動が効く! 

『汝の敵を愛せ、汝を迫害するもののために祈れ』(新約聖書・マタイ福音書)

宗教のなかには、しばしば、このような、一見、非合理と思える教えが存在します。なぜでしょうか?

その答えのカギは、今注目のホルモン「オキシトシン」にあります。オキシトシンは、ストレスに対抗するホルモンで、別名「愛のホルモン」とも呼ばれています。

その特長としては、「人から愛される」と、分泌されることがあります。

そして、さらに特筆すべきなのは、「人を愛する」ことでも、同様に分泌が高まるとわかってきたことです。他者のための行動、すなわち「利他の行動」が、オキシトシンを大きくふやすのです。

本書では、オキシトシンのふやし方をはじめ、「より健康になるための秘訣」や、「医学と宗教の関係」について、明快に解き明かしていきます。

迷い、悩み、うつや生活習慣病で悩んでいるかた、また生き方に悩んでいるかたにとって、苦しい現状を変えるきっかけになればと思います。

はじめに

2013年、私は、アメリカでの研究者としての生活に区切りをつけて帰国し、郷里の岐阜に「統合医療」のクリニックを開きました。

続いて、2016年には、名古屋市内に、同じく統合医療のクリニックを開院しました。

統合医療とは、近代西洋医学と、それを相補(補完)する関係にある代替療法、東洋医学などの伝統医学などを組み合わせた医療です。

元々、私は西洋医学の人間で、消化器を専門とする外科医でした。

しかし、日本に戻って、外科医をするつもりは全くありませんでした。私は、アメリカから帰国するまで、20年以上にわたり、研究者として西洋医学の研究を続けてきました。

日本に帰ったら、再び、臨床の現場に立ち、アメリカでの研究成果を生かしたいと考えたのです。

そして、その研究成果を実践する手段が、統合医療でした。西洋医学には、苦手とする症状や病気があります。

例えば、

・肩こり、首こりなどのこり全般

・頭痛、五十肩、腰痛、ひざ痛などの慢性疼痛

・めまい、耳鳴り、眼精疲労などの目や耳の症状

・手や足のしびれ

・過敏性大腸炎や便秘などの胃腸障害

・高血圧、糖尿病などの生活習慣病

・花粉症、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患

・不眠、不安、うつなどの精神症状

・頻尿、性力減退

・更年期障害、自律神経失調

こうした症状に対して、西洋医学は有効な対処法を打ち出せないことが、しばしばあります。

医師にこれらの疾患を訴え、検査をしても、「異常なし」「原因不明」といわれることが少なくありません。

結果として、何年、何十年と同じ症状に苦しめられたり、薬潰けとなり、何種類もの薬を長期間にわたって飲み続けたりしている人たちがいます。

こうした人たちの症状の改善に大きな力を発揮するのが、統合医療です。

私のクリニックでは、瞑想(腹式呼吸)やヨガ、気功、マッサージ、漢方、微弱電流、アロマセラピーなどの治療法を用いています。

これらの治療法を組み合わせることで、西洋医学が苦手としている多くの症状・病気を快方へと導くことができるのです。

これらの治療が効果をもたらす際、重要な働きを担っているものが、オキシトシンというホルモンです。

鍼灸、瞑想(深呼吸)やヨガ、気功、マッサージ、アロマセラピーなどが健康効果をもたらすとき、そのいずれの場合にも、オキシトシンが働いているのです。

オキシトシンは、かつては、「お母さんのホルモン」と考えられていました。

妊婦に分娩を促したり、出産のあとは、お乳の出をよくしたりするために働くことが知られていました。

しかし、研究の進展によって、オキシトシンは私たちの体を健康に保つうえで、非常に重要な役割を果たしていることががはっきりしてきました。

「お母さんのホルモン」以外にも、多くの作用を有しているのです。

これまで統合医療の効能については、長い間、「伝統医学だから効く」とか、「体験の積み重ねから導き出された療法だから効く」などといわれてきました。

つまり、西洋医学の側から見れば、エビデンス(科学的根拠)のない治療法と見なされてきたのです。

ところが、研究が進められるにつれて、こうした伝統医学の効能を、オキシトシンというホルモンから科学的に説明できるようになってきました。

統合医療は、今や、西洋医学的にも根拠のあることが証明されつつあります。

本書では、このオキシトシンのさまざまな働きをお話しして、日常生活でもオキシトシンを有効に働かせる方法を紹介したいと考えています。

本書には、もう1つ柱となるテーマがあります。

それが、医学と宗教との関係です。オキシトシンと神との関係についても、詳しくお話ししたいと思います。

私は、特定の宗教に帰依したことはありませんが、若いころから、宗教に関心があり、聖書や仏教書を読んだり、座禅や瞑想などを行ったりしてきました。

ただ、私の宗教に対する関心は、複雑なものでした。

宗教に強い興味を抱きつつ、同時に、反発も感じていたのです。例えば、新約聖書のマタイ福音書には、こうあります。

『汝の敵を愛せ、汝を迫害するもののために祈れ』

イエスのこうした教えには、納得しがたいものを感じていました。そんなことができるわけがない。あるいは、そんなことをして何になるのか。

キリスト教だけに限りません。宗教のなかには、しばしば、このような、一見、非合理と思える教えが存在します。

そこに、若かった私は反発しました。しかし、反発しながらも興味を失わず、それどころか惹かれ続けてきました。離れたいのに、離れられない。愛したいのに、愛するには抵抗がある。

それは、いわば、宙づりにされた、苦しい状態です。そのまま長い年月を過ごしてきたのです。

私は、西洋医学の研究者として、アメリカの大学でストレスの研究を行っていました。その過程で、オキシトシンと出合いました。

私にとって、オキシトシンとの出会いは、人生の転機といってよい大きな事件でした。

オキシトシンの研究を深めていくなかで、私は、自分自身が抱いてきたさまざまな宗教的な疑問にも答えることができるようになったのです。

なぜなら、

「オキシトシンは、神と人とをつなぐもの」でもあるからです。

さらに、

「なぜ、私たちは神に祈るのか」

「私たちは何のために生きるのか」

「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」

オキシトシンについて考えていくことで、このような根源的な問いについて答えるヒントも得られるのではないか。そう考えるようになりました。

そのうえ、私たちがよりよく生きるためのヒントをも与えてくれるはずです。

ですから、宗教やスピリチュアルな事柄に興味をお持ちのかたや、それだけでなく、かつての私のように、スピリチュアルな事柄に関心を持ちつつも、反発を感じているかたに、本書を読んでいただければ幸いです。

現代はストレス社会といわれ、多くのかたたちがストレスにさらされています。

そのなかで、迷い、悩み、うつや生活習慣病などの病気を発症する人もいるでしょう。

そうした病気に悩んでいるかた、薬がやめられないかた、また、生き方に悩んでいるかた、そんなかたたちにとって、本書が苦しい現状を変えるきっかけとなるのなら、これに優る喜びはありません。

2018年2月  高橋 徳

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