免疫を上げる食事や生活習慣から病院との付き合い方まで、アレルギーを解決するための秘訣を丁寧に詳しく教えます。
9歳までの4割がアレルギー体質!
「アレルギーは文明病」と私は常々断言してきましたが、その根拠の―つは、現代日本におけるアレルギー性疾患を患う人たちの多さにあります。
現在、日本国民の30%以上がアレルギー性疾患を抱えているといわれます。3人に1人という多さです。
この数だけでもびっくりしてしまうのに、1970年代に生まれた人は、88%もの人がアレルギー体質といいます。70年代とは、小さなお子さんを持つお母さんお父さん世代でしょう。
心配なのは子どもたちです。ある統計によれば、9歳までの子のうちすでに40%もの子が、なんらかのアレルギー症状に苦しんでいると推測されています。
2人に1人弱という、ものすごい数です。
そもそもアレルギーとは、免疫反応の―つです。
難しい話はおいおいするとして、免疫を一文で説明するならば、体内になんらかの病原体が入ってきたとき、それに対抗して体から排除しようとする防御機能のことです。
免疫が病原体と闘っているさなか、体には発熱やかゆみ、咳、鼻水など症状が現れます。
この免疫機能がまちがった反応を起こし、本来は無害なはずの物質に反応して、過敏に働いてしまうことがあります。これがアレルギーです。
アレルギーの原因物質は人によって異なり、総称してアレルゲンと呼びます。
一言でアレルギー性疾患といっても、アレルゲンも現れる症状も人によって違います。代表的なものが、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症などのアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなどです。
都会にいたらアレルギーは治らない?
アレルゲンも症状も人によって異なりますが、アレルギーの原点には免疫のまちがった反応があるのが共通の事実です。
免疫は私たちが生きていくうえで最も重要な体内システムであり、停止するのは、死を迎えるときです。
では、病気を防ぎ克服するための免疫システムが、なぜ人体に無害な物質に反応して私たちを苦しめるのか、理不尽な気もするでしょう。
私は「アレルギーは文明病です」といいました。
そして、「ここにアレルギー克服のカギが隠されている」とも断言しました。
その真意は「免疫システムにまちがった反応を起こさせているものが、文明社会の中にあふれている」ことにあります。
人類が知を駆使して「より便利に」と築いてきたものが、免疫のまちがった反応を呼び起こし、ひいてはアレルギーを招いているといっても過言ではないのです。
それならば、アレルギーを克服する確実な方法は、―つです。
文明社会から遠ざかることです。「なんて無謀な」と思われるでしょうが、私の友人には、子どもたちのためにこれをやってのけた人がいます。
彼は、東京都内の和尚さんでした。子どもが3人とも重症のアトピー性皮膚炎で悩んでいた彼は、私にアトピー克服のアドバイスを求めました。
その都度ていねいに答えていたつもりですが、症状が重く、なかなか改善の兆しを見せないので、「南の島へでも行ったらどうですか?一発で治りますよ」といってみたのです。
そうしたらある日、「和尚さんが寺を捨ててどこかへ行ってしまった。何か知っていますか?」と区役所から電話がありました。
10カ月後、和尚さんから手紙が届きました。
「屋久島で自然ガイドをやっているので、遊びにきてください」。行ってみたら、和尚さん一家は林を刈り込んだ場所に家を築き、電話線は引いているけれども、電気も火も水もすべて自
給自足という原始的な暮らしをしていました。
子どもたちの肌は、3人ともツルツル。あんなにひどかった症状が10カ月間で治ってしまっていたのです。
アレルギー克服の最大のカギは「褒めること」
アレルギー体質の改善には、睡眠と規則正しい生活が大きな意味を持ちます。
ただ、アレルギー体質の子は、つらい症状によって熟睡を邪魔されやすい、という難問があります。
アレルギー体質の子を持つお母さんたちにとって、ここが最も悩ましいところだと思います。
ぜんそくやアレルギー性鼻炎の子も、外遊びによってアレルゲンを吸いこんでしまい、症状がひどくなるという心配があると思います。
この場合も、子どもの状態を見ながら、適度に遊ばせてあげることです。
外遊びで大事なのは時間の長さではなく、子どもがいかに楽しく満足して遊べるかにあります。
日中外で遊べば、自律神経のバランスが整い、心身に適度の疲労感を与えられます。その疲労感が、心地よい睡眠を招き入れてくれるでしょう。
もう―つの提案は、スキンシップを大事にしてほしいということです。
お母さんとのスキンシップにより、子どもは「愛され大切にされている」という実感を得ます。
その安心感は、子どもからストレスを取り除き、免疫力を高めてくれます。
子どもをアレルギーから守る本 (だいわ文庫) | ||||
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