森下敬一 『食べもの健康法』●かぼちゃ
かぼちゃは救済食品の旗頭の一つである。
精が強く、穀物に不敵な土地にもよく生育し、かなりの収穫を上げることができる。
そのため開拓史に必ず登場する食物で、日本でも北海道の開拓地でコメのとれないところでは、カボチャを主食にしていた。
もっと記憶に新しいところでは、戦争中や終戦直後は、どこの家でも軒にタナをつくってかぼちゃのツルをはわせていたものだ。
それが、たわわに実をつけ、われわれ日本人を救ってくれた。
そんな大役を果たしえたということはカボチャに準主食としての適正があることを示している。
実際、炭水化物が豊富で、その質もいたってよろしい。それゆえ、体力を増し、虚弱体質を治す効果も著しい。
かぼちゃはまた、糖尿病の特効食品として民間療法では盛んに利用されている。
糖尿病は、精白食品、すなわち白米や白砂糖の摂りすぎでおこる。だから、これをやめ、良質の炭水化物食品、即ち玄米やかぼちゃなどの常食に切り替えれば、自然に治るもの。
もっとも糖尿病では物質代謝全体が混乱しているために、肥満ら精力減退がおこり、動脈硬化も必ず併発してくる。
だから自覚症状はともかく、突然死の恐れも濃厚だから、かぼちゃと共に胚芽・葉緑素・酵素などの体質改善食品を活用することも不可欠。
ともあれ、かぼちゃがと糖尿病に奏効するのは膵臓機能の復活を助けて、血糖値を正常化させるホルモン(インシュリン)の分泌をスムーズにするからだ。
また昔から冬至にかぼちゃを食べると「カゼを引かない」とか「中風にならない」とかいい伝えられている。
かぼちゃの果肉の黄色い色素はカロチノイド。これは体内でビタミンAの働きをする。
そしてビタミンAは、粘膜や皮膚の抵抗性を強化する働きをもっている。だから、かぼちゃを常食していると、カゼにかかりにくくなる。
また、かぼちゃは、炭水化物が主体の食品ゆえ、果物や生野菜のように体を冷やしすぎるマイナス面もなく、豊富なビタミンCはそっくり有効に生かされる。
Cは、血管を柔軟にし、肝臓が解毒作用を営む際に重要な役割を果たす。それゆえ、脳卒中を予防し中風すなわち半身不随にもならない、というわけ。
かぼちゃは夏野菜だが、保存がきくから自然のものを秋冬に食べることも可能だ。なお、かぼちゃの種は炒って食べられる。
これは、リノール酸や粗蛋白がたくさん含まれ、高血圧症に有効で、母乳の出もよくする。
また中国人に前立腺肥大がほとんど見られないのは彼らが実によくかぼちゃの種を食べているためだといわれている。
■かぼちゃのクリーム煮
材料(5人分)
・かぼちゃ・・・中1/4個
・玉ねぎ・・・小1個
・植物性バター・・・大さじ2
・地粉・・・大さじ5
・豆乳・・・1と1/2カップ
・ごま油・・・大さじ2
・自然塩・・・小さじ1
<作り方>
①かぼちゃは3cmくらいの角切りにし、ごま油で炒め、ひたひたの水を加えて串が通るまで煮ます。
②玉ねぎはみじん切りにし、植物性バターでよく炒め、地粉を加えて、焦がさないように炒め、豆乳を温めて、少しずつ加えて練り、ホワイトクリームをつくります。
③ ①に②を注ぎ込み、塩で調味して、弱火でゆっくり煮込みます。かぼちゃを煮くずさないように、きれいに仕上げましょう。
■かぼちゃジャム
材料
・かぼちゃ・・・400g
・梅干し・・・2個
・米飴・・・大さじ2
・自然塩・・・少々
・シナモン・・・少々
<作り方>
かぼちゃを蒸してつぶし、梅干しも種を取ってみじん切り、水飴も加えて火にかけ、弱火で練り上げ、塩とシナモンを混ぜます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。