乳製品の消費量と乳がんの発生率の関係【乳がんと手当て法】

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磯貝昌寛の正食医学【第57回】 乳がん

乳がんと乳製品

1990年代、世界40ヵ国で国ごとの乳・乳製品の消費量と乳がんの発生率の関係を調べた研究があります(2005年Medical Hypotheses「乳がんと牛乳」ジェイン・プラント著/佐藤章夫訳)。

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この図からわかるように、乳製品の摂取量が増えると乳がんになるリスクが高まります。

過去6千人以上の食養相談をさせていただいた中で、3人に1人ががんの方であり、がんの食養相談でもっとも多いのが乳がんでした。

私の経験でも、乳がんになる方は総じて乳製品の摂取が多い。乳製品は牛乳として飲まれるだけでなく、バター、チーズ、クリーム、ヨーグルト、粉ミルク、練乳など、多種多様な食品に使われています。

現代人は、乳製品を食べているという自覚なしに、乳製品を口にしています。さらにケーキや菓子パン、様々な洋菓子類には乳製品と一緒に砂糖、人工甘味料、鶏卵などが使われています。

現代の酪農は、ホルモン剤と抗生物質抜きには成り立たたず、現代人は乳製品を通してその影響下にあります。

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乳がんの陰陽

体の上部にできるがんは下部にできるがんと比べると陰性という見方をします。

子宮がんや大腸がんに比べて乳がんや肺がんは陰性です。また、体の左側にできるがんは、右側にできるがんよりも陰性という見方をします。

肝臓がんに比べてすい臓がんの方が陰性と考えます。

したがって、右の乳房にできるがんよりも左の乳房にできるがんの方が陰性、ということになります。

がんだけでなく、様々な疾患でも発症する部位による陰陽があります。

しかし、もっと大局的にみると、がんそのものが動物性食品の摂取から来ている。現代のがんの多くが動物性食品の摂取過剰から来ていると、正食療法を通しても実感しています。

がんにはベースに動物性食品があり、その中で細かな陰陽があると考えた方がいいでしょう。

乳がんが大腸がんや子宮がんに比べて陰性とはいっても、動物食がベースでできているので、正食療法でも過去に摂った動物性の分解排毒を促す陰性な食品を摂った方がいいのです。

乳がんはシコリの硬さで陰陽を観ます。

硬さが強くなればなるほど陽性で、陰性が強くなればなるほど崩壊浸潤していきます。シコリは硬いけれど、多発的に転移する場合は陽性と共に陰性もあると考えます。

乳製品は他の食品に比べて、ミルクそのもので摂るのとチーズやバターにして摂るのでは陰陽が大きく違います。

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チーズそのものでも柔らかいものから硬いものまで陰陽様々です。さらに、洋菓子になって砂糖や鶏卵など陰陽の強い食品と抱き合うことで、病状をさらに複雑なものとします。

乳がんの食箋

がんの食箋では多くの場合、無塩食をすすめることが多くなりました。

無塩食料理は、塩、醤油、味噌など、天然のものであっても塩分を一切使わない調理法です。がんの陰陽の度合いを観て、無塩食の期間をどの程度行うか、調理の火の入れ方をどの程度にするか、陰陽の食材の選び方などで調理の陰陽をはかります。

多くの場合、無塩食は一時的ですが、陽性の度合いが強い場合はかなり長い期間に及ぶこともあります。

乳がんでの無塩食に関しては、大腸がんや前立腺がんなど陽性の強いがんに比べれば、無塩食の実践期間は月に数日間の場合がほとんどです。

また、排毒反応として強い症状が出たとき、一時的に数週間無塩食になることもあります。

無塩食の実践は、塩が体に悪いから摂らない、というものではありません。塩は人間にとってなくてはならないもので、塩なしには生きていけません。

しかし、がん細胞は毒素と一緒にナトリウムが抱き合うようにして一緒にあります。

がん細胞を分解排毒する一つの方法として、一時的に無塩食を実践することで、血液の塩分濃度を下げて、人体の恒常性(ホメオスタシス)によって、がん細胞からナトリウムと共に毒素を溶け出させるのです。

無塩食だけではありません。がんの種類によって排毒には鍵と鍵穴があります。

蓄積している毒素を上手に分解排毒するような食べ物や飲み物を適量、場合によっては大量に摂る必要があります。

乳がんの陰陽によりますが、しょうがやわさびを大量に摂り、浮腫や胸水の排毒反応を乗り切った人もいます。

しかし、陽性な排毒反応が強い時、塩分や玄米を摂ると逆効果なことが多々あります。

玄米クリームや玄米スープを摂って病状が進行することもあるのが現代のがんの特徴でもあります。

がん細胞が排毒されて体外へ排出された後に塩分や玄米を摂ると、体が非常に元気になってきます。

乳がんに限らず、現代の病気は陰陽両極端になっています。多くの病気が陰陽両極端を抱えていると言っていいでしょう。

無塩食や陰性の強い香辛料などを陽性の毒消しに使って、自然な塩を入れても大丈夫な体を作ることが現代の食養の重要なところです。

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乳製品の分解排毒を促す食品としては、バニラ、シナモン、コショウ、セリ、パセリ、セロリ、バジル、ペパーミントや、ニンニク、ブロッコリー、カリフラワーなどの野菜、、レモン、ぶどう、ワイン、ワインビネガー、リンゴ酢がおすすめです。

乳がんと手当て法

がんの一般的な食養手当て法は、患部の状態に応じてしょうが湿布と里芋パスターを行っていきますが、特に乳がんに関しては患部への手当ては多くても週に一度ほど。

ほとんどはお腹へしょうが湿布を施すことです。

腹部は骨に囲まれておらず、血液に一番アプローチしやすいです。血液を効率的に温めることで、がん細胞にも徐々に温かい血液が流れます。

乳がんは肺やリンパ、子宮や卵巣、骨などに転移しやすいのですが、これらの時にも腹部を温めることが基本になります。

腹膜や腸などに転移している場合は、腹部にしょうが湿布を施した後、里芋パスターを貼ります。

腹膜や腸への転移がなければ、腹部にはしょうが湿布のみでよいでしょう。

腹部へのしょうが湿布は原則1時間以上施します。2〜3時間施しても大丈夫な場合もあります。気持ちよく眠りが促されるような手当てが最良です。

手当て法は眠りを促して、副交感神経を高めることも大きな目的のひとつです。

乳房へのしょうが湿布は患部がほんのり赤く温まればそれで終了とします。人によっては数回タオルを交換しただけで(10分前後)赤くなる人もいれば、30分以上温めても赤くならない人もいます。

一時間近く温めていても患部が赤くならない人は、里芋パスターを貼らずに終了します。

そのような人は当面、手当法は腹部へのしょうが湿布のみでよいでしょう。患部が赤くなる人は、しょうが湿布を終えると同時に里芋パスターを貼ります。

しょうが湿布の準備と並行して里芋パスターも準備して、しょうが湿布終了後に手際よく仕上げます。

しょうが湿布の他にもビワ葉温灸、焼き塩、味噌パスターなどの温熱手当て法があります。色々と試して合う合わないを感じることが大切です。

ただし、血中の酸素濃度を高めるしょうが湿布を中心に手当てを試すことが大事だと私は感じています。

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月刊マクロビオティック 2016年9月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。