マクロビオティック one テーマ35 文)岡部賢二
睡眠時無呼吸症候群は心臓系の弱りと関係
月が地球の周りを回る周期にも、実は五臓と共鳴するリズムがあります。
上弦の月期(上弦の月の3~4日前から3日後まで)は心臓と小腸の経絡と結びついていて、季節では夏、1日では昼間(午前10時~15時まで)にあたります。
心臓系の弱りは、赤ら顔やニキビ、赤アザ、紅、紫斑といった赤みとなって現れます。
体質的には暑がり、汗かき、高血圧ぎみ、筋肉質、胃腸が強くて何でも食べてバリバリ働く、お腹が空くと不機嫌になる、声が大きくて、物事の判断が早い実証タイプ(熱が体内にこもりやすい体質)の方です。
また、熱中症や顔のほてり、冷えのぼせといった熱の循環が滞る症状や、不整脈、動、息切れ、立ちくらみ、狭心症、心筋、高血圧症、エコノミークラス症候群といった血液の循環が滞る症状があれば、心臓が疲れていると判断します。
小腸の疲れは、口内炎や排尿時の熱感、残尿感、尿が濃いといった熱がこもったような症状となって現れることもあります。
さらに、意識や思考、睡眠の障害もまた、心臓系の弱りととらえます。
熱中症による記憶喪失や睡状態、アルコールによる物忘れ、睡眠時無呼吸症候群、金縛り、歯ぎしりのような状態があげられます。
舌がもつれる、舌をよく噛んでしまう、言語障害、どもりといった舌にかかわる症状も同様です。
心臓系の強化には赤色と苦味の食品を
こうした不調は季節では夏、月の周期では上弦の月期、1日では昼の時間帯に起こりやすいので、この時期には心臓系を強化する赤色と苦味のある食材を摂るようにしましょう。
赤色食材としては、狭心症や心筋梗塞の傾向にある方には冷却作用のある自然栽培のトマト、ラディッシュ、イチゴ、クコの実、あんず、クランベリーを、動悸や息切れ、立ちくらみといった症状のあるときには血液の循環を良くする三年番茶や梅干し、赤味噌、鉄火味噌、タカキビ、赤米、小豆がおすすめです。
赤色食材でも陽性な性質が強く、体内に熱をためやすい牛肉やハム、ウインナー、いくら、辛子明太子などの動物性食品、火でローストした焼き肉、焼き鳥、焼き魚、卵焼き、ハムエッグ、ハンバーグは身体がより温暖化した状態になりやすいので、夏場や上弦の月期には控えるようにしましょう。
苦味のある食材としては、にがり(苦汁)の入った自然塩を用いた梅干しや味噌、醤油、梅醤番茶、ごま塩が強心剤になり、熱中症対策にもぴったりです。
野菜では春菊、ピーマン、大根や人参の葉、パセリ、野草ではヨモギやスギナ、菜の花、フキなどが食薬となります。
暑い時期が長い沖縄ではニガウリやウコン、フーチバー(ヨモギ)がよく用いられています。
そうした食材の苦味の主成分はマグネシウムで、筋肉の収縮をよくし、心臓の働きを整える働きがあることが知られています。
積極的に挑戦して潜在能力を発揮
上弦の月期は、行動に移す、チャレンジする、体験する時期です。
何事も考えていただけでは前に進めず、何も成果を得られません。
失敗もまたよい体験であり、そうした試練を乗り越えることによって人間は成長し、進化していきます。
新月期にイメージないしプログラミングしたことをこの時期に実践してみると、うまく行くことが多いようです。
感情面では心臓系は「喜」が配当されています。
過度の感情である興奮や焦りは心臓の働きを傷めるのに対し、トキメキやウキウキ・ワクワク感は心地よい状態をもたらしてくれます。
感動は人間の体を構成する60兆の細胞のすべてを活性化させ、笑いは横隔膜の振動を増し、血液の流れを整えてくれます。
上弦の月期は人を喜ばせたり、楽しませたりする時ととらえて、おもてなしの心で過ごすようにしましょう。
楽しい事を発見するには、面倒くさいことに立ち向かうことが必要です。
やらず嫌い(やる前から不可能感が襲ってくる)という方がとても多くみられますが、意外とやってみたら面白いことって多いものです。
何かにチャレンジする時には、どうしたら乗り越えることができるかという発想が生まれ、さまざまなアイデアが湧きます。
また、出会いの機会が増えるので、人脈が広がっていきます。
上弦の月期はまさに、行動、チャレンジ、積極性、立ち向かうことで自分の中に眠っていた創造エネルギー(潜在能力)を発揮させるのにぴったりの時期なのです。
どうぞ、新月の周期を上手に活用して、素敵な自分に出会ってくださいね!
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月刊「むすび」 2018年10月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com