森下敬一 『食べもの健康法』●パセリ
日本化した洋食の皿にはパセリが必ず添えられている。
だれの知恵によるのかわからないけれど、一応、論理的には筋が通っている。肉食は、日本人の腸内で必ず腐敗作用を起こす。
その腐敗防止に、多少ともパセリが役立つ・・・という寸法である。
実際、古代ギリシアやローマではパセリは食中毒の予防に使われたという。
パセリには特有の強い香気がある。これはビネン、アピオールという精油成分でこの物質が含まれているために、パセリの葉には虫が付きにくい。
同じ原理でわれわれの腸内にも有害なバクテリアが繁殖しにくくなるのである。
加えて“みどり”のもとである葉緑素もたっぷり含まれている。葉緑素は血液中の酸毒成分と直接結びついて、その解毒をはかる作用をもっている。
勿論、ステーキに付け合せのパセリというのではとても追いつかない。
そんな場合、別にパセリ・ジュースや青汁を作って、タップリとらなければならない。
一番いいのは血液を酸毒化する動物蛋白食品を食べないことである。
このごろではパセリは、大衆向きの刺し身のつまにも盛んに使われている。そして、大抵は食べ残されている。
これはまことにもったいない話。
パセリはミネラル、ビタミンの割合が大変に高いものだからだ。特にビタミンA、C、カルシウム、鉄が多い。
Aは粘膜の機能を強めて、病気に対する防衛力を高める。そのため、パセリは眼病予防に卓効をあらわす。
Cは細胞と細胞をしっかりつなぎ止める為に欠かせない成分で組織を引き締める。パセリが歯槽膿漏やシモヤケの防止に有効なのもそのためである。
カルシウムは神経細胞の過敏症を解消するから、パセリはイライラやノイローゼの防止に役立つ。
日本の土壌にはカルシウムが不足しており、必然的に日本人はカルシウム不足に陥りやすくなっている。
カルシウム含量の多い食品は、きわめて貴重な存在だ。
鉄は葉緑素と相まって質のしっかりした、酸素結合力の強い赤血球をつくる。パセリは、脳への酸素補給を盛んにする健脳食品である。
また以上の有効成分が総合的に働いて、血管をしなやかにするためパセリは動脈硬化や脳卒中の防止にも役立つ。
料理のつけ合わせだけでなく、いろいろ工夫をこらして活用したいものだ。
パセリは地中海沿岸地方原産の植物なので、日本では冬は房州や暖かいところでつくられる。
しかし、夏の高温化では、葉の縮みがなくなってしまうので、長野県などの高冷地で栽培される。
自家栽培すれば一年中、好きなときに好きなだけ、最も新鮮な状態で利用できて重宝だろう。第一、化学肥料や農薬の害のないものが得られて理想的だ。
■パセリ入りクレープサラダ
材料(5人分)
・みじん切りしたパセリ・・・大さじ5杯
・地粉(国産無漂白小麦粉)・・・1カップ
・ミネラル水・・・1カップ
・自然塩・・・少々
・玉ねぎ・・・1/2個
・にんじん・・・40g
・キャベツ・・・2枚
・生わかめ・・・適量
・米酢・・・大さじ2
・紅花油・・・大さじ2
・植物油、和がらし・・・少々
<作り方>
①パセリ、地粉、水、塩を混ぜて、とろりとなるように溶きます。
②玉ねぎは薄切りし、にんじん、キャベツは千切りにして、塩をふって、ザルに上げ、水気を切ります。生わかめは湯と水で洗い、しぼって千切りにします。
③米酢、紅花油、塩、和がらしを混ぜて、ドレッシングを作り、②とあわせます。
④フライパンをよく熱し、油を引いて、①で薄いクレープを焼きます。
⑤クレープの上に③を軽くしぼって乗せ、クルクルと巻きます。斜めに切って、お皿に盛ってもきれいです。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。