未だ占領下にある日本の是非を問う日米地位協定を自衛隊元幹部が告発する  池田整治 (著)

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未だ占領下にある日本の是非を問う 日米地位協定を自衛隊元幹部が告発する

さらば、在日アメリカ軍脱植民地こそが日本サバイバルの鍵だ! 敗戦後、GHQによる自虐史観の刷り込みと日米地位協定によって日本の安全保障は骨抜きにされた。反米ではなく媚中でもない。

第一章 「日本の空べて米軍に支配されている」は本当か? より

摩詞不思議をまったく不思議に思わない怖ろしさ

それは、あまりにも象徴的なシーンでした。さも当たり前のことのように報じるテレビや新聞等のマスメディア。そして、これを見てなんら不可思議さを感じなくなった日本人。

私は急流を流される浮き草を見る思いで、今更ながらこの先大丈夫かと暗澄たる気持ちになりました。

2017年11月5日、トランプ大統領初来日の時のこと。大勢の日本人は日本の空の玄関である成田か、あるいは日程等を加味してオバマ大統領の時のように羽田で、到着するトランプ大統領ご一行を出迎え、歓迎行事を行なうものと思っていました。

米国以外の世界のすべての元首は、成田か羽田にしか到着できません。

実際、メディア各杜ばかりか日本の外務省のホームページの「トランプ大統領訪日程表」にも成田か羽田到着と書かれていました。

ところが、トランプ大統領は米国軍だけが独占使用特権のある米軍横田基地に到着しました。

横田基地は米国にとって万能の空港です。空からの日本への裏玄関ともいえるので、日本に対してあらゆる飛行の通知が必要ありません。

その「権益」を維持・運用している米軍人等に、トランプ大統領は到着後ただちに演説しました。

軍服を羽織った大統領の姿を見て、まるで中東の米軍キャンプ地で演説をしているかのような錯覚を覚えました。

歴史的背景をも加味すればこの演説は、米国のトップである大統領が、砦で自国権益を守る守備兵の士気を高揚するため、さらに被占領国民である日本人に支配関係を「暗示」するためのセレモニーだったように思います。

その後、ただちに大統領は専用ヘリコプターで、埼玉県越谷市の霞が関カントリー倶楽部に直行し、安倍晋三首相とゴルフ対談が行われました。

都内に帰る際も、六本木の米軍ヘリポートに専用ヘリで直行しました。

この大統領専用ヘリの前には、4機のオスプレイが進路を警戒し、さらに上空では、最新鋭の海兵隊のステルス戦闘機F35Bが援護していました。

日本の「領空」にもかかわらず、彼らはまるで米国領空を飛んでいるようだと思いませんか。

それはまるで、江戸時代に庶民がひれ伏す中を絶対権力をもって進む大名行列のようにも見えます。

思わず、敗戦後の厚木基地に降り立ったマッカーサーを想起してしまいました。

しかし、戦後の占領期ならいざ知らず、現在、日本の領空は航空自衛隊が365日24時間守っています。

今だかつてその網を破り、領土まで侵攻した外国軍用機はいません。

その日本領空内で、米国と言えども外国の戦闘機を自由に飛ばすことは、世界常識ではありえません。国家の主権侵害です。

大半の日本人が生まれた時から米軍の占領体制の中で生活しているので、魔詞不思議な状態が「常識」となっています。そのことが怖ろしいのです。

ちなみに、今回のトランプ大統領訪日の援護に使われたオスプレイとステルス戦闘機F35Bは、自衛隊がこれから購入しようとする代表的な兵器です。

世界金融支配体制のメインとも言える軍産複合体から見れば、最高のセールス・デモンストレーションではないでしょうか。

実際に訪日の翌年、2018年2月21日のロイター通信によると、航空自衛隊がF35Aを20機以上追加購入することを決定するとともに、垂直離発着ができるF35Bの導入も検討していると、報道しています。


●日本が20機以上のF35A追加調達へ、国内組立取りやめも

日本政府は、米国から最新鋭のステルス戦闘機「F35A」を20機以上追加購入する方向で調整に入った。調達費が割高になる国内での最終組み立てを取りやめ、完成機を輸入することも検討している。これとは別に、垂直に離着陸可能な「F35B」の購入も米国側と協議している。

日米の複数の関係者が明らかにした。今年末にまとめる5カ年の中期防衛力整備計画に盛り込む。

日本は航空自衛隊の「F4」戦闘機の後継として、F35Aを42機調達することを決定済み。今年1月末、青森県の三沢基地に1機目が配備された。

これに加えて購入するのは、200機ある「F15」戦闘機の一部後継分。関係者の1人は、日本の予算や米メーカーの生産能力を考慮すると、25機前後の調達が現実的としている。

日本はF15について、半分の100機を改修して使い続けることを決めているが、改修不可能な100機の扱いが焦点になっていた。

F35Aに置き換えた後の残り70~80機については、さらにF35Aを追加するのか、開発を検討中の将来戦闘機で代替するのか検討していく。

F35Aは、米国を中心に英国やイタリアなど9カ国が国際共同開発したステルス戦闘機。開発に加わらなかった日本は、自国の防衛産業が製造に参画できるよう、自衛隊向けの機体を国内で最終組み立てすることにしている。

しかし、その場合の調達価格は1機約130億円と、完成機を輸入するより数十億円規模で割高になるため、追加購入分については国内での組み立てをやめる案が浮上している。

さらに日本は、F35のB型を調達することも検討している。

F35Bは短距離滑走で離陸できるほか、垂直に着陸することが可能。沖縄県の那覇基地が使えなくなった場合でも、離島の短い滑走路で運用できるF35Bで南西諸島の制空権を失わないようにする。

空母のような広い甲板を備えた「いずも」型護衛艦を改修したり、強襲揚陸艦を建造して洋上で離発着することも想定している。日本政府は「まだ明確な方針が決まっているわけではない。防衛省内でどのような戦闘機の態勢にしていくかは検討中」(小野寺五典防衛相)としている。(2018年2月21日ロイター)

●新大網・中期防が決定、総額27兆4700億円 F35追加購入105機

政府は(2018年12月)18日、新たな「防衛計画の大綱」(防衛大網)と2019・23年度の5年間の次期中期防衛力整備計画(中期防)を閣議決定した。

新たな大綱には、従来の陸•海・空に加え宇宙・サイバー領域での対応強化を明記した。

与党内にも異論のあった護衛艦「いずも」の事実上の空母化や、空母に垂直着陸できる戦闘機「F35B」の導入も事実上明記した。(2018年12月28日ロイター)

横田空域の秘密

先ほど、「現在、日本の領空は航空自衛隊が365日24時間守っています」と述べました。

しかし、トランプ大統領の訪日時、専用ヘリコプターで移動する際、周囲を固めていたのは4機のオスプレイと最新鋭の海兵隊のステルス戦闘機F35Bでした。

なぜ、日本の航空自衛隊の主力戦闘機F15が上空で援護していないのでしょう。

それは矢部宏治氏の指摘するとおり、「横田空域」という米国空域に入ってしまい、援護しようとしてもできないからです。

「横田」という名がつくので狭い範囲と勘違いしそうですが、その管制空域は1都8県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に及ぶ広大なものです。

その空域の航空管制(安全かつ円滑な運航を行うため、航空機に航空交通の指示や情報を与える業務、航路帯設定など)は横田基地で行われているので、関東の空は自衛隊機も米軍の許可なしには飛べないのです。

これは米軍基地のある「岩国空域」(中国・四国地方)も「嘉手納空域」(沖縄)も同じです。横田空域の秘密は他にもあります。横田空域は、西の約2400メートルから東の約7000メートルと高度が段々と上がっていきます。

なぜこのように空の壁の高さに違いがあるかご存じですか。それは、個々の航空機の管制よりも、日米の使用航路帯を米軍に都合よく設定したからです。

まず、米軍機は日本の羽田や成田を避けて、つまり民間機も使用して滉雑する太平洋側を避けて、日本海側から独占的に横田に降りる航路帯を設定しました。

さらに横田から六本木等のヘリポートに自由にヘリが行き来できるように低空域の航路帯を設定しました。

その結果が、西から東に段々と高くなる見えない壁となっているのです。あらゆる日本の航空機は、羽田や成田に降りる際は、太平洋側に大きく迂回しなければなりません。

羽田や成田から関西や九州地方に飛び立って行くには、一気に階段状の横田空域を越えなければなりません。時間と燃料費が余分にかかります。

もしこの空域がなければ、例えば、羽田空港→伊丹空港の所要時間が現在50分であるところが30分となり、20分程度短縮できます。

燃料も毎年約11万キロリットル節約できると言われています。

11万キロリットルというのは、羽田から伊丹に行く日本の航空機全機が消費する燃料約1年分に相当します。もちろんこの消費燃料代はコストとなって航空運賃に含まれ、乗客が余分に負担しています。

ちなみに、1985年8月12日、羽田を飛び立ち大阪(伊丹)に向かったJAL123便は、この横田空域の上空でトラブルを起こしました。

もし、横田空域がなければ、もっと低空を飛んでいて事故にあわなかったかもしれません。機長は、直ちに横田基地への着陸を要請したものの、断られたという話も伝わっています。

真実は今となっては闇ですが、横田空域のために、日本の空路にかなりのしわ寄せがあるのは事実です。


脱米軍依存、脱植民地することが日本が真の独立国となるための鍵だ! 元陸将補が「日米同盟」の実態を明らかにし、日本の存亡を賭けた安全保障論を提言する。

序 章  日米地位協定の正体を明らかにする前に

第1章 「日本の空は、すべて米軍に支配されている」は本当か?
第2章 「日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある」は本当か?
第3章 「日本に国境はない」は本当か?
第4章 「国のトップは『米軍+官僚』である」は本当か?
第5章 「自衛隊の実力は世界トップクラス」は本当か?
第6章 「自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」は本当か?
第7章 「北朝鮮の核放棄」は本当か?
第8章 日本の存亡を賭けた近未来の安全保障政策


未だ占領下にある日本の是非を問う 日米地位協定を自衛隊元幹部が告発する