大還暦~60歳から本気で若返る100の方法 南雲吉則 (著)

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大還暦~60歳から本気で若返る100の方法

テロメアの消耗が老病死を起こす

父親の精子と母親の卵子によってできた1個の生殖細胞は、母親の体内で細胞分裂を繰り返します。このとき遺伝子DNAもテロメアも「複製酵素」によってコピーされています。

ところがこの世にオギャーと生まれた瞬間に、テロメアの複製酵素「テロメラーゼ」だけが働かなくなってしまうのです。

みなさんの会社のコピー機も、コピーを繰り返すうちにトナー(インク)が消耗していって、最終的にはコピーができなくなってしまいます。

同じように細胞も、細胞分裂を繰り返すたびにテロメアが消耗して短くなっていきます。

そして一定回数、細胞分裂をすると、その細胞は「自然死」を迎えるのです。細胞寿命は本来12O歳です。ですから、どんなに栄養を摂っても医学が進歩しても、それ以上長生きすることはできないのです。

しかし実際には12O歳まで生きることはまれです。

それは人間が不摂生をする生き物だからです。

私たちの体はミミズと同じように管でできています。口からお尻までが「消化管」、鼻から肺までが「気管」、そして全身をめぐっているのが「血管」です。

この管の表面は「粘膜」で覆われています。粘膜は外界とのバリアです。栄養を摂り入れるのと同時に、害毒の侵入を防ぎます。

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私たちが暴飲暴食をしたり、たばこを吸ったりすれば粘膜の表面が傷つきます。このとき周囲の正常細胞が活発に細胞分裂をして傷口を塞いでくれるのです。

しかしその細胞分裂のたびにテロメアは消耗して短くなります。

不摂生をするたびに体が老化して、それを繰り返すことによって病気になり、病気になるたびに寿命が短くなります。これは私たちの生活習慣がテロメアを消耗しているからなのです。

不摂生によって大還暦120歳という天寿を全うすることなく死を迎えるのはもったいないと思いませんか。

生活習慣を改めるのは今なのです。

人生にとって何が大切かを考える

私はがん専門医ですので、しばしば患者さんに「余命」を伝えなければならないことがあります。

もしあなたが医師から「あと3日の命」と言われたら、どうしますか。

今から禁煙したり、ダイエットしたり、英会話の勉強を始めたりしますか。しないですよね。

今から始めても間に合いませんので。おそらく酒やたばこを好き放題に楽しんで人生を終えるのではないでしょうか。

つまり、人生の短期目標は「快楽」なのです。

でも「あと3ヵ月の命」と言われたら、どうしますか。

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酒やタバコで3ヵ月費やすのはもったいないですよね。多くの人は「旅行に行きたい」と言います。

行ったことのないところに行って、見たことのないものを見たい。すなわち、人生の中期目標は「非日常」なのです。

では、「あと3年の命」と言われたら、どうしますか。3年間食べ続けるのも、3年間旅行し続けるのも大変ですよね。

多くの人は「家族と過ごす時間を大切にしたい」「今の仕事を続けたい」「後進の育成をしたい」と言います。

すなわち、人生の長期目標は「日常」にあるのです。普段、私たちは「こんな仕事をして何になる」「家族を養うために仕方なく働く」などと愚痴をこぼしますが、実は家族や仕事によってあなたは生かされてきたのです。

あなたが今日あるのは家族や仕事のおかげだったのです。

青い鳥を求めて人生をさまよって、挙げ句の果てにたどり着いたのは、「日常」だったのです。

にもかかわらず、目先の快楽や非日常に心を奪われて、その挙げ句に周囲に迷惑をかけては申し訳ないと思いませんか。

そう思ったら今すぐ「暴飲暴食」、「たばこ」、「夜更かし」を止めるべきです。今すぐ「腹六分目の食事」「早寝早起」「完全栄養」を始めるべきです。

そして「自分の人生の使命は、人の手を借りずに1日でも長生きして、人様のお役に立つことだ」と宣言してください。

その瞬間から、あなたは生まれ変わります。


1章 寿命を延ばす3つの条件――あなたはいくつまで生きられるのか
2章 朝の習慣――若返る1日の始め方
3章 簡単エクササイズーー「毎日少し」が「大きな効果」を生む
4章 食養生――体に良い食べもの 悪い食べもの
5章 夜の習慣――最高の睡眠と体のメンテナンス
6章 中年以降の「性」――いくつになっても失いたくないもの
7章 人生の目的――誰かのために生きる強さ

大還暦~60歳から本気で若返る100の方法
南雲吉則 大和書房 2015-07-24
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