【喘息と自律神経】腸と肺は深い関係にある

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磯貝昌寛の正食医学【第66回】喘息

アレルギー

アレルギー反応が気管支で起こり、「ヒューヒュー」という笛声や、「ゼーゼー」という喘鳴を伴う呼吸困難が気管支喘息です。

アトピー性皮膚炎は皮膚でアレルギー反応が起こっていますが、気管支喘息はその反応が気管支で起こっているのです。

気管支喘息は体の内側で起こる炎症ですから、アトピー性皮膚炎に比べると内向性の強い、陽性な症状と考えられます。

汗腺の開きやすい夏になると皮膚にアトピーを発症し、秋になって汗腺の開きが弱くなったときに、皮膚から出し切れない毒素が気管支から出てくるのです。

アレルギーの原因は動物性食品の過剰と化学物質、運動不足、現代的な生活そのものにあります。

これらの毒素を気管支がフル活動して排出している有り難い活動が「喘息」と言えるのです。

肺と腸の関係 

発生学的に見ると、肺や気管支は腸と関係が深い。

内胚葉が消化管となり、消化管から発生したのが肺や気管支です。食養的に見ても、腸の活性化を促すことで気管支喘息の症状が治まりますから、腸と肺は深い関係にあります。

逆に考えると、喘息症状そのものが腸の活動を高めようというハタラキであると考えられるのです。

「腸脳同根」。腸と脳は同じ根っこから発生しています。発生学的に見ると、腸と脳は発生が同じです。

喘息症状をステロイドで抑え続けていると、腸や脳の病気を引き起こすことがあります。

喘息は体に溜った毒素を排出している反応ですから、症状を抑えるだけでは肺や気管支と関係の深い腸や脳に問題をより大きくして送るだけです。

喘息と自律神経

喘息発作はアトピー性皮膚炎と同じように夜中に多く、睡眠の妨げになることがしばしばです。

自律神経の副交感神経は体に溜まった毒素の排出を促すことから、副交感神経が優位な夜に症状がよく出るのです。

一方、交感神経は、昼に優位になります。交感神経は副腎皮質ホルモン・コルチゾールの分泌を促します。

コルチゾールは皮膚や気管支の炎症を抑える働きがあります。喘息発作の一般的なクスリにステロイド( 副腎皮質ホルモン)があるのはそのためです。

しかし、ステロイドで炎症を抑え続けていては体の毒素は蓄積されて増すばかりです。

正食医学では、喘息の元となる毒素を体に入れないことと同時に臓器を鍛えて排出する力を高めることを実践していきます。

自律神経の交感神経と副交感神経は陰陽の関係です。

交感神経と副交感神経の調和がとれているのが健康です。

適度な運動や乾布摩擦が気管支喘息に効果的なのは、交感神経を鍛えて副交感神経との調和が計られるためです。

気管支喘息を含め、アレルギーの人は鼻の穴が小さく、縦に細長い傾向があります。鼻呼吸が浅く、酸素の吸入量も少ないのです。

また、汗腺のハタラキも弱く、日本人は平均250万の汗腺があるといわれますが、アレルギーの人は活動している汗腺が半分以下だといいます。

自律神経の不調和と同じように、毒素の排出と酸素の吸入もアンバランスな状態になっています。

喘息の陰陽

多くの病気に陰陽があるように、気管支喘息にも陰陽があります。

「ヒューヒュー」という笛声は「ゼーゼー」という喘鳴に比べて陰性です。

笛声が強いようであれば陰性の傾向強く、喘鳴が強いようであれば陽性の傾向が強いです。

気管支喘息の発作時、気管支は炎症を起こしているので、生姜シップや里芋パスターが気持ちよいものですが、生姜シップを施して余計に咳が出るようであれば陽性の傾向があります。

その場合は里芋パスターを施します。

里芋パスターは胸か背中に貼りますが、胸よりも背中の方が気持ちよく、咳や笛声喘鳴が消えていくようであれば、より陽性です。

症状で陰陽を診ることも大事ですが、味覚で陰陽を診ることも大切です。

特に症状が強く出ている時の味覚は、合うものはおいしいものですが、合わないものは食べられません。

健康の時は体は中庸ですから、陰陽両方が幅広く多くの食物を受け入れられるものですが、症状が強ければ強いほど陰陽の偏りが強く、合うものは「すごくおいしい」が、合わないものは「まったくおいしくない」のです。

陰性の喘息

レンコン、玉ネギ、味噌( 豆味噌、麦味噌)、雑穀(ひえ、あわ、きび等)、本葛、海藻を多用します。

陰性の気管支喘息であれば、このような食物をおいしく感じるはずです。

これらの陽性な食物をおいしく感じるようならば、コーレン( レンコンの粉末)や昆布の黒焼きを葛湯や葛練りに溶いて摂るのもいいでしょう。

陰性の気管支喘息は腸の冷えからきていることが多いので、お腹や足を温めることも重要です。

陰性の気管支喘息の人は発作時、体重減少が強く、合う食材を主食や副食に加えてよく噛んでしっかり食べることが大事です。

陽性の喘息

ミカン( 皮ごと)、キンカン、リンゴ(皮ごと)、長ネギ、コンニャク、辛子、唐辛子、生姜、カレー粉を多用します。

陽性の気管支喘息であれば、このような食べ物をおいしく感じ、症状も緩和されてきます。

温州ミカンは皮ごと食べた方が断然よいです。皮ごといただくのですから無農薬のものがよいでしょう。

辛みのある香辛料も陽性の喘息にはとても合っているので、野菜スープの味付けに使うとよいでしょう。

陽性の気管支喘息は断食や半断食も向いていますから、ミカンやリンゴを皮ごと食べて、香辛料で味付けをした野菜スープを摂っていれば治りが早いです。

陽性の気管支喘息の人は、断食や半断食になって、水分だけ摂っていても体重はほとんど落ちないものです。

月刊マクロビオティック 2017年06月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。