森下敬一 『食べもの健康法』●にんじん
ニンジンのきれいなだいだい色は、主にビタミンAの源となるカロチンによるものである。
英語でニンジンをキャロットというのもカロチンに由来するものだ。ビタミンAが豊富なので目の疲れを取り、目に力をつける。
また粘膜の抵抗性を増して、喘息や胃腸病の予防に役立つ。さらに皮膚の生理を正常に保ち、皮膚病を起こしにくくし、なめらかできれいな肌をつくる。
ニンジンを常用していると、体力は確実に増強される。
だから虚弱体質の人、精力減退気味の人、母乳の出が悪い人、特に激しく疲労した場合などには、より積極的に利用するとよい。
体力増強に著効をあらわすのは、ニンジンには必須アミノ酸がすべて含まれていて、そのうちでも日本人に不足がちな、リジン、スレオニンが、たくさん含まれていることも理由のひとつ。
それに、酵素の作用も加わると思われる。
ニンジンには、ビタミンCおよびカルシウムもかなり含まれている。このため、ニンジんを常食していると、病気に対する抵抗力が増す。
組織に炎症が起こりにくくなって、糖尿病、気管支炎、ガンなど、すべての病気にかかりにくくなるのだ。
また、女性の生理機能の健全化効果も著しく、性ホルモン的作用もあるらしい。特に、生理不順、のぼせ、寝汗などの更年期の不快な症状の解消に威力を表す。
加えて、すぐれた保温作用を持っていて、血液循環を良くし、冷え性、シモヤケを根治する。
寒さに当ると、顔が紫色になりやすいのは、皮膚血管の反応性が鈍っているためで、これの解消にも、ニンジンは有効だ、
さらに、ニンジンには副腎皮質ホルモンの分泌を盛んにする作用もある。
そのため、ストレスによる自律神経機能の失調も防止できるから、肌荒れや病的脱毛が防止でき、弾力のある若々しい肌をつくり、髪の色つやもよくする。
以上のような効果は、普通にニンジンを料理に使っておれば得られるものだけれど、体質にあった用い方をすれば、いっそう効果的だ。
すなわち、暑がりでのぼせやすい体質(陽性体質)の人は、ニンジンジュースとして活用するとよい。
このジュースは貧血、結石症にとくに有効だ。
一方、体が冷えやすい陰性体質の人は、じっくりと軟らかく煮込んで食べるのが望ましい。
それから、ニンジンは皮付きで用いるとともに、植物油と一緒にとる工夫をしたい。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、油に溶けて吸収されるからである。
■にんじんコロッケ
材料(12個分)
・にんじん・・・300g
・かぼちゃ・・・200g
・くず粉・・・大さじ3
・パン粉・・・2/3カップ
・植物性バター・・・小さじ1と1/2
・自然塩・・・少々
・ナツメグ・・・少々
・パン粉
・パセリ
・揚げ油
<作り方>
①にんじんは蒸してつぶします。かぼちゃも蒸して皮をとり、つぶします。
②つぶしたにんじんとかぼちゃを合わせ、そのなかへくず粉、パン粉、バター、塩とナツメグを混ぜます。
12等分して、にんじんの形を整え、パン粉をまぶして、冷蔵庫で冷やします。
③油で揚げ、パセリを刺し、にんじんの葉に見立てます。
■にんじんジャム
(材料)
・にんじん・・・350g
・ミネラル水・・・1カップ
・米飴・・・大さじ2~3杯
・塩・・・少々
・レモン・・・1/2個
<作り方>
①人参をすりおろし、水を加えて中火で煮込み、米飴、塩で調味し、煮つめます。
②冷めてからレモンを絞り、混ぜます。
【こちらもオススメ】
山いもは腸内細菌の性状をよくするとともに腸粘膜の機能を高める。
森下先生の提唱する【腸管造血】を今一度、世に問いましょう! ご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。
森下自然医学メールマガジン
無料登録はこちらから⇒ https://ws.formzu.net/fgen/S64007955/
森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。