スパイス&ハーブの使いこなし事典―「スパイス&ハーブ検定」認定テキスト 主婦の友社 (著, 編集)

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スパイス&ハーブの使いこなし事典―「スパイス&ハーブ検定」認定テキスト

スパイス&ハーブのこれまでになかった、詳しくてわかりやすい入門書。

料理を中心に家事、美容などさまざまな利用法を掲載。

―――年齢、男女別を問わず近年ますます関心が深まってきているスパイス&ハーブ。

海外旅行やグルメの食べ歩きなどで、ほんとうに身近なものとなってきている。

しかし、まだまだ使いこなすまでには知識が身についていないのが現状。

私たちの生活で身近な存在となったスパイス&ハーブ。その歴史と基礎的な知識を覚えてもっと暮らしに役立ててみませんか?

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古代には薬草としてまた祭事にも使われたスパイス

古代エジフトでは死後、魂はその肉体に再び還って復活すると信じられており、王族など高貴な人々の遺体が腐らないように、ミイラが盛んに作られました。

そのときに強力な防腐作用を持つシナモンなどのスパイスが、遥カ、遠い国から取り寄せられ、死者の体内に詰められたのです。

またその王族の墓所であるピラミッド建設の際に多くの労オ勤者たちに体力をつける強壮剤のような目的で、大量のガーリックが使われていたことも伝えられています。

中国の漢の時代には、宮廷の官吏が天子に政事(まつりごと)を奏上するときに、1本のク口ーブを口に含んで口臭を消し、吐息を清める香薬として用いていたなど、いずれにしても薬用として貴重な存在だったようです。

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このほか各国で山椒、クローブ、シナモンなどが寺院や教会で火にくべられ、空気を清める香煙として使われたり、紀元前2500年頃の中国で、はスパイスを担えた香酒や香飯が神に供えられたりと、宗教的にも重要な役割を担っていました。

医学の誕生

医学の祖と呼ばれるギリシャのヒポクラテスは、紀元前400年頃にすでに400種ものハーブの処方を残しており、その中で、ハーブの香りによる効能に触れ、それまでの呪術的な手法ではなく、科学的に病気をとらえ、現代にも通じる医学の基礎を築きました。

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また紀元50~70年頃に活躍したローマ時代の医師ディオスコリデスは、植物、動物、鉱物などあらゆるものを利用し、鎮痛や消炎、利尿、下剤などの薬理機能上から分類した「マテリア・メディカ〈薬物誌)」を著しました。

掲載されている植物は600穫にも及びます。こうして経験的に知られた植物(スパイスやハーブ)の効果が体系化され、医学や薬学、植物学が誕生したのです。

インドのアーユルヴェーダ、中国の漢方も、古くからスパイスやハーブを医療に使うことで知られています。

日本の食文化とスパイス&ハーブ

「薬昧」という言葉はあっても、スパイスや香辛料は最近まで日本人にはなじみの薄い言葉でした。

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ヨーロッパや酷暑の東南アジア諸国では、かつては新鮮な食材が手に入らず、食材の防腐剤、臭み消しのためにスパイスを大量に消費してきましたが、気候風土に恵まれ、新鮮な、海山の幸を比較的たやすく入手できる日本では、そういった防腐や強い香りづけを目的としたスパイス使いが必要なかったからです。

また日常の食生活も古くから魚介類と野菜が中心であったため、スパイス&ハーブも魚介に関するものが多く、わさび、山椒、しょうが、ねぎなどがあげられ、その使用法も食材の持ち昧を損ねない程度に、隠し昧や薬昧として少量を添えるようなものでした。

このような用途から、日本料理に用いるスパイスは辛さを伴うものが多く、そのため「スパイス」と聞くと「辛いもの」という認識が強いのです。

しかし、じつは世界各国で使われるスパイスのうち、辛みを持つものは1割もありません。

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