年をとっても ちぢまない まがらない―一日五秒、筋トレで背筋ピシッ! 船瀬 俊介 (著)

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年をとっても ちぢまない まがらない―一日五秒、筋トレで背筋ピシッ!

使わなければ衰える生命の原理

英語にUSe or Loseという格言があります。文字通り「使わなければ、衰える」。

これは、生命の本質をいいあらわす言葉です。生理学用語で「廃用性萎縮」という概念があります。

読んで字のごとく「用いなければ、萎縮する」という意味です。まさに、英語の警句と同じ真理を、いましめているのです。

生命とは、つねに、環境に順応する存在です。その環境適応の過程で、必要なものは発達させ、不要なものは、衰退させます。

だから、体の機能でも「使わないもの」を、生命は「不要なもの」と判断するのです。

だから、使わない生理機能は、自然に衰えていきます。

これは、ある意味で、恐ろしい生理システムです。「動かさない」「使わない」と、体は自動的に不要と判断して、衰退させ、消滅させていくのです。

この本でとりあげる筋肉などは、その典型です。

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もしも、あなたが入院経験があるなら、その”恐ろしさ”の一端を体感したはずです。病院のベッドで寝たきりのままでいると、みるみる「筋力」が衰えていきます。

手足があれよ、あれよ、というまもないほど、細く、鳥ガラのようになっていきます。その筋肉の衰えぶりは、恐ろしいほどです。

あのビートたけしさんが、かつてバイクの転倒事故で重傷を負い、長らく入院していたことがあります。

その闘病記を読むと、ベッドから降りて数十歩も歩けなくなった……と、その体力の衰えに驚愕しているくだりがあります。

10日入院で10年分老ける

筋肉低下がはなはだしいのが老人の入院です。

ある専門医によると、70才をすぎて入院すると、一日一年の割合で老化が進むそうです。だから、10日、ベッドで寝たきりだと80才、20日だと90才の体力になってしまうのです。

これも、筋肉を使わないことによる「廃用性萎縮」の恐怖です。筋肉の衰えの恐ろしい側面は、あらゆる生理機能をも、衰えさせてしまうことです。

人間も動物の一種です。「動物」とは、文字通り「動く」「物」です。

動いていることで、生命活動を営んでいるのです。「寝たきり」の病人や老人は、それは、もはや「動く」「物」ではありません。「動かない物」としての存在です。

自然の摂理に反した存在なのです。すると、恐ろしいことが起こってきます。生命の根本原理「廃用性萎縮」の法則が、全身のあらゆる生理機能に働き始めるのです。

手足の筋肉の衰えは、その始まりにすぎません。

次に、「骨力」がみるみる衰えていきます。それに並行して、胃や腸の消化機能、心臓などの循環機能、肺などの呼吸機能、肝臓腎臓などの解毒排毒機能も衰えていきます。

わたしの尊敬するヨガの沖正弘導師は、こう喝破しています。

「運動不足は、緩慢なる自殺である」

まさに、至言というべきです。さらに、沖先生はこう諭しています。

「指一本でも動かせるなら、全身全霊で動かせ。すると、全身の筋肉、機能がそれに連動して、動き始める」。

「廃用性萎縮」の原理に対抗するには、「有用性発達」しかありません。

全霊を込めて動かす機能は、まさに「有用性」そのものです。すると全身機能が「萎縮」から「発達」にシフトし、活性化してくるのです。

すべての悩みは筋トレが改善

高齢化による要介護老人の激増は、まさに国家的問題となっています。

厚労省も「健康づくりのための身体活動指針」(アクティブガイド)を作成・公表するなどロコモ予防に躍起になっています。

その最大のボイントは、ズバリ「筋カアップ」なのです。

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その四大メリットは、①バランスの改善、②骨粗しょう症などの予防、③膝痛の予防・改善、④腰痛の予防・改善……です。

ここでいう「バランスの改善」とは「猫背・腰曲がりなどの改善」という意味です。

「加齢による筋肉や骨量の減少を防ぐ!」とさまざまなサプリメントCMが盛んです。そんな広告を見ると、栄養補助で筋肉・骨量の増加がはかれそうに思えます。

ですが……。アメリカで高齢者(70~79才)2066人を対象にした研究では、日本人のたんばく摂取量に近いグループでも、筋肉量は減少しています。

つまり、高齢者は食生活で、たんばく質を多くとっても、筋肉量は減っていくのです。

だから、サプリメントをとるだけでは、まったくダメです。では、高齢者の筋肉量を増やす方法は、ないのでしょうか?それが、日々の筋トレなのです。

「筋肉の衰えを、年齢のせいにするのは、まちがいである」

これが、運動生理学が到達した結論です。その第一の原因は、加齢ではありません。

年をとるとともに運動しなくなるからです。筋肉を使わなくなるからです。つまり、高齢者の筋肉の衰えの最大原因は、加齢ではなく、怠惰です。

「怠ければ、衰える」「廃用性萎縮」の原則を思い出してください。最近の研究では、「筋肉は年をとっても成長し続ける」ことが証明されています

90才、100才を超えても、筋肉は鍛えることは可能です。

たとえば世界のボデイビル大会を見ると、世間でいう高齢者が、鍛え上げられた見事な筋肉美を誇らしげに披露しています。それは、100才を超えても可能です。

つまり、筋肉は何才になっても、鍛えられるのです。

「筋力」が付けば、「骨力」も付く。それも、証明されています。そして、「骨力」が付けば骨密度が上がる。骨粗しょう症が防げる。

すると、高齢者のみの「背の縮み」「膝痛」「腰痛」「猫背」「腰曲がり」まで、すべてが防げるのです。

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還暦すぎたら本気で筋トレ

なるほど、20才と100才をくらべれば、筋肉や骨格を作る生理機能は、若いひとが優れているのはとうぜんです。

なら、なおさら高齢になるほど筋トレは必要です。

本書のキャッチフレーズは還暦すぎたら本気で筋トレ!ーです。

わたしは現在66才ですが、カコブから始める静的筋トレは、毎日欠かしません。(写J)を見れば、とても60代後半には、見えないはずです。

よく、若い頃の運動自慢をする高齢者がいます。「学生時代は、ボート部でならしたもんだ」とか「柔道x段で、全国大会で優勝したヨ」なんて自慢話は、通用しません。

昔は昔、今は今……。

あなたの若さを保つのは現在の筋肉量です。筋肉量が増えるほど、骨量が増えます。

骨量が増えるほど膝痛、腰痛も消えていきます。患者が激増している「背柱管狭窄症」ですら専門家は「筋トレで完治する」と断言します。

不足しているのは筋トレと知識です。

筋肉量の衰えは、即、生命力の衰えなのです。
筋肉量の強化は、即、生命力の強化なのです。


60代、70代、 80代と年をとるほど、「背が縮む」「腰が曲がる」理由は筋肉の衰えにあります。本書は、いつまでも姿勢のいい習慣づくりの本。

簡単に、今日からできる、背筋が伸びる方法について指南します。

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船瀬 俊介 興陽館 2016-10-27
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