ガンは人類に生き方革命を促す自然からの警鐘

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磯貝昌寛の正食医学【第84回】ガンは人類への警鐘

日本人とガン

漫画「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんがお亡くなりになりました。享年53歳。死因は乳がんだったようです。

ちびまる子ちゃんはサザエさんに次ぐ国民的アニメです。

老若男女、多くの人が知っている日本の代表的アニメのひとつと言ってよいでしょう。

庶民感覚がリアルで、日本人の平均的な生活を面白おかしく描き、時にシニカルに、冷笑の中に温かみのあるタッチが特徴のアニメです。

さくらさんが乳がんで亡くなったというのは、ある意味において日本人が普通に生活していると誰でもガンに罹るということを暗に示しているような気がしてならないのです。

ガンは日本人の死因の第一位です。2人に1人がガンになるといわれています。

現代は日本人の国民病がガンと言ってもいいでしょう。

さくらももこさんは1965年生まれです。昭和40年の生まれですから、高度経済成長が加速度的に進む時期に幼少期を過ごしています。

ちびまる子ちゃんは、さくらももこさんの子ども時代を投影して描かれているといわれています。

高度経済成長期は庶民の生活、衣食住すべてにおいて、化学物質がものすごい勢いで入りだした時代でもあります。

欧米化した食生活が庶民のものとなっていくのですが、欧米化の食生活を下支えしたのが畜産業です。

一般的な畜産業は、成長ホルモン剤や抗生物質などの化学物質がなくては成立しない産業なのです。

ホルモン剤や抗生物質などの化学物質がなくては、安易に肉食はできないのです。

必然、それらの食から私たちの体に化学物質も取り込まれます。

実はガンという病は、これらの化学物質を排泄しようという体の浄化作用として表出していると、自然医学では考えているのです。

ガンが私たちの体を蝕もうとしているのではなく、体を浄化しようとしてくれているのがガンなのです。

ですから、死因の第一がガンになっていますが、ガンそのもので人は死ぬのではありません。

ガンの排毒症状に私たちの体力がついていけずに、多臓器不全になって人は死んでいくのです。

ガンの排毒症状をうまく乗り切り、高度経済成長期以前の日本人が持っていた体の細胞が蘇ったならば、末期がんであっても、がんを克服することができるのです。

ガンは、体質改善を私たちに警告する自然治癒力そのものなのです。

社会や文明を大きく見れば、ガンは人類に生き方革命を促す、自然からの警鐘といってもいいでしょう。

私たちはガンによって生き方そのものを問われているのです。

これからさらに有名人のガンによる死が公然となってきます。

人類の気づきにはある到達点があります。

多くの人がガンと食、ガンと生き方に共通点を見出し、ガンと肉食、ガンと化学物質に焦点が当たるようになれば、そこから社会は少しずつ変化していきます。

むしろ、すでに社会は変化のただなかにあります。

さくらももこさんのご冥福をお祈り申し上げるとともに、日本人の庶民生活の延長上にガンがあるという事実を認識し、社会がよりよく変化していく決意を改めて強くしたさくらももこさんの死であったことをお伝えしたいのです。

ガンを克服する

日本人の国民病となっているガン。

庶民的な生活をしていると、誰でもガンになってしまうという現代の日本。これは本当に大きな問題です。

庶民という響きには、平凡だからこそありふれた幸せがたくさんあって、幸せのひとつに健康長寿もある、そんなイメージを持てる、それが国としての本来の在り方でないかと思うのです。

ところが、実際は庶民的生活をしていると誰でもガンになってしまうのですから、スグにでも庶民の食と生活を改めることが、最優先課題なのです。

マクロビオティックは身土不二と一物全体を基本とした、伝統に根差した食を中心とする生活法です。

本来はダレでも実践できる食と生活法なのですが、自然から乖離した農業が一般的になった現代では、本当に難しい食事になってしまっているというのが実情です。

健康長寿の国を目指すためにマクロビオティックは欠かせないものですが、その食を実現するのに最も大事なことは、自然な農業を再興することです。

私たち一人ひとりが自然な農業から育まれた食物をいただくことが、大きな革命につながる小さな行為なのです。マクロビオティックが普及すればガンは必ず減っていきます。2人に1人から3人に1人、4人に1人と徐々に、そして確実に減っていきます。

マクロビオティックの普及に関わって20数年、縁あって今も多くの人の食生活改善に携わらせていただいています。

マクロビオティックを実践する人は、現代一般の人に比べてガンに罹る率はずっと少ないのです。何%と統計を取っていないのでわかりませんが、10%以下であることは間違いないだろうと思います。

しかし、ゼロではありません。「マクロビオティックを実践しているのに何故ガンに罹ってしまうのか?」とよく訊かれます。

ガンは、本来体に入れてはいけない化学物質が蓄積して発症する病です。

化学物質は生活の細部にわたって私たちの身の回りにありますが、最も大きなものが肉食から取り込まれる化学物質です。マクロビオティックを実践する以
前に取り込んだ化学物質を上手に排毒排泄できないと、マクロビオティックを実践していてもガンになる場合があります。

もちろん、マクロビオティックそのものの実践で体はある程度浄化されるのですが、そのマクロビオティックの食事が陽性過ぎたり、生活法としてのマクロビオティックが疎かであったりする場合が多いのです。

生活法としてのマクロビオティックというのは、簡単に言えば「掃除」です。

掃除が疎かであれば、私たちの体は本当の意味ではキレイになりません。

掃除というのは、もちろん日々の家の掃除が基本になりますが、定期的な断食や塩断ちも体の掃除に含まれるのです。

断食と塩断ちを年に数回でも断続的に行っていると、ガンに罹る率がさらにグッと下がります。

いつかは今までの経験を数値に出して公表したいと思っていますが、断食と塩断ちを年数回でも習慣化した人の健康度は日々の食養だけの人に比べてものすごく高いのです。

実際にマクロビオティックを実践しながらもガンで亡くなった人を見ていると、断食と塩断ちができていなかった人が圧倒的に多いのです。

自然な農業と同じく、断食と塩断ちも昔からの伝統的な生活法です。

宗教は本来、昔からの健康長寿法を子孫に伝える役目としてあります。世界の伝統的宗教にはすべて断食があります。

そして、塩断ちも日本の古来宗教・神道の行法のひとつでもあるのです。

断食と塩断ちを国民運動として実践し、自然な農業が当たり前の農業となれば、ガンに罹る人はいなくなると思っています。

月刊マクロビオティック 2018年12月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。