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断食や半断食は病気を治すだけでなく、精神状態を改善したり希望を叶える大きな力をもたらす

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磯貝昌寛の正食医学【第80回】断食が願いを叶えるワケ

断食(半断食)について

食を断つことによって、からだの中の毒素や老廃物を分解除去してくれる遺伝子がONになって、からだが浄化されるということが解明されつつあるということは本当に素晴しいことです。

いやそれ以上に、東洋でも西洋でも、断食を習慣化してきた歴史があることにご先祖様の深い慈悲を感じます。

断食の効用は、文字で明文化されるよりも人々の実感として受け継がれてきたものではないかと思うのです。

そして、民族的に人々の健康を維持増進させる受け皿になったのが宗教ではないかと思います。

仏教でもキリスト教でもイスラム教でも、もちろん日本の神道でも断食の歴史があります。

イスラム教の断食月(ラマダン)は今でもとても有名です。

食することと食を断つことは正反対のことですが、身土不二という観点から見ると断食の行い方も世界各地で違いが生じてくると思います。

暑い地方と寒い地方での断食は同じはずはありません。

また、断食といえども水分まで断つのはとても難しいことですから、適当な水分を摂りつつ行うのが無難です。

お腹が空いたからといって水分で空腹を満たすような飲み方はいけません。あくまでのどの渇きを潤す程度の水分摂取が基本です。

しかし、のどの渇きが非常に強く、結果的に1リットルも2リットルも摂ってしまうようであっても、それはそれで自然なことです。

強い陽性を持っている人はそのようなこともあります。その水分をどのようなものにするか。

原則、今自分がおいしいと感じるものが一番です。

三年番茶がおいしいのか、少し塩気を欲するようであれば梅生番茶がおいしいと感じるかもしれません。

もう少しさっぱりしたものを欲するなら、第一大根湯やしいたけスープでもよいです。

カロリー不足を感じるようであれば葛湯がとてもおいしく感じます。

葛湯を摂ってもカロリー不足を感じる時は葛練りを食したほうがよいです。

葛練りは食事のひとつですが、胃腸にほとんど負担をかけません。

強い甘みを欲する人は、玄米甘酒を飲むとスーッと落ち着くことがあります。先に挙げた強い陽性の人は果汁( 原液のもの、または水で薄めたもの)が合う場合もあります。

これらは日本での断食( あるいは半断食)の場合ですが、別の国であればさらに違ったものになっているだろうことは想像に難くありません。

心身の健康維持増進、さらには悟りへの道が宗教のはじまりですが、原始的な宗教であるほど身土不二の影響を強く受けているように思います。

断食時の過ごし方について

正食・マクロビオティックは中庸への道です。極端な陰性、極端な陽性に偏らない中庸への道そのものがマクロビオティックだと思うのです。

その上で断食や半断食は中庸への道を明るく照らしてくれる灯台になると実感しています。

断食や半断食時の過ごし方は、シンプルに表現すれば「見ざる、言わざる、聞かざる」を実践することです。

私たちヒトの顔をよくみると、目、口、耳、鼻に穴が開いています。目、口、耳は主として思考する脳である大脳新皮質につながり、鼻は主として本能を司る脳幹につながっています。

目をよく働かせる仕事、口をよく働かせる仕事、耳をよく働かせる仕事は、少し休息できる時に断食や半断食を行うことが肝腎です。

そして目、口、耳を休ませるのに対して、鼻は呼吸を意味しますが、ゆっくりと深い呼吸を心がけることもまた肝腎なことです。

日々の生活をしながらでも、24時間程度の断食はいつもよりも少しだけ目、口、耳の働きを弱めて、鼻( 呼吸)に意識を向けるだけで実行できます。

その時のポイントも数日の断食や半断食と同じで、飲み物や胃腸に負担をかけない少量の食べ物で中庸へ向かわせるようにします。

自分がおいしいと感じる飲み物は、基本的に中庸へ向かわせるものです。

特に、摂取カロリーが少ないときに感じるおいしさは中庸へと向かわせてくれるものです。

桜沢如一はマクロビオティックの真髄を「本能の曇りを取る」ことだと云いました。

断食や半断食も本能の曇りを取るひとつの道です。今、時代は本能の時代に入ったと思います。

現代教育、社会教育の多くが大脳新皮質に偏重した教育方法を掲げていましたが、これからの時代は本能を鍛える教育が大事です。

有り難いことに、本能教育はいつでも、誰でも、どこでも実践することができるのです。そのひとつが断食や半断食なのです。

断食と願望成就

ある講演会で、参加者からとても重要な質問を受けました。

「断食や半断食の効果で、キリスト教でも断食後に希望が叶う、というようなことをいわれます。これについてはどのように思われますか?」という質問でした。

断食や半断食は病気を治す、ということだけでなく、精神状態を改善したり希望を叶える大きな力をもたらすと思います。

ただ、希望や願望が自然の流れに反していないかどうかということが問題です。

健康とはからだと心が自然と調和している状態をいい、逆に病気は自然とからだ(またはこころ)の不調和を改善に向かわそうとする反応です。

断食や半断食で健康を回復するということは、これらが自然とからだが調和する速度を速め、力を深めてくれる、ということなのです。

本来、自然と一体であるヒトは自然に沿った希望や願望を抱くものです。

断食後に希望が叶うというのは、断食によって心身ともに健康で頑強になって希望や願望が実現する体力、能力、気力が目覚める、という力もあります。

しかし、それ以上に希望や願望が自然に則してくるということが大きいのです。

そうなれば、無理とは「理(ことわり)が無い」と書くように、無理な希望や願望は抱かなくなります。

理とは宇宙の法則・秩序であり、簡単にいえば自然そのものです。

例えば、憎しみをいだく相手がいて、その憎い相手を呪う願望をいだいていたとします。

そういう人が断食や半断食を実行してその願望が叶うかといえば、答えはNOです。

断食や半断食は、憎しみを抱いていた自分自身を反省し、相手に対して「悪かったなあ…」という気持ちを喚起させます。

自然は常に最適解を与えてくれます。最も適した回答を与えてくれるのです。

自然と一体となることが希望や願望が叶う大きな理由であり、悩みを解消する力にもなります。

断食や半断食が自然と一体となることへの大きな一歩になると強く思うのです。

月刊マクロビオティック 2018年8月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。

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