体内環境を汚す食べ物の一つが脂肪分の多い食事

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マクロビオティック one テーマ45 文)岡部賢二 がんを作る食事① 脂肪の多い食べもの

血液循環の改善ががん治療のカギに

日本人の死因の第一位は悪性新生物と呼ばれるがんで、2人に1人が発症し、そのうち、3人に1人が亡くなっています。

さらに、がんは減るどころか、一年間で5000人ずつ増え続けていると言われ、その予防と根本的な治療法が必要とされています。

血液学の権威である森下敬一医学博士は、がんは血液の汚れを改善する浄化装置だと言われています。

昔は血液環境が悪化した時に、敗血症という血液が腐る病気にっていましたが、がん細胞がそうした毒血を一カ所に集めることで敗血症から守ってくれているとみることができます。

がんは酸素を必要としない嫌気性細胞であり、血液が汚れて酸素が供給できなくなると細胞自らが代謝システムを変えて、劣悪な体内環境に適応します。

したがって、がんを手術で切除したり、放射線で焼いたり、抗がん剤で溶かしたりしても、血液環境が改善しなければ、新たな浄化装置としてがんが発生(転移)することになります。

動物性脂肪が関係

体内環境を汚す食べ物の一つが脂肪分の多い食事です。

特に体が冷えている人が油脂を摂りすぎると、動脈や細胞壁などで滞ってしまうことになります。

なぜなら、お皿についた油は落ちにくく、強力な洗剤や石を用いなければ落とすことができません。

加えて、温かいお湯であれば油切れがよいですが、冷たい水だと油は固まってしまいます。これと同じようなことが体内環境にも言えます。

脂肪分の中でも、肉や卵、乳製品、畜肉加工品に含まれる、常温で固まる飽和脂肪酸(ラード)は問題です。

1977年にアメリカの上院・栄養問題特別委員会によって公表されたアメリカ人の食事目標(マクガバンレポート)によると、「動物性食品に含まれる動物性脂肪が心臓血管病やがんの死因に直接関係がある」と報告されています。

また、「脂肪摂取量と乳がんおよび大腸がんの発生率との間には強い相関関係があり、脂肪摂取量の増加と共に乳がんの発生も増加している。また、大腸がんは肉類の消費量と強い相関関係を示すが、それが肉類そのものによるものか、あるいか肉類の脂肪によるものであるかは、現段階では、未だ明らかでない」と述べられています。

細胞膜を酸化させ老廃物がたまりやすく

マクガバンレポートの発表により、アメリカでは動物性食品に含まれる飽和脂肪酸を減らすことが社会機運になり、それ以降、がんによる死亡率が年々減ってきています。

しかし、日本では、ご馳走というといまだに油脂を豊富に含むものが多いのが現状です。

霜降り肉やロース肉、まぐろの大トロのように、高級食材には脂肪分が多く含まれています。

また、お弁当屋さんのおかずにも、揚げ物が多く見られますし、ファストフード店で提供されるハンバーガーやフライドチキンやポテト、乳脂肪を含むアイスクリームやケーキ、チョコレート、スナック菓子、カップ麺の揚げ麺、ファミリーレストランで人気のエビフライやカツ丼、天丼、こってり味のラーメンなど、脂肪豊富な食品は大人気です。

なかでも業務用の揚げ油、パンのショートニング、マーガリンに含まれるトランス型脂肪酸(狂った脂肪酸やプラスチック脂肪酸と呼ばれる)には注意が必要です。

なぜなら、油脂は、酸化するからです。

酸化とはサビつくことであり、鉄が酸化するとボロボロに朽ちていくように、血管壁や細胞壁、赤血球の膜に付着した油分もまたサビを作り、劣化や老化を引き起こします。

特に問題なのは、細胞膜が酸化すると、血液とのガス交換や栄養の交換(代謝)が滞り、酸素欠乏状態や老廃物による汚れや毒素が蓄積することです。

さらに、体温が低下すると、細胞の代謝異常に拍車がかかり、がんを発症しやすくなります。

牛肉よりも鶏肉や魚 きのこなどと一緒に

こうした事態を回避するには、油脂の摂取量を減らすことです。

動物性脂肪の中でも融点の高い牛肉の脂には注意が必要です。

鶏肉の脂肪は融点が低く、体を温める働きもあるので、食べるのであれば乳動物の肉ではなく、鳥類や不飽和脂肪酸を含む魚類にしましょう。

そして、これらを食べる際には脂肪分解酵素を含む大根おろしや玉ねぎ、白ネギ、生姜、ニンニク、エリゴステリンという脂肪分解の成分を含むきのこ類、油脂を代謝する力の強いかんきつ類をしっかりと摂るようにしましょう。

麹を用いた発酵食品には脂肪分解酵素のリパーゼが含まれているので、料理に味噌や醤油、みりん、酢、甘酒を活用するのもおすすめです。

がん体質という方は、まずは油脂を含む食べ物を控えることから始めましょう。

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月刊「むすび」 2019年6月号より

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com