森下敬一 『食べもの健康法』● のり
江戸時代に日本に来た外人は、「日本人は紙の家に住んで、黒い紙を食べている」といって驚いたという。
住まいに使われている紙とは、障子やフスマのことで、食べている黒い紙とは乾燥のりのことだ。
このペラペラして磯の香の漂う食物は、ステーキやケチャップになじんだ舌にはなかなか受け入れがたいものらしい。
それだけ日本食独特の風味をもった食品なのだ。
乾燥のりを食べる習慣は、世界の中でも日本と韓国、北朝鮮だけ。この点でも、わが国とこれらの国とは、浅からぬ縁で結ばれているわけ。
ともかく、日本人ほどのり好きな国民はいない。のりが、日本人の健康に欠かせない食物であることを、体で知ってきたためであろう。
のりは、他の海藻と比べると、粗蛋白、ビタミンA、B2が多いのが特徴。晩秋から翌春までの寒期に生育するため、のり自体の抵抗性を強めるために、これらの有効成分を確保する必要があったのであろう。
それがそっくり、われわれの健康に役立つのだ。
すなわち、腸機能を整え、スタミナを増強し、肌や髪を美しくする。
このほか、鉄、カルシウム、リンも多く、造血・浄血作用をもち、とくに生理機能全体の調整に偉力をあらわす。
このため、のりを常食していると、のぼせ、息切れ、めまいなどが解消される。また、血管の硬化を防ぐので、高血圧、脳卒中の防止にも有効だ。
田井洋子著『魚と貝の四季」には、次のような話が紹介されている。
大島(東京都)のある宿の主人はいう。
「自分は若い頃、胸を病んで、栃木の山の中からここ大島に転地療養に来た。医者にもかからず、ただ毎日海を見て暮らし、のりや小魚を食べていただけであったが、いつの間にか病気は治ってしまって、ここで宿を始めた」 と。
海辺の空気には、体によい陰イオンがいっぱい含まれている。すがすがしい空気の中でせっせと散歩もしたであろう。
心の平安を得たということもあったに違いない。
いずれも浄血を促す条件だけれど、やはり、のりや小魚などの浄血食を食べていたことが、健康回復の決め手となったといえよう。
あぶると香ばしくなるのは、ジメチルサルファイドが芳香を発するためで、この物質は硫黄分を含むしょう油の香気と同系統のもの。
いずれも日本食らしさを生み出してくれる代表的な食品であることを考えると、この香りは日本人の感覚によほどマッチするものらしい。
のりには、生のり、素干し、焼きのりほかに、味つけのりや佃煮もあるが、これには白砂糖、化学調味料、保存料などの加えられているものが多いから要注意だ。
■のり澄まし汁
材料(4人分)
・のり・・・1/2枚
・こんぶだし汁・・・4カップ
・干ししいたけ・・・2枚
・根三つ葉・・・50g
・自然塩・・・適量
・しょう油・・・適量
<作り方>
①干ししいたけはだし汁のなかでもどし千切りにし、根三つ葉は根もきれいに水洗いし、長さ2cmに切ります。
②しいたけを加えてだし汁を煮立て、調味し、火からおろし際に三つ葉を加えて、椀に盛ってからのりを散らします。
■のりの包み揚げ
材料(6人分)
・のり・・・2枚
・青のり粉・・・少々
・そば粉・・・80g
・玉ねぎ・・・150g
・グルテンバーガー・・・40g
・ミネラル水・・・少々
・自然塩・・・小さじ1/3
・しょう油・・・大さじ1弱
・ごま油
<作り方>
①玉ねぎをみじん切りして大さじ1杯の油で透きとおるまで炒め、グルテンバーガーを加えます。
②、①にそば粉、水、塩、しょう油を混ぜ、よく練り、天ぷらの衣よりも固めにします。
③のりを6等分して②をスプーンですくってのせ、青のりをふり四隅をしぼって包み、油で揚げます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。