レッスン13 祖先
先祖からの贈物、先祖が食べていた穀類に意識を向けよう
食物は歴史を紡ぎます。あなたはご自身の祖父母が食べていた料理を食べたことはありますか?
好きなレシピを子どもや孫と分かち合ったことはありますか?
食物は世代を超越します。家族を結び付け、文化を形成しています。
医者や健康に詳しい指導者の元に行くと、あなたがこれまでに罹った病気の有無や病名、近親者の病気のリストを求められると思います。
これらの情報によってあなたの遺伝的な性質が分かり、病気に罹りやすいかどうかが分かるようになります。
ただし、あなたの先祖からの贈物はDNAだけではありません。
家系図を調べたことがある人は、戦争で戦った経験のある先祖、長距離を旅した先祖、有名人だった先祖を見つけるなど、先祖の歴史を調べることで、あなた自身の態度や性格に影響を及ぼした特質や出来事を発見するかもしれません。
あなたの食歴を知ることはワクワクすることかもしれません。食物は、遺伝的にも文化的にも、先祖から受け継いだモノと意義深い関係があります。
健康を決め、態度に影響を及ぼし、社会の基礎を作ります。
作物の耕作が人類にとってのターニングポイントとなった農業革命を思い出してみましょう。
歴史を振り返ると、狩猟社会が部族社会となり、さらに文明化していきました。
道具、支配体制、工芸品、食物が社会の進化に伴って発展していきました。人々は土地を耕し、作物を植え、収穫し、蓄えを確保し、農業が興隆しました。
文明の歴史は、穀物の耕作に似ています。大麦は肥沃な三日月地帯のある中東で耕作された最初の穀類の一つでした。
お米はインドと中国で育ち、大麦とオーツ麦がヨーロッパで育ち、トウモロコシとキノアがアメリカで育ちました。
穀類はそれぞれの文化で重要な位置を占めています。人々は種を植え、収穫を祝う儀式を生み出しました。
神様や女神様が贈物として穀類を与えてくださったと信じたからです。エジプト文化では穀類を非常に位の高い名誉と捉え、穀類の粒をファラオの墓に供えました。
時が経っても穀類は食糧の供給源の土台であり続けました。
移住する際には、種を持ち運び、新しい土地にそれらを植えました。その後、様々な種が育ち、新しい食物や飲物が登場しました。
それらは今日でも続いています。
例えばキヌアのように、ペルーのインカで育っていた穀類が今ではアメリカで栽培されています。
また、穀類は交配、遺伝子組み換え、精製され、有害なモノに変わることもあります。
高果糖コーンシロップがその例ですが、これはトウモロコシ由来のモノであり、現在、多くの疾患と関連があるとされています。
穀物を丸ごと、加工せずに食べることで、多くの恩恵を受けることができます。
健康を支え、メニューを考える際の土台になります。今日のレッスンでは、穀物を通して、あなた個人の過去との関連性を理解していきます。
Exsecise13 先祖が食べてきた穀類を食べる
今回のレッスンでは、食事の際に別の視点からあなたの先祖からの歴史を捉え、歴史を紡いでいきます。
あなたの先祖のことを思い出し、何の穀類を食べてきたのかを探りましょう。
あなたの両親、祖父母、曾祖父母が何を食べていたのかを遡って探る必要はありません。
おそらく、先祖たちが自ら穀類を栽培していたことが分かるでしょうし、農家を営んでいなかったとしたら近隣で栽培されていた穀類を食べていたのかもしれません。
食事の大部分を占めるモノではなかったかもしれませんが、おそらく食卓の一部を毎日飾っていたのだと思います。
例えば、北欧とスカンジナビアではオーツ麦、ライ麦、大麦、小麦、アメリカ先住民にとってはトウモロコシ、日本や中国、インドでは米、アフリカでは雑穀、ソルガム、テフなどでしょう。
アイルランドでは、ジャガイモを食べる以前に大麦を、ヨーロッパでは小麦以前に大麦とライ麦を食べていました。
穀類から加工した食物は、パン、パスタ、トルティーヤ、ポリッジ、クラッカーなど、たくさんの種類があります。
先祖から受け継いだ食物をベースに穀類を選び、この穀類があなたの先祖の命を紡いできた流れを想い起こしてみましょう。
食べる際にはよく噛むことも忘れずに。
先祖からの遺伝情報が世代を超えて伝わってきたように、あなたの先祖が食べてきた食物が彼(女)等を養ってきました。
そうした穀類を食べることで、細胞内の奥底に存在する知識を強化し、先祖からの直感的な記憶を強固にすることができます。
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Julia Ferré
北カリフォルニア在住。夫のCarl Ferréと共にGOMFを運営。
GOMF発行「Macrobiotics Today」誌への原稿執筆、毎年のサマーキャンプの運営を行う。
新刊「Food and Intuition 101」に加え、「Basic Macrobiotic Cooking」「French Meadows Cookbook」の著者。
foodandintuition-jp.jimdo.com