白砂糖の摂取過剰が低血糖状態の原因の一つ

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マクロビオティック one テーマ21 (文)ムスビの会主宰 岡部賢二 

白砂糖の摂取過剰が低血糖状態の原因の一つ

最近、疲れやすい、集中力がない、イライラが続く、気分が落ち込む、感情を抑えられないといった症状でお悩みの方が増えています。

これらの症状は自分の性格の問題ではなく、実は現代型栄養失調といわれる低血糖症から来ていることが多いのです。

その原因の一つに、白砂糖の摂取過剰があります。

穀物の場合、でんぷんがゆっくりとブドウ糖に分解されて血液中に吸収され、徐々に血糖値が上がります。それに応じてすい臓からインスリンが分泌され、血糖値を正常に戻します。

穀物が腸から血液中に吸収されるのを歩く速度だとすると、白砂糖の場合はロケット並の超スピードで吸収されるため、すい臓ではパニックが起こります。

そして、大量のインスリンが分泌され、血糖値が急落するとまた甘いものが欲しくなるという悪循環が起こります。

糖尿病へのリスクが上昇 脳の生理異常も招く

このような状態が続くと、やがてすい臓が疲れ、血糖値を正常に維持できなくなってしまい、糖尿病になるリスクが上昇します。

さらに低血糖状態では、脳の理性を司る部分が十分に働けなくなり、感情のコントロールがうまく出来なくなります。

そこで血糖値を上げるため、食欲増進ホルモンであるアドレナリンが分泌されるのですが、アドレナリンは別名「闘争ホルモン」と呼ばれるものなので攻撃性が増すのです。

今、子どもたちの間で増えている「ムカつく」、「キレる」、「いじめる」といった攻撃性は、低血糖症が原因となって起きている可能性が高いと考えられます。

したがって、これら脳の生理異常を改善するためには、まずは情操教育よりも、白砂糖を含む清涼飲料水や菓子パン、アイスクリーム、チョコレート、ケーキといったものを控えることが先決です。

特に清涼飲料水の10%は砂糖なので、300㏄のジュースには30グラム(スティックシュガー10本分)、1500㏄のジュースなら150グラム(スティックシュガー50本分)も含まれていることになります。

よく電車の中で、菓子パンを食べている女性を見かけますが、きっと糖分切れを起こしているので家に帰るまで待てないのだと思われます。

なぜなら低血糖状態になると極度の空腹感が生じ、甘いものが食べたくなるからです。

そして、ひどくなるとアドレナリンの作用で交感神経が過度に緊張し、発汗や動、手指の震え、不安感、錯乱、頭痛といった症状が現れます。

さらに進むと、中枢神経のマヒ状態として集中力の低下、脱力感、眠気、めまい、疲労感、ものがぼやけて見える、ろれつが回らない、物忘れといった不快症状も生じます。

すい臓の働きを助ける食べものを

低血糖症の対策としては、胚芽米、麦ごはん、雑穀ごはんといった穀物を増やし、少量ずつ一日5、6回摂るようにします。

私は、おむすびを握って持参するようにすすめています。

理由は、お腹がへったときに甘いものの代わりにおむすびを食べると、血糖値が緩やかに上昇するので、すい臓に負担をかけないからです。

また、腹もちが良いので極度の空腹感を招くこともありません。

甘いものを食べる場合でも、その前におむすびを1個だけ食べてからお菓子を食べれば、血糖値が乱高下することを防いでくれます。

糖分の他にも、すい臓に負担をかけるものに油物があります。

なぜなら油脂の分解に大量のインスリンが必要になるためです。

したがって、スナック菓子やカップめん、ハンバーガー、ドーナツといった油分の多いファーストフードを控えることも大切です。

糖質や脂質の代謝にはビタミンやミネラル、酵素、食物繊維といったものが必要です。

これらの微量栄養素は、すい臓の働きを助け、取り込まれた栄養素を完全燃焼してくれます。

燃焼状態が良くなれば、過食を防ぐことになり、すい臓の負担を減らすことに繋がります。

雑穀ごはんと味噌汁、つけもので低血糖予防

特に亜鉛はインスリンホルモンの合成に欠くことができないミネラルで、添加物の排泄にも真っ先に使われる成分なので、特に現代人は不足しがちです。

亜鉛は食物や野菜の皮の部分に含まれるので、一物全体で、丸ごと食べるのがおすすめです。

また、海藻や豆類、きのこ類、乾物類、発酵食品にも亜鉛が豊富に含まれていて、マクロビオティックでは、すい臓の強化に亜鉛の多いかぼちゃ、小豆、昆布を組み合わせた小豆昆布かぼちゃをよく用います。

朝、1杯の味噌汁はブドウ糖の供給源としても優れているだけでなく、着火剤として働くビタミンB群や亜鉛、精神安定効果のあるカルシウム、マグネシウムも豊富に含まれているので、雑穀ごはんと味噌汁、つけものを日々食べていれば低血糖症を予防できます。

さらに、玄米甘酒を保温ボトルに入れ持ち歩き、糖分切れを起こしたかなと思ったら、1口~2口飲むことで空腹感が収まります。

すい臓に負担をかけない穀物や発酵甘味料の甘酒を低血糖症の改善に上手に活用してください。

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月刊「むすび」 2017年9月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com