森下敬一 『食べもの健康法』●胚芽
植物の種に、水、日光、熱などの適当な条件を与えると発芽する。その発芽部位だけを取り出したものが、健康食品としての胚芽である。
発芽能力をもつということは、新しい生命体を生み出すために必要な有効成分をすべて含んでいる、ということだ。
実際、胚芽には、現在わかっているだけでも、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、E、プロビタミンC、ニコチン酸、パテント酸、葉酸、及びミネラル、酵素類と多彩だ。
いわば胚芽は生命のエッセンスなのである。
その胚芽の生理作用を一言でいうと「血液性状の異常を、きわめて短期的に正常な状態に戻す」ともいえる。
例えば血漿蛋白が多すぎる場合にはそれを減少させ、逆に低蛋白血漿の場合にはそれを増大させ、いずれも正常値に復元させるのである。
前者の例としては貧血症があり、後者の例には肉食による基礎体力の低下が挙げられる。
貧血症はひどくなると、不妊症や心臓病などの原因となるもので、今激増している貧血症は昔のそれとはまったく違って、高蛋白性すなわち栄養過剰性の貧血症だ。
この新しいタイプの貧血症を根治させるためには、胚芽が必要不可欠である。
一方、肉、牛乳、卵を多食している人は、常識的には意外と思われるかもしれないけれど、低蛋白になりやすい。
じつは、この事実こそ、動物性蛋白食品が、我々の体の蛋白源となっていない事を示すもので、肉食がスタミナ食でないことの動かぬ証拠なのだ。
ともかく、低蛋白を放置すれば、体力低下、精力減退を招く。胚芽は、そのような弊害を確実に解消してくれるのである。
同様に、血糖や血圧に対しても、胚芽は目覚しい調節作用を示す。
また、胚芽の脂肪にはリノール酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれているので、血液中の余計なコレステロールを除去して、動脈硬化を防止し、血管の若返りをはかる。
併せて、ビタミンの効率のよい補給源でもある。
Eは副腎皮質ホルモンの分泌を促し、抗ストレス力を高める。それで、心身の過敏症を沈めるので、イライラやアレルギーの防止に大いに役立つ。
Eはまた、脳下垂体ホルモンの分泌をなめらかにする。
だから胚芽を十分にとっていると、筋肉の弱体化を防いで老化を防止し、性欲や性的感度を高めるとともに、不妊症を治す。
さらに発毛障害(病的脱毛)を快方に向かわせる。
いうまでもなく、白米は胚芽欠乏食だから、白米常食に必発する自律神経失調症や便秘症も、胚芽を補給することによって確実に解消することができる。
胚芽はすぐれた抗公害食品であってフィチン酸が、体内に侵入した公害物質を体外につまみ出してくれる。
また、豊富なビタミン群が代謝を正常にするとともに、制ガン作用を持つビタミンKも含まれている。
■胚芽プリン
材料(8個分)
・胚芽粉・・・1カップ
・くず粉・・・大さじ2
・豆乳・・・1/2カップ
・はちみつ・・・大さじ2
・自然塩・・・小さじ1/2
・寒天・・・1本
・ミネラル水・・・2カップ
・プリン型
<作り方>
①寒天は水洗いしてしぼり、ちぎって、分量の水に漬けておきます。くず粉は、同量の水で溶きます。
②寒天、くず粉を混ぜて火にかけ、ゆっくりに溶かし、とろみがついてきましたら、胚芽、塩、豆乳、はちみつを加えて練り合わせ、プリン型をぬらして流し込み、冷やし固めます。
■胚芽ヌガー
材料
・胚芽粉・・・大さじ10
・豆乳・・・大さじ4
・米飴・・・大さじ3
・植物バター・・・大さじ3
・ピーナッツ・・・50g
・自然塩・・・少々
<作り方>
①米飴、植物バター、豆乳、自然塩を小鍋に入れて煮溶かし、2~3分煮つめて胚芽粉とピーナッツを加えて練り、型につめて固め、小さく切り分けます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。