森下敬一 『食べもの健康法』●あずき
イネ、ムギ、アワ、ヒエ、マメは五穀と呼ばれ、重要視されてきた。五穀が豊穣であれば、われわれ穀菜食民族は、万々歳なのであった。
その豆の中でも大豆と並んで珍重されたのがあずきである。
大半の日本人がモチ、まんじゅう、ぜんざいなど、あずきを使った食品に目がないのも、それだけ、あずきと生理機能との結びつきが緊密で、強い生理的欲求が生じるせいかもしれない。
それというのも、あずきにはビタミンB1が多く含まれているとともに、すぐれた緩下作用がある。
ビタミンB1は澱粉質の代謝に不可欠だから、穀物中心食の日本人は、B1の豊富な食品を極力補給する必要がある。
また澱粉質は腸壁に及ぼす作用が穏やかなだけに、腸内容物は停滞しがち。
だから、腸の蠕動(ぜんどう)を盛んにする作用を持った食品を積極的にとるべきだ。
あずきは硬い組織でできている皮が腸の運動を高めるとともに、特殊成分であるサポニンが腸を刺激して便通をよくする。
赤飯、汁粉、おはぎなどはいずれも澱粉質の食品とあずきを組み合わせたもので、きわめて合理的な利用法である。
それにしても、女性は一般的にあずき製品が好きで、実際よく食べているのに、便秘症の人が多いのはなぜだろうか。
それは、白砂糖がたっぷりと加えられているせいだ。
白砂糖は腸の組織をだらけさせ、蠕動を著しく弱める。せっかくあずきを用いていても、大量の白砂糖を加えていては、マイナスのほうが大きくなってしまう。
白砂糖はやめて黒砂糖を用いるべきだ。
黒砂糖には便を軟らかくする作用があるから、あずきの緩下作用はいっそう確実になろう。
あずきは甘味をつけなければいけないというものではない。
ゆでたものを、塩味で食べたり、汁の実(おこと汁など)にしたり、また塩あんの味もなかなかオツなものである。
昔から、あずきは咬傷(こうしょう)や鼠毒症の特効薬とされている。
毒素が血液中に入ると、高熱を出してひどく苦しむようになる。そんな時、あずき粉を水でどんどん飲むと、あずきの利尿・解毒作用によってことなきを得る、というわけ。
脚気や腎臓病、心臓病のむくみを治し、症状を軽快にさせるのも、同様の作用による。
利尿・解毒が促されると血液はきれいになって、内臓の疲れも取れる。疲れやすい人はあずきを少しずつでも常食すると良い。
このほか、あずきには催乳作用もあって、あずきを連食していると、乳の出がよくなる。
圧力釜を使い、水をあずき量の2倍量加え、20分間沸騰させた後蒸らすだけで、あずきは軟らかく煮あがる。
普通の鍋を用いるときは、竹の皮か笹の葉を入れて煮ると、自然の亜硫酸の作用で早く軟らかくなる。
市販されているあずきは、油臭のないものを求めると良い。
いとこ煮
材料(10人分)
・あずき・・・2カップ
・れんこん・・・500g
・自然塩・・・大さじ1
<作り方>
①あずきは水洗いして、2~3倍のミネラル水で煮立て、ときどき少量の水を差しながら柔らかく煮ます。
②れんこんは5cmのいちょう切りにし①に加えて煮込み火が通ったら塩で調味します。
※れんこんのかわりにさつまいも、かぼちゃも応用してください。
おこと汁
材料(5人分)
・ゆであずき・・・2カップ
・大根・・・80g
・にんじん・・・50g
・ごぼう・・・1/2本
・こんにゃく・・・1/3枚
・白みそ・・・80g
・だし汁・・・3カップ
・ごま油・・・大さじ1
・青味・・・少々
<作り方>
①大根、にんじんはいちょう切り、ごぼうはささがき、こんにゃくは短冊に切り、ごま油で炒め、だし汁を加えて煮込みます。
②白みそを①に溶き入れ、ゆであずきも加えてひと煮立ちしたら火を止めます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。