森下敬一 『食べもの健康法』●大根
ナマでよし、乾燥させてよし、煮てよし、根も葉もすばらしい薬効を持っている大根は、大変に重宝な野菜である。
冬大根は、ふろふき、おでん、鍋物などにすると特別の味わいがあるけれど、薬効を得るには「ナマが一番」なのだ。
大根おろし、または漬物として用いるのが望ましい。
大根おろしは、腸内の異常発酵を防止する。腸内に異常発酵が起こると、有害な毒素が発生する。
その毒素が血液中に入り全身を巡るようになると、組織に炎症が起こりやすくなる。
胃炎や肝炎が炎症であることはその文字からわかるだろうが、実がガンもレッキとした炎症。毒素の発生が著しくなると、発ガンしやすくなるのである。
大根おろしが異常発酵を防止するのはジアスターゼ、アミラーゼなどの酵素および繊維が豊富に含まれているからだ。
酵素は消化液の分泌を調節して消化作用を円滑にし繊維は腸壁を刺激して、腸壁細胞の働きを活発化するとともに、蠕動運動を適正な状態にする。
このため、大根おろしを常用していると、胃炎、胃酸過多、便秘、下痢など胃腸病全般に大いに有効である。
特に、胃にもたれやすい天ぷらやモチなどを食べる時には、大根おろしをたっぷり添えたい。
大根おろしは、ぜひ皮付きで作りたい。
皮には、ビタミンPやカルシウムなどの有効成分が含まれているからだ。ビタミンPは毛細血管強化作用を持つ。
皮付き大根おろしは、高血圧、糖尿病に有効で、脳出血の予防に役立つ。
皮付きのよいのは、何も大根だけに限った話ではない。皮には、外界から内部を守るという特別な任務が負わされているために有効成分がより高密度に配置されているのだ。
大根おろし汁にはちみつを適宜加えて飲むと、セキ、声がれ、のどの痛み、二日酔いに効く。
大根の葉も大いに活用したい。
大根の葉と根に、しょうが、自然塩を加えた一夜漬けは、性ホルモンの分泌を促すので、精力増強に有効。
また、葉は植物油で炒めて食べていると、葉に含まれる葉緑素やビタミンAの効果が十分に生かされて、ニキビや吹き出ものを治し、目の充血や歯ぐきの出血を防止できる。
漬物は、塩漬けにしてその火のうちに食べたりする浅漬けの場合は大根おろしとほぼ同様の効能があると考えてよい。
昔ながらの方法で長期間漬け込んだタクアンは、脱水された上に、カドの取れた塩分が加わり、発酵によって生じた酵素が含まれるので、別の薬効が加わる。
それは一言でいうと体質を陽性化し体を引き締める作用だ。
寒さに弱い人、太り気味の人、虚弱体質の人、疲れやすい人はタクアンを積極的に摂りたい。
勿論、人工の甘味料や着色料などの使われていない本物のタクアンでなければ、ダメだ。
■一夜漬け
(材料)
・大根・・・1/2本
・大根の葉・・・1本分
・しその実・・・大さじ3
・赤とうがらし・・・少々
・根しょうが・・・中1かけ
・ゆずの皮・・・1/2個分
・自然塩・・・大さじ2
<作り方>
①千切り大根に塩大さじ1杯をふりかけ、20分ぐらいおいてしぼります。
②葉は熱湯に通して細かくきざみます。
③赤唐辛子は種を取り細かく切り、しょうが、ゆずの皮は千切りして材料全部に大さじ1杯の塩を足し混ぜて重石をしておきます。
■おろし和え
材料(6人分)
・大根・・・350g
・油揚げ・・・2枚
・ねぎ・・・30cm
・しょう油・・・小さじ4
<作り方>
①大根はおろして水気を切り、油揚げは熱湯をかけて油抜きし水分を取り、焼いて細かく切り、ねぎは小口からきざみます。
②材料を全部混ぜてしょう油を加えて調味します。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。