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ネットフリックス、快進撃【テレビ、映画界に明日はない】

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船瀬俊介連載コラム

マスコミのタブー200連発〈113〉(月刊『ザ・フナイ』)

ネットフリックス、快進撃――テレビ、映画界に明日はない

年間500本視聴のマニアも唸る配信サービス

ネットフリックス(Netflix)に、はまっている。

私は、今でも年に500本近く映画を観る。マニアというより完全にシネマ中毒(フリーク)だ。

仕事で、奥武蔵の名栗からしょっちゅう東京に出かける。

そして、ヒマさえあれば、映画館に籠る。

「船瀬さんの携帯には、なかなかつながらない」

よく、こんな苦情を聞かされる。申しわけない。そんなときは、映画館の暗がりに潜んでいる。

一日2本、3本観ることも珍しくない。

そんな私に2年ほど前、娘がこう教えてくれた。

「お父さん、ネットフリックスがいいよ。映画見放題だし……」

ネットフリックス……? なんじゃそら。初めて聞く名前だった。

ネット世代は、手続きも早い。

「……入会すませといたヨ!」

つまりは、インターネットで映画を家庭に配信する新しいサービスなのだ。

まず、会費の安さに驚いた。なんと月額650円(税抜※)……! ウソだろ、と思った。

「大きなテレビ画面で観ると、1200円(税抜)だけど……」

そんなの、安いもんだ。さらに驚いたのは、これで家族五人まで、別々の端末で映画が受信できる、という。

それも、娘たちとは別々に住んでいるが、各々、違った場所で観ることができる――というわけだ。

で、めでたくネットフリックスの会員となった。

圧倒的コンテンツ量!いたれりつくせりの気配り

ネットフリックスを開くと、まず「どなたが観ますか?」と、イラスト付の画面が出る(写真A)。

そこで、「父」を選択する。すると、映画一覧が表示される。

その圧倒的な数に、文字通り呆気にとられた(写真B)。

「NETFLIXオリジナル」と銘打った作品も、多数ある。

これらは、同社が制作したオリジナル作品だ。その種類、分野、作品数なども圧倒的だ。

その数は、軽く数百はあるだろう。作品も「海外映画」「国内映画」「TV番組」「ドラマ」「アニメ」「アジア映画」「韓流・アジアTV番組」「バラエティ」……から「アクション」「アドベンチャー」「コメディ」「SF・ファンタジー」「ラブロマンス」「ドキュメンタリー」と、まさに、なんでもあり。

そのコンテンツの多彩さには、舌をまく。

「受賞歴のある映画」「インディーズ映画」「懐かしの名作」……など、分類も懇切丁寧である。

さらに加えて、例えば「ドキュメンタリー」も、「音楽・コンサート」「政治をテーマ」など、より視聴者の興味に合わせて分類している。

各作品には「マッチ度98%」などと画面に表示される。これまで視聴した人の「イイネ」の割合なのだ。

作品の評価、完成度などが、具体的に分かる。

さらに……「あなたにオススメ」のジャンルまである。

これまで、視聴した作品を、すべてAIが記憶している。好み、傾向パターンから、似た作品の一覧を、すすめてくれる。

これぞ、いたれり、つくせり。かゆい所に手が届く……とは、このことだ。

映画マニアとしては、まさしく〝宝の山〟に迷いこんだ気分だ。

なんていっても月額1200円!これで一カ月、見放題。町の映画館では1本1800円もする。

コスト・パフォーマンスから絶対こちらがおすすめ。子どもでも分かる。

ハリウッドから多くの才能が流入

さて――。

肝心の作品のクオリティ。一言でいえば感嘆した。

主題(モチーフ)、シナリオ、映像、音響……どれをとってもすばらしい。きわめて完成度が高い。

NETF L IXオリジナル映画に、ハリウッドの有名俳優は、ほとんど出ていない。さらに、監督なども無名だ。しかし、その出来ばえは、鮮烈である。

「……ぼくのアメリカでの映画仲間も、先を争ってハリウッドからネットフリックスに流れていますよ」

目の前の笑顔が、あっさり語る。私塾「船瀬塾」を主催してくださる株式会社ワンダー・アイズの社長、大塚浩一氏。

彼は、慶應義塾大学を経て渡米、カリフォルニア大学映画学科を卒業。その後、アメリカのテレビ、映画業界で仕事に携わってきた。彼の証言は生々しい。

ハリウッドからネットフリックスへ――大量の人材流出が起こっている。

ネットフリックス作品が高品質である謎が解けた。

ハリウッドの現場で鍛えられた才能が、新天地を求めて殺到しているのだ。

かれら、若い才能の深い真情は、よく理解できる。

なぜ、映画人や映像作家は、ハリウッドを見限っているのか?

それは、昨今のハリウッドを観れば、一目瞭然である。

ハリウッドも日本映画も終わった……

私は、最近のアメリカ映画〝超大作〟のポスターを見ただけで、ゲンナリする。

たとえば、『アベンジャーズ』シリーズ。なんで、宇宙SF物語に、アライグマや木片まで登場してくるのか?

ワケが分からない……というより、トチ狂っている。

その幼児性は、まさに〝お子様ランチ〟映画だ。それに、一部ファンは熱狂している。その頭の中身もまた幼児レベルなのだ。

『トランスフォーマー』シリーズも、〝お子様ランチ〟である。

そもそも、発想が日本のオモチャメーカー、タカラトミーの変身ロボット。出自からして〝お子様〟向けなのだ。それを、大の大人が大喜びで観ている。

さらに、ハリウッドの退化を物語るのが昨今のディズニーの体たらくだ。

『白雪姫』『アラジン』『ダンボ』……おとぎ話や往年のヒット作の焼き直し。

それだけ、ネタ切れは深刻なのだ。

まあ、もともとウォルト・ディズニーは、国際秘密結社フリーメイソンの超大物。一連のディズニー作品そのものが大衆〝洗脳〟の道具だった。

だから、いまさら、あきれてもしょうがない。

しかし、99%の大衆は、そんな闇の世界の存在など知るよしもない。

こうして、世界中で人類の退行化、幼児化が恐ろしい勢いで進んでいる。

それは、日本の映画界も同じだ。

『翔んで埼玉』なる映画の予告編を観てアゼンとした。

「埼玉県民には、そこらへんの草でも食わせておけ!」

呆れた差別映画である。それなのに、もっとも劇場に駆けつけているのが埼玉県民だという……。

馬鹿にされて喜んでいる! その隣の劇場で上映されているのが『十二人の死にたい子どもたち』……!

もう、日本は終わった……と思うのは、私だけではないだろう。

そして、映画館は、どこもガラガラ。先日行った池袋シネマ・ロサは、観客が3、4人だった……。

作家の魂の声が伝わってくる

いっぽう、内外には、心ある映画人、志のある映像作家も数多くいる。

彼らは、このような醜悪な現状に身をおきたくない。そう思っているのは当然だ。

その眼前に、希望の光明と地平が出現した。それが、ネットフリックスである。

圧倒的なスケールとクオリティは、他のネット映像配信業界を、はるかに凌いでいる。

私は、ネットフリックス加入と同時に、迷わずWOWOWをやめた。コンテンツ量と質を比較すれば、まったく勝負にならない。それは、スターチャンネルも同じ。完敗、惨敗である。

私自身も映画のシナリオを何本も執筆してきた。映画の命とは、なんだろう。

それは、主題(モチーフ)である。

かの巨匠、黒澤明監督は言い切っている(写真C)。

「モチーフは、一言で言い切れねばならない」

代表作『七人の侍』は、「強者は弱者のために死ねるか?」(写真D)。

この普遍の命題ゆえに、今も同作品は不朽の輝きを放ち続けている。

モチーフとは、まさに作者が観客に伝えたいメッセージである。作者の魂の声である。

ネットフリックス作品には、どれにも、その〝声〟が感じられる。

加盟してすぐに観た映画で感銘を受けた作品がある。

それが、2017年公開の『オクジャ』だ(写真E)。

遺伝子組み換えで作られた巨大豚(スーパーピッグ)と韓国少女の友情を描いている。米韓合作である。

一見、娯楽作品のように見えて、じつは遺伝子組み換え巨大企業の陰謀を痛烈に暴いている。

真っ向から告発している敵が、モンサントである。ロックフェラー財閥の100%子会社の超悪徳企業……。

名前こそ〝ミランダ〟と仮名にしているが、だれもが一目でモンサントと判る。

同作品は、カンヌ映画祭で、パルムドール、女優賞、男優賞、監督賞、脚本賞など七部門でノミネートされるなど、高い評価を得ている。

『オクジャ』は、ディズニーでは絶対に作れない映画だ。

同じ穴のムジナ……ロックフェラーを告発するなど、さかだちしても不可能だ。

傑作『ROMA/ローマ』は映画界を覆す

ネットフリックスが、さらに質の高さを世界に見せつけた作品がある。

それが2018年公開の『ROMA/ローマ』である(写真F)。

メキシコシティの家政婦の日常、人生を静かに描いた作品だ。

モノクロ画面は格調高く、淡々と流れていく。

それは、世界中の映画批評家から絶賛を浴びた。

ベネチア国際映画祭で金獅子賞、アカデミー賞も10部門にノミネート。そして、監督賞、撮影賞、外国語映画賞を受賞している。

『ROMA/ローマ』は、世界の映画界を根底から覆すといわれている。

なぜなら、ネットフリックスのオリジナル作品であり、会員しか観られなかったからだ。

これに、いまやハリウッドの大御所であるスピルバーグが噛み付いた。

「映画は、劇場で見るもの。ネット配信される作品はTV番組に過ぎない。それは、エミー賞の対象であって、アカデミー賞にはふさわしくない」

しかし、天下の大勢にはハリウッドといえども逆らえない。

2019年度からアカデミー賞委員会は、ネット配信作品も授賞対象とした。

ネットフリックス側も歩み寄り、限定ながら市中映画館で上映を行っている。

『ROMA/ローマ』は、何から何まで、異例づくめの作品だ。

まず、舞台はメキシコシティの下町ローマ。会話はスペイン語。主人公を演じるのは全く演技経験のないインディオ女性……。

これは、ネットフリックスでなければ絶対実現しなかった映画だ。

「……大手映画会社は近年、手っ取り早く2億~3億ドルの年間興行収入を稼げる大衆向け映画、いわゆる『テントポール』映画にしか興味を示さなくなっている」『週刊ダイヤモンド』(2019年4月20日号)の冷静な分析だ。

「そのため、少しでもマニアックなテーマや特定の人にしか興味を持たれないような映画の配給には興味を示さない。

そうなった映画は流通ルートを断たれてしまい、そこにネットフリックスが入り込む余地が生まれたのだ」

「『ROMA』は大手映画会社がそっぽをむくような映画の典型だった」(同誌)

1997年、30人の若者が立ち上げる そもそも、ネットフリックスとはどういう会社なのか?・・・

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ザ・フナイ 2019年8月号  マスコミのタブー200連発〈113〉 より

月刊『ザ・フナイ』は、船井幸雄が「世の中を変える意識と行動力を持つ人に向けて発信する」と決意し、(株)船井メディアより2007年10月号から創刊した雑誌です。

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

船瀬俊介公式ホームページ= http://funase.net/

船瀬俊介公式facebook=  https://www.facebook.com/funaseshun

船瀬俊介が塾長をつとめる勉強会「船瀬塾」=  https://www.facebook.com/funase.juku

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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