森下敬一 『食べもの健康法』●にほんそば
今外で食べられているもので健康食圏内に入るものといったら、日本そばぐらいである。
もちろん家庭で作れば、そば、調味料、具の吟味ができるからより健康的な食物になることは申すまでもない。
そばというと世の栄養学者は、炭水化物ばかりの欠陥食ときめつけ、そばを昼食とする際は、卵1個を添えよとか、牛乳1本飲めとか、やかましい。
本当は、炭水化物中心食こそ、われわれの健康にとって何よりも重要なものなのだ。
ただし、ミネラルや酵素など各種の有効成分と一体となっているものでなければならない。
その点、そばは、粗蛋白、ビタミンB群、Dなどが豊富だから申し分なし。なまじ卵や牛乳などの血液を汚す食品を添えたら、せっかくのそばの薬効も台無しになってしまう。
そばの薬効を高める海藻や野菜を添えるべきだ。
そばは、なるべく色の濃いものを選ぼう。
色黒のそばには甘皮も含まれていて、便通を整え老廃物の排泄促進効果が大きいからだ。
便秘解消は、血圧の正常化に大いに有効。おまけにそばにはルチンという毛細血管を強くする成分も含まれているので、動脈硬化の防止に威力を現す。
できれば「そばがき」にして食べるのが理想的。野趣豊かなそばの風味を十分に楽しめる。
それよりも、小麦粉などの混ぜものを加えないし、湯でこぼしもしないから、そばの有効成分が丸ごと得られるという利点がある。
もともとそばがきというものは、まじり気のない、引きたてのそば粉で作るもの。そんなそば粉が容易に手に入らなくなったことから、今日の「そば切り」全盛時代が到来した、ともいえる。
今一般に食べられている、うどんや素麺のようにヒモ状に加工したものは「そば切り」なのだ。
つなぎに何割かの小麦粉が加えられている。
そばは奈良時代以前から、備荒食品として重んじられてきた。もっぱら、そばがき、そば団子、そばモチなどにして食べた。
いずれもそば粉に熱湯を加えて練ったもの。
少量でより大きい効果を得る食べ方であったわけだ。そばは、高冷な山地や荒地にもよく育つ。
その雑草性が、それを食べる人間のバイタリティを著しく高める。
バイタリティが強化されるということは基礎体力が増強され、積極的な性格となり、キビキビした活動性を生む、ということ。
最近の日本人は、バイタリティが低下し、体質がうんと低下している。白米、白パン、白砂糖、温室栽培の野菜などを常食しているからだ。
肥満や糖尿病、リュウマチ、腎臓病などの慢性病が激増しているのも、そのせい。
大いにそばの愛用をおすすめする次第である。
■そばかけ
材料(4人分)
・そば粉・・・1カップ
・自然塩・・・少々
・熱湯・・・1/3カップ
・豆腐・・・1丁
・にんじん・・・1/3本
・こんぶ・・・10cm
・だし汁・・・5カップ
・ながねぎ・・・1/2本
・みそ・・・大さじ3
・しょう油・・・大さじ1
・自然酒・・・小さじ1
<作り方>
①そば粉、塩を熱湯で混ぜてよく練り、まな板の上に取り粉をふり、厚さ3mmくらいに延ばして6cm角に切って、さらに斜め3つに切ります。
②だし汁で、2cmに切ったこんぶをやわらかく煮てから、いちょう切りにしたにんじんを加ええさらに煮て、火が通ったら、①を重ならないように少しずつ加えて煮ます。
③最後に豆腐を8つに切り、②に加えて火を通します。
④ながねぎをみじん切りし、みそ、しょう油、自然酒をよく練り混ぜて、ねぎみそをつくり、あつあつを供します。煮汁も召し上がってください。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。