味覚が変わると糖尿病も良くなる【糖尿病(Ⅱ型)の正食療法】

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磯貝昌寛の正食医学【第56回】糖尿病(Ⅱ型)

糖尿病(Ⅱ型)の原因

糖尿病は、食べ過ぎや飲み過ぎ、抱え込み過ぎの果てに発症した病といえます。

本来、私たちの体は過剰に摂り過ぎた食物エネルギーを、風邪や体のだるさ、頭痛等、軽い症状を出して健康を保っています。

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それが何らかの原因で、体に蓄積した老廃物を排出し体の健康を保つメカニズムに狂いが生じ、体の末端が壊え疽そしてしまうほど体が鈍感になってしまったのです。

糖尿病は、体の正常な反応を無視して、知らぬうちに体を蝕んでいきます。

気がついたら足が壊疽したり、目が失明したり、腎臓がおかしくなって毒素を排出できないという結果に陥ってしまうのです。

本来の正常な体であれば、そんなことは起こりえないはずです。

自分の足が蝕まれていくのを、知る由もないなどということは、自然では決して起こりません。

一体この原因はどこにあるのでしょうか。

人間を含めたあらゆる生物は、恒常性(ホメオスタシス)という働きの元に生かされています。

のどが乾いたら水を求め、水分が過剰になって血液が薄くなってしまったら塩分を求めます。

体が酸化したならば、アルカリ化を促すような梅干しやごぼう、新鮮な野菜や果物を自然と求めて体の中庸を保ちます。

体の恒常性を無視して、糖尿病になるまで過剰な食物を摂り過ぎてしまうのは、体の正常な声を聞けなくなってしまったからです。

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体の声に耳を傾けられなくなったのは、大量生産大量消費を前提に生み出された食品やクスリに原因があります。

自然の理を無視して作られる大量生産食品や薬品のほとんどが、かつて人間が口にしたことのない化学添加物を使って作られています。

大量消費を前提に作られる食品は、私たちが「食べ出したら止まらない」ように工夫して作られているのです。

食べ過ぎたら胃腸の負担をすぐに感じて、次の食は慎むのが正常な感覚です。

その正しい感覚を麻痺させて大量消費を促したのです。

味覚が変わると糖尿病も治る

糖尿病の人は、過剰な味に慣れてしまっています。

糖分(単糖類)、脂肪分、塩分(精製塩)、化学調味料などの添加物を過剰に使った食品は、体の感覚を麻痺させます。

陰陽両極端の食事は中庸な恒常性を狂わせ、その結果、知らぬ間に体が蝕まれていく。

陰陽両極端の食物や食品を大量に食べることで体の感覚を狂わせた結果、糖尿病やがんを多発させました。

一方で、人間の命を尊重した生活法は、必要最小限の食物で健康を確立するものです。

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玄米は噛めば噛むほどおいしく、少量で満足し、体も心も生まれ変わったように爽快になります。

食べても食べても満たされない食事とは正反対です。

最小限の食事から最大最高の健康と平和を生み出す生活法がマクロビオティックです。健康と平和、そして自由は、最小からしか生み出されないともいえます。

マクロビオティックの調理法は、最小から最大を生む方法が凝縮されています。

小豆とかぼちゃを煮合わせた「小豆かぼちゃ」は、伝統的な塩だけで甘くておいしい味を醸し出します。

自然な理に則って栽培された素材であることはもちろん、小豆の煮方、塩の分量や入れ時、かぼちゃの入れ時、水加減や火加減、火の止め時と蒸らし時間、どれもが絶妙な調理の「小豆かぼちゃ」は絶品のおいしさです。

小豆かぼちゃは糖尿病の薬にもなる料理です。

小豆かぼちゃを食べるだけで糖尿病が改善されていくわけではありませんが、マクロビオティックの食事法で糖尿病が改善されてくると、小豆かぼちゃをおいしく感じる味覚が高まります。

小豆かぼちゃを甘く感じるようになってくると、糖尿病が改善されている証拠です。

マクロビオティックの調理法の特徴は、穀物や野菜、海藻などから様々な味を引き出すことです。

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砂糖やみりん、酒、化学調味料で味を足していく調理法とは対極です。

食における味は「命」ともいえます。味をひき出すことは、命を引き出すことです。

命である味は濃ければ濃いほど良いというものではありません。すべてに按配があります。よい按配で引き出された味のマクロビオティック料理は命を輝かせます。

糖尿病をきっかけに、真生活といわれるマクロビオティックに目覚められたことは、陰あれば陽、陽あれば陰という必然性とはいえ、大変有難いことです。

糖尿病の食箋

糖尿病といっても、様々な体質と体調の人がいます。

陰陽両極端の食品摂取によって糖尿病となっていますから、陰陽どちらからの固定的な食事ではどこかで行き詰まります。

その日の体調に応じて食事を変化させていくことも重要です。

また、食卓に陰性の副食と陽性の副食をそれぞれを置き、どちらをより好んで食べるかでその日の体調の陰陽を把握することも大切です。

Ⅱ型の糖尿病は、よほど進行していない限りは、やる気にさえなれば、充分に治ります。

糖尿病の難しいところは本人の意思にあります。甘いものや動物食、添加物からの脱却ができれば治ってくるのですが、その意思を貫徹するのが難しい病気が糖尿病でもあるのです。

ですから、糖尿病の改善は柔軟的で辛抱強い家族の協力と食養の指導者が必要だと感じています。

月刊マクロビオティック 2016年8月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。