桜沢如一のコトバに学ぶ 第70回
「動物の乳やその製品を賞美する事は現代の迷信の一つで、我々の快楽、快感に対するドン欲、または弱きモノの搾取のカムフラージュではないでしょうか。
この乳を飲む事を奨励する現代栄養学
(ソレは「乳」は「赤ん坊」の最上の栄養である、ゆえに「牛乳」は「人間」の最上の栄養であるというようなアサハカナ、見えすいた偽装三段論法を用い、「母乳」と「牛乳」、「赤ん坊」と「人間」という概念をすりかえる手品をするモノです)
は強力な資本主義をピストンとして、日に日に広まり、全人類を赤ん坊または牛の仔に仕立てつつあります。」
(東洋医学の哲学)
かつては「豊富なカルシウムで、骨が丈夫になる健康飲料」と言われた牛乳だが、最近では様々な医学研究により、乳がん・骨粗鬆症・アトピー等との関連を耳にすることが増えてきた。
2014年に発行された英国の医学誌「British Medical Journal」に「牛乳摂取量の多い人は少ない人より寿命が短く、女性では骨折が増える」という研究結果が掲載されるや、翌月には時の農水副大臣が「生産者に迷惑をかける」と指摘し、農水省に「何か反論はできないか」と求めたことで、「早速自民党農水族が圧力を」等と話題に。
米国留学中、日本人の牛乳信仰に一役買った90歳の医師に直接インタビューする機会に恵まれた。
世界42ヵ国語に翻訳され5千万部売れた大ベストセラー「スポック博士の育児書」の著者・小児科医ベンジャミン・スポック氏。
邦訳版も出版され、当時の美智子妃殿下が愛読したことで多くの人に読まれ、科学的育児書の名の下に「牛乳」「抱き癖」などの迷信を日本人に植え付けた。
しかし、彼は88歳の時に罹った重い気管支炎を機に、マクロビオティックに出会い食生活が一変。
体調もよくなり、考えを改め、ついには久司道夫氏の進言を受けて「牛乳を薦めない」内容に書き換えるまでに。
牛乳・乳製品・卵・肉・果物は健康のための「必需品」ではない。
酒・煙草・珈琲等がそうであるように、あくまでも美味な「嗜好品」として「ハレ」の日に楽しみたい御馳走だ。
【こちらもオススメ】
月刊マクロビオティック 2016年7月号より
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はたの たけし
1962年熊本県生まれ。
一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学特別講師。
修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年KushiInstitute勤務。
著書に「医食農同源の論理―ひとつらなりのいのち」「自遊人の羅針盤」など。