小澤博樹 連載コラム
放射線治療は放射線の酸化作用を利用して癌細胞を破壊することを目的としているが癌細胞以外の細胞まで酸化させてしまうため、抗癌剤同様、ある期間を過ぎると癌は勢力をもりかえしてくる。
放射線照射により免疫力も低下させてしまうため、癌の転移や再発も促進されていくのである。
放射線は癌や白血病を発症させる。
放射線は染色体と細胞を傷つけ染色体情報の秩序を乱す。つまり放射線は染色体を傷つけることにより細胞を癌化させるのである。
医療用放射線被曝に起因したと考えられる悪性腫瘍は一般的に「放射線誘発癌」または「放射線関連癌」と呼ばれている。
もともとの病気が良性疾患であり、それに対し放射線治療が行なわれた後に放射線被曝により発生した癌のことを放射線被曝癌と呼び、元々の病気が癌であり、それ対して放射線治療を行い発癌した場合を「二次癌」と呼んでいる。
新潟大学医学部放射線医学教室の酒井邦夫教授は1979年に放射線誘発癌についての全国アンケート調査を行ない、150例の放射線誘発癌症例を集計している。
それによると、基礎疾患(元々の病気)は頚部リンパ節結核が50%を占め、白癬(水虫)や湿疹などの皮膚疾患が25%を占めていたとしている。
誘発癌の種類は、皮膚癌51例、下咽頭癌42例、喉頭癌17例、食道癌13例、甲状腺癌7例などで、発癌までの潜伏期間は最短2年、最長62年、平均27.3年であった。
二次癌については、同教授による全国アンケート調査が1979年及び1984年の2回にわたり、放射線治療施設を対象に行なわれている。
放射線治療に起因する二次癌
その結果、放射線治療に起因する二次癌(悪性腫瘍を基礎疾患とする放射線誘発癌)は、白血病23例、固形癌124例の合計147例が集計されている。
固形癌については、放射線照射から5年以上経過したもの、白血病については、通常潜伏期間が短いため、潜伏期間の条件は除外されている。
放射線治療の対象となった一次癌(もともと存在していた癌)は、子宮癌43%と約半数を占めていた。
放射線照射から発癌までの潜伏期間は白血病で平均5.7年(0.5~14年)、固形癌で平均15年(5~35年)であり、良性疾患照射後の放射線誘発癌に比較し、潜伏期間は短い傾向にあった。(表1)
表1 放射線誘発癌の潜伏期
1979年及び1984年の2回にわたり全国放射線治療施設を対象に行なわれたアンケート調査結果(新潟大学医学部放射線医学教室)「メディカル朝日」1997-3
酒井教授の調査結果をみても分かるように、放射線治療を受ければ、さらなる発癌リスクは確実に高まる。
良性疾患照射後の放射線誘発癌の潜伏期間より、二次癌の潜伏期間の方が短い傾向にあると述べられている。
これは、良性疾患患者より癌患者の方が一般的に免疫機能が低下しており、そこに放射線照射を行なうことによって、さらに免疫機能は破壊され、発癌スピードが早まるために、発癌までの潜伏期間は短くなるのである。
しかし、それにしても、水虫や湿疹の治療と称し、放射線照射をされたら癌になったという事実だけからしても、放射線治療は有害、無益だということが明確である。
最近は放射線治療装置の技術革新によって癌にだけ照射できる確率が高くなり、治療効果が高まり、副作用が少なくなったと誇大宣伝されているが、これはまったくのでたらめである。
放射線が癌に到達するまでの経路として、まず皮膚があり皮下脂肪組織があり、筋肉がありと、何層もの組織や血液などの体液にも放射線は照射されているのである。
癌の放射線治療も有害無益だが、放射線を使った諸検査も同様に発癌の原因となる。
農薬や食品添加物、洗剤などの化学物質で汚染された日常生活をおくる現代人にとってさらに放射線照射を受ければ発癌率は高まるのは当然のことだ。
事実、癌による死亡者数は毎年増加している。化学物質と放射線の相乗効果である。
現在、診断X線検査は、単純X線撮影検査(胸部、腹部、胃などを対象)、乳腺撮影(マンモグラフィー)、バリウム(造影剤)を使ったX線造影検査(消化管を対象)、血管造影検査(心臓、動静脈を対象)尿路造影検査、そしてCT検査や放射性同位元素を使ったシンチグラム(骨や肝シンチなど)など多種存在している。
また一般医療機関で行なっている病気診断の他にも、企業検診、集団検診、成人病検診、人間ドックなどあらゆる機会をとらえてのX線画像診断が行なわれている。
日本人が一生の間で受ける放射線被曝量は膨大なものとなろう。
しかし、診断X線検診において使用される放射線量がどの程度までなら安全で、どの程度を越えたら発癌性があるかなどの確実なデータはどこを探しても存在しない。
少ない線量が加えられた場合にも白血病、癌、遺伝障害などが生じる。
放射線が健康に及ぼす害は大きいが、そのことを一般人に知られてしまうことが原子力産業や放射線を医療用工業用に使う側にとっては重大な脅威となる。
現代医学は診断・治療に有益であろうとの推測のもと、ただやみくもにこれら危険な検査を行なっているのである。
当院では当院の職員に対し胸部X線撮影やその他のX線検査は行なっていない。
今まで述べてきたようにそれが人体にとって有害だからだ。
こちらに続く⇒ 診断X線検査からの発癌リスク【日本は医療放射線被ばく大国】
【参考文献】
「人間と放射線」 J・W・ゴフマン 著 伊藤昭好、今中哲二、他 訳 明石書店
「メディカル朝日1997-3」朝日新聞社
「X線診断学」御園生圭輔、宮川正、他 著 文光堂
「治す医者か、ごまかす医者か」小澤博樹 著 三五館
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小澤 博樹
1949年愛知県碧南市生まれ。1974年東邦大学医学部を卒業後、同付属病院にて消化器外科学、一般外科学を専攻。
1984年、碧南市にて小澤医院を開業し、「食養生」を基本とした代替医療を展開し、現在に至る。
現代医学そのものが金儲け主義であると批判。自らは最少の費用で最大の成果を提供しようと模索する。頑固と良心の共存した、清貧な医者である。
マクロビオテック(玄米菜食)による体質改善、免疫力・自然治癒力の向上を図り、病気を治療に導く有床診療所「小澤医院」のHPはこちら→小澤医院
主な著書に「治す医者か、ごまかす医者か―絶対あきらめない患者学」「医者ができること、してはいけないこと―食い改める最善医療」などがある。