シンプル・ヨガで体も心もやわらかく

船瀬俊介連載コラム

最近、体の具合いかがですか？

肩はこっていませんか？五十肩ならぬ四十肩……．それはいけませんね。床に落ちた小銭を拾おうとしたら腰がグキッ。

いわゆるギックリ腰。とにかく人生、ン十年と生きてきたら、あちこちガタが出始めるものです。

体は、私たち人間の人生の”入れ物”ですから、それがギクシャクすることは人生自体がギクシャクすることです。

すると、毎日がつまらない。楽しくない。体がスムーズに動けば気分もよくなります。笑顔も出ます。

友だち付き合い、仕事でも元気に明るく声をかけられる。周りの人ともハッピーになる。

つまり、体がやわらかくなれば、心もやわらかくなるのです。

東洋の昔からの教えに「心身一如」という教えがあります。心も体も―つだよ……という当たり前の教えです。

だけど、言われてみるとよくわかる。体が固くなると知らないうちに心も強ばっています。

四種類のストレッチ体操を

私は、見かけはガッチリしており、体は固そうですが、案外にやわらかい。かつてマッサージを頼んだ人に「やわらかいですねぇ」と言われました。

それは、時折”真向法“（まっこうほう）をやっているからでしょう。

これは別名シンプル・ヨガともいいます。簡単に言えば四種類のストレッチ体操なのです。ストレッチとは英語で伸ばすという意味です。

実は、私は二十代前半にヨガ道場を取材したことがあります。さまざまなポーズも体験しましたが、あれを全部やるのは大変です。

私は南国的な性格で、生来はモノグサです。

そこで、その中でも簡単な四ポーズが偶然にも”真向法“として日本に伝わっていることを知りました。いわゆる民間に伝わる健康法です。

「ああ、新聞広告で見たことある！」と言う方。そう、全国には”真向法“協会なんていうのがあるみたい。けっこう実行している愛好家が多いのでしょう。

かつて鈴木都知事が実践していることでも話題に。しかし、これは年寄りの健康法というより善男善女、老若男女……ヒマな時にやられることをおすすめします。

ただし食後、満腹な時は避けましょう。畳かマットなど、やわらかめの一畳くらいの広さがあればどこでもOK。

息をゆっくり吐いて力を抜いて

ポーズ①前屈：もっともポピュラーな屈伸運動。両足を前に揃えて座り、息をゆっくり吐きながら両手を伸ばしていきます。

足の爪先はピンと直角に。膝は上げない。頭、顔、胸がぴったり脚にくっついたら上級者。しかし、初心者はアイタ…タタ…でしょう。無理をしない。

できるところまでで十分。これが大切です。それで、ゆっくり100まで心の中で数えましょう。

100まで数えたら、ゆったりと仰向けに寝ます。体全体の力を抜いて……。これを死体のポーズといいます。

顔も力を抜いて、ポカーンとアホヅラでうっとりと全身の余韻を感じ、楽しみましょう。

ポーズ②胡坐（あぐら）前屈：これは両足裏を合わせた胡坐で座り①のように前屈します。上級者は両膝頭と胸までペタンと床に付く。たいしたものです。

ポーズ③開脚前屈：スポーツ選手が準備体操でよくやっています。足が一八○度開いて上半身が床につけば最高！初心者は右、左で曲がりにくい方向にまず曲げましょう。

体の歪みがとれます。

ポーズ④正座後屈：これはヨガでは“空見のポーズ”と呼ばれます。

正座して両腿の間にお尻を落とし、後ろにゆっくり倒れます。両手を思いっきり伸ばして、空を見る。

両脚がズンズンして「あッ、効いている」と実感します。最初は背中に座布団を敷いて、無理なく始めましょう。

①～④のポーズ、いずれもその後、二倍くらいの時間をかけて死体のポーズをとります。これが実に気持ちがいい。

最近どうも体がダルイ、カタイ、スッキリしない。そんなあなた、このシンプル・ヨガをやってごらんなさい。

ウッソー……と思うほど体がスッと軽くなります。心も当然、軽くなるわけです。クセにするとしなやかな人生が送れますよ。

2004年12月　月刊社会民主　「船瀬俊介の躰にいいコラムVOL . 04」より転載

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