小豆とかぼちゃを煮合わせた「いとこ煮」は高血圧の予防食

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マクロビオティック one テーマ (文)ムスビの会主宰 岡部賢二

国民病の高血圧症 90%が環境因子に起因

今、日本で高血圧症といわれる人は3,500万人を超え、4人に1人が発症する国民病となりました。

高血圧症は放置すると、いずれ動脈硬化から心臓疾患、狭心症、脳血、脳梗塞、腎臓病といった合併症を引き起こし、突然死を起こすことから「サイレントキラー」とも呼ばれています。

原因としては生活習慣による本態性高血圧と、腎臓からのホルモン分泌の異常から発症する二次性高血圧の二種類がありますが、90%という圧倒的多数を占めるのは環境因子に起因する本態性高血圧です。

これは血管の内が狭くなり血流が悪化する、血管が弾力性をなくす、血液が粘り気を帯びて流れにくくなる、血液量が増加する、ストレスや寒さなどで血管が収縮するといったことが要因と考えられます。

高血圧の原因は塩気の摂りすぎなのか?

現代医学では、高血圧の原因は塩気の摂りすぎにあるとして、1日に塩分の摂取量を6グラム未満にする減塩運動を呼び掛けていますが、塩気を減らしても症状が改善していないのが現状です。

日本で一番の長寿県は男女とも長野県です。長野県の塩分摂取量は全国一となっていて、このことからも減塩対策そのものがおかしいということがわかります。

ナトリウムが血圧を上げるというのであれば、グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)や亜硝酸ナトリウム(発色剤)、重炭酸ナトリウム(ベーキングパウダー)といった食品添加物を避けるべきですが、このことはほとんど指摘されていません。

また、塩分でもカリウムやカルシウム、マグネシウムといった血圧を下げる作用のあるにがり成分を含む自然塩と、にがりを含まない化学的に精製された塩では働きが異なることも言及されていません。 

ミネラルの多い自然塩は心臓に活力を与え、肝臓や腎臓の働きを良くすることで血液が浄化され、サラサラになり血圧を安定させます。

点滴の原料のリンゲル液は生理的食塩水と呼ばれ、0.9%の塩分を含みます。もし塩気が悪いのであれば、なぜ病気の時に点滴で塩分を体内に注入するのか、という矛盾が生じます。

本当の原因は血管壁を硬くする食べもの

本当の高血圧症の原因は、血管壁を硬くする食べものにあります。

絨たんや畳の上にボールを落としてもあまり弾みませんが、硬い板の間の上に落とした場合は強くバウンドするように、血管壁が硬いと血管が圧力を吸収できず、末で血圧が上がるのです。

血管壁が硬くなる要因は脂肪分の増加であり、血管壁にへばり付いた油脂は体温と血中の酸素で酸化し、硬くもろくなるサビついた状態を引き起こすのです。

油脂の中でも常温で固まる性質のある飽和脂肪酸が特に問題で、これは肉類や卵、乳製品に含まれています。

しがたってこれらを多く使う欧米型の食生活をしていると血圧のトラブルが引き起こされるといっても良いでしょう。

また、植物性油脂が原料であっても化学的に固めた硬化油も問題です。

プラスチック脂肪酸とかトランス型脂肪酸と呼ばれる硬化油を含むマーガリンやショートニング、植物性油脂を含むパンやお菓子類、揚げ物類に注意しましょう。

油脂のほかに白砂糖も血圧を上げる原因となります。

体内に摂取された白砂糖の成分はわずか20%しか熱エネルギーに変換されず、残りの80%は中性脂肪として体内に蓄えられます。

これが血中に増えると血液が粘り、血管壁に付着することで動脈硬化が引き起こされます。特に粘った血液は末梢の毛細血管を詰まらせ、血圧異常を招きます。

高血圧の予防食は?プチ断食で腸をきれいに

対策としては、食事を伝統的な和食に戻すことです。

例えばかぼちゃのカロチンは血管にくっついた油脂を洗い流し、小豆に含まれるビタミンCは血管壁に柔軟性をもたらしてくれます。

この小豆とかぼちゃを煮合わせた「いとこ煮」は高血圧の予防食となるだけでなく、臓の働きを良くして血糖値を下げるので糖尿病対策にもなるすぐれものです。

また、利尿作用があるので、利尿剤が配合された血圧降圧剤に頼る必要もなくなります。一日に湯み茶碗1杯分くらいを食べることで、改善が期待できます。

ほかにも血管を丈夫にするひじきと、ビタミンCを多く含むレンコンを組み合わせたひじきレンコンもおすすめです。

そばに含まれるルチンにも血管壁を丈夫にする作用があります。こうした繊維質の多い食べ物で便通が整うと、血圧が安定します。

腸壁に弾力性が戻ると血管壁も柔軟性を取り戻すので、時々プチ断食をして腸をきれいにすると良いでしょう。マクロビオティックによる食事療法をぜひ実践してみてください。

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月刊「むすび」 2016年12月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com