マクロビオティック one テーマ38 文)岡部賢二 月のリズムと陰陽五行~下弦の月編
顔のくすみは腎の弱り
月が地球の周りを回る周期にも五臓と共鳴する周期があります。
下弦の月期(下弦の月の3~4日前から3日後まで)は腎臓との経絡と結びついていて、季節では冬、1日では夜(午後10時~午前3時まで)にあたります。
腎臓系の弱りは、顔のくすみや皮膚の黒ずみ、シミやホクロ、ソバカス、シワといった黒さとなって現れます。
例えば人工透析をしている患者さんは、顔がくすんだ色をしている方が多く見られますし、長年、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用していた方にも、皮膚が赤黒く変色している方が多いです。
体質的には冷え症で、手足が冷たい、足腰が弱い、が痛い、むくみやすい、夜眠れないという方は、腎に弱りがあります。
また、腎が疲れると耳が聞こえにくい、耳鳴りがする、目がぐるぐる回る(メニエール)、中耳炎になりやすい、音に敏感になるなどの症状が出やすいです。
骨がもろい、腰が曲がる、背骨が湾曲している、歯が弱いといった症状も腎の疲れから引き起こされます。
お歳を召した方の耳が遠くなったり、腰が曲がったり、入れ歯になる人が多いのは、加齢とともに腎の働きが低下するからです。
腎を温める手当て法を
腎気が衰えると、気力の低下から何事も面倒くさくなり、根気が続かない、忍耐力がないといった状態を招きやすくなります。
さらに弱ると高所恐怖、閉所恐怖、暗闇恐怖、不潔恐怖(潔癖症)、対人恐怖(引きこもり、自閉症)、パニック障害を引き起こすこともあります。
そんな時には、コンニャク湿布や湿布など腎を温める手当て法を実践しましょう。
現代医学にない腎の働きとしては、成長や発育、生殖といった内分泌機能との関係があります。
胸腺や前立腺、腺、舌下腺、線、耳下腺、松果体、副腎といった内分泌に関係する器官は腎の管理下にあり、ホルモンバランスを担っています。
子宮発育不全や背が伸びない、子宝に恵まれない、生理不順といった症状があれば、腎の弱りと捉えて間違いないでしょう。これらのことからも腎は環境ホルモンの影響を一番受けやすいと言えます。
副腎の働きを助ける小豆 小豆かぼちゃや小豆昆布
腎臓の出先機関である副腎では50種類以上のホルモンが作られていて、そのひとつにストレスを緩和したり、炎症を抑えたりするコルチゾールというホルモンがあります。
このホルモンの分泌が低下すると、精神的に落ち込んだり、うつ病のような症状、アレルギーのような炎症を引き起こすことがわかっています。
コルチゾールは、小麦粉や白砂糖、乳製品の多食によって腸内で炎症が起こると分泌されて炎症を抑えてくれるのですが、炎症がひどくなると、副腎が疲れ切ってしまい、コルチゾールを分泌できなくなり、身体全体に炎症反応が広がっていきます。
そうなると医学的には副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使って炎症を抑えようとします。
しかし薬に頼らなくても、腸内環境を良くし、腎の負担を減らしてあげることが出来れば、アレルギーやリウマチなどの症状は和らいでいきます。
この時に、副腎の働きを助けてくれるのが小豆です。小豆かぼちゃや小豆昆布は、腸の炎症を抑え、副腎機能を高める上で、すぐれた食薬になります。
充電のためにもしっかり休養を取ろう
腎を良くする食べ物としては、黒くて塩気(ミネラルの多い)のあるものです。
黒胡麻、黒豆、黒米の黒色は、小豆と同じアントシアニンという抗酸化物質です。
ひじきや昆布、わかめ、あらめ、もずくといった海藻類、そば、きくらげといった食材もよいですね!
黒色食品には亜鉛やビタミンCといったホルモンの製造や活性に関わる大事な成分が多く含まれています。
季節の食材としては、寒い時期にできる大根や人参、レンコン、ゴボウ、、といった根菜類がおすすめです。
冬場は、こうした根菜類に火をしっかり入れて煮炊きした煮物が身体を温めてくれます。
月の周期では下弦の月期に小豆や根菜類、海藻類、黒色食品、体内の水はけを良くする高野豆腐や切り干し大根、干し椎茸といった、天日に干した乾物類をしっかり摂るようにすると、腎の働きを高めることができます。
下弦の月のリズムは、充電する、貯える周期なので、新月期の新たなスタートに向けてエネルギーを蓄えるために休養をしっかりと取りましょう。
温泉で湯治をしたり、ゆっくりと自宅で瞑想や内観をしてみてはいかがでしょう。
この時期に自分をいたわり、しっかりとケアしてあげることで、眠っていた潜在能力が目覚めるかもしれません。
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月刊「むすび」 2018年12月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com