森下敬一 『食べもの健康法』●きんかん
1番なじみの深い果物といえば、日本においては文句なく「みかん」があげられるだろう。
日本の気候風土は、柑橘類の成長にことの他適している。生産・消費量もダントツだ。
世界中ということになると、ぶどうがトップだが、まさしくフルーティな芳香の代表といえば、やはりみかん類ということになろう。
かんきつ類には種類が多い。
みかん、きんかん、夏みかん、だいだい、ゆず、かぼす、レモン、グレープフルーツ、ポンカン、ネーブルなど。
いずれにしても共通しているのは、皮にビタミンCと、エネルギー発生をスムーズにする、クエン酸をたっぷり含んでいることである。
クエン酸はまた、細胞の新陳代謝を盛んにして内蔵機能を高め、体内に停滞している疲労系の排泄を促す。
ビタミンCの作用と相まって、気分をリフレッシュさせ、同時に疲労回復の速攻をあらわしてくれる。
そんなみかんの仲間の中でも、キンカンは特異な存在だ。ひときわ可憐な小型だし、全体を丸ごと食べる。
むしろどちらかというと皮を食べることの方が主目的だ。
皮といえば、漢方用薬になっているのは、みかんの皮、「陳皮(ちんぴ)」である。中国ではスタミナ増強、美容食として盛んに用いられているが、きんかんもそれに勝るとも劣りはしない。
みかん類は、ほぼ共通した薬効を持っていると考えて良いけれども、姿そのままに小粒なきんかんには、それが濃縮されている、というわけだ。
昔から、みかんの皮はせき止め、カゼ薬として利用されてきた。なかでも、きんかんはカゼの特効薬であった・・という具合に。
きんかんは、丸ごと煎じて飲んでもいいが、甘煮にした方が不思議と薬効が高まる。
せき、たん、のどの痛みと、カゼ一般に有効である。加えて、消化機能を高める作用が優れており、カゼ防止食としては万全となる。
なぜならカゼという病気は、実は「腸の病気」だからだ。腸内細菌の症状が混乱したときに、真っ先に抵抗性が弱るのが上気道(鼻やのど)の粘膜なのだ。
過食したときカゼを引きやすいのは、そのせいである。
逆に、引きはじめの時期に、丸一日くらい絶食をして、寝る前にきんかんを食べ、温かくしてぐっすり眠れば、じきに治ってしまう。
当然、胃腸病全般に有益で、胸焼け、食欲不振、悪酔いからくる、むかつきの解消に効果絶大。口臭も消してくれる。
皮に含まれている精油成分とヘスペリジンという苦味成分による健胃作用によるものだ。ストレスからくる胃痛にも卓効をあらわす。
さらに、マーマレードにして常食すれば、優れた美声食となる。
丸ごとよく噛んで食べると、繊維が便通をスムーズにし、余計なコレステロールや中性脂肪を除去するから、肥満防止、美肌食だ。
■きんかんの丸焼き
材料(4人分)
・きんかん・・・16個
・みそ・・・50g
・はちみつ・・・小さじ4
・しょうが汁・・・大さじ1
・熱湯・・・4カップ
<作り方>
①洗って水切りしたきんかんを網の上で丸焼きし、お椀に4個ずつ入れ、みそ大さじ1杯弱、はちみつ小さじ1杯を加えて、熱湯を注ぎます。
②しょうが汁を、①に少々落とし、スプーンで混ぜ、きんかんをくずしながら全体を混ぜて食べます。
■きんかんの甘煮
材料
・きんかん・・・400g
・はちみつ・・・大さじ4(または黒砂糖)
・ミネラル水・・・適量
<作り方>
①きんかんを水洗いし、ヘタをとります。
②たっぷり湯を沸かして①を入れて、サッとゆでます。
③鍋に②を入れ、ひたひたに水を加えて火にかけ、柔らかく煮て、はちみつを加えてさらに煮含めます。
④火を止めて、そのまま煮汁につけて冷まします。完全に冷めたら、清潔なビンに入れて保存します。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。