森下敬一 『食べもの健康法』●こんにゃく
約9割が水分の、不思議な食品である。
全く捉えどころがない問答を、コンニャク談義とは言い得て妙だ。
だが、真に日本的な風情の食べもので、実際、世の中で、こんにゃくを好んで食べるのは日本だけである。こんにゃく自体には特別な味はない。
けれども、おでんを筆頭に、煮しめ、白和え、そして、刺し身と、他のものでは代替できない存在感を示す。特有の歯ざわりによるのであろう。
原産はインドシナ半島という。
俗にこんにゃく玉と呼ばれる地下の球茎(こんにゃくいも)が原料である。これを粉末にして、水を加えノリ状にする。それをアルカリ作用させると、膠質化して固まる。
こんにゃくこの主成分はマンナンである。これ自体は吸収利用されないのだが、腸内を通過する途中で、老廃産物や毒素を吸着して、大腸へと移送し体外排泄を促す。
昔から、「こんにゃくは腸の砂おろし」といわれてきたのも、そのためである。便秘解消の特効薬というわけだ。
少し前からノーカロリー食品ということで、こんにゃく食が新たな脚光をあびはじめた。
今ではそれがエスカレートして、マンナンが肥満防止・美容食として、大体的に売こみがおこなわれているが、大いに疑問である。
健康にやせるには、総合的なミネラル補給が欠かせない。
未精白雑穀、海藻、皮つき根菜、自然塩などが必須不可欠なのだ。こんにゃくは、副食の素材に一つとして活用してこそ有益である。生理機能の原理を無視してはいけない。
平安時代には、すでにこんにゃくは渡来していたらしい。以来、特に僧侶たちが盛んに精進料理に用いた。
そのためかどうか、「坊主と蒟蒻は田舎がよい」という諺も生まれている。
こんにゃくには白色と黒色とがあるが、こんにゃくいもの皮をむいてから製粉したものからは、色の白い柔らかなこんにゃくができる。
皮つきのままだと、色の黒いゴリゴリした感じのものになる。
この黒いのが、通称、いなかこんにゃくだ。
一見ヤボな感じがしてさえないが、味、歯ざわりとも断然すぐれている。
ただし味もさることながら、皮が入っていたほうが腸内清掃効果ははるかに高くなる。腸をきれいに保つことは、健康と美容の決めてだ。
こんにゃくの凝固剤として使われている石灰分をとばすために、料理に使う前に、水からゆでることを2回ほど繰り返すことが肝要である。
■いりこんにゃく
材料(4人分)
・黒こんにゃく・・・2枚
・たくあん・・・1/3本
・ぎんなん・・・20粒
・ごま油・・・大さじ3
・自然酒・・・大さじ2
・しょう油・・・大さじ2
<作り方>
①黒こんにゃくは塩でもんでから、ゆでて2cm角にきります。たくあんも同じ大きさに切ります。
②ぎんなんは外皮を割り、塩ゆでして渋皮を取ります。
③フライパンを熱し、ごま油で、こんにゃく、たくあん、ぎんなんを炒め、調味料を注いで汁気がなくなるまでいりつけます。強火でジャッと炒めるのがコツです。
■たぬき汁
<作り方>
①こんにゃくは、ゆでて、一口大に切っておきます。
②長ねぎは斜め薄切りにしておきます。
③ごぼうはささがき、さといもは輪切り、しいたけは千切りにします。
④ごま油を熱し、こんにゃくを15分ぐらい炒め、長ねぎ以外の野菜を加えて炒め、だし汁を加えて煮込みます。
⑤みそを溶き入れ、長ねぎを散らして一煮立ちしたら、しょうが汁を落として火を止めます。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。