干ししいたけの選び方、美味しいだしの取り方

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船瀬俊介連載コラム 

【前回の記事】

干ししいたけは、驚くほどの薬効がある。驚くほど多彩、しいたけ料理

昆布と並んで、台所に常備したいもの。それが干ししいたけだ。

しいたけは生より、干したもののほうが高価だ。日光で干すことで、風味、香り、栄養ともにアップするからである。

まず、日光によって、ビタミンDの母体であるエルゴステリンという物質が活性化する。すると、しいたけに含まれるビタミンDが急増する。

日光乾燥という処理が、保存性を高めるだけではなく、栄養価までアップさせる。

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だいたい生しいたけは、食べてもうまいものではない。しかし、干すことで香り、風味がグンと濃くなる。

さらに保存性も極めてよくなる。冷蔵庫などがなかった古代からの素晴らしい加工の技だ。

これは、かつおぶしなどにも起こる現象だ。まさに乾物の威力。いま忘れ去られようとしている乾物パワーを見直すときだ。

かくして干ししいたけに含まれるビタミンDは、血液のなかのリンとカルシウムの代謝を正常に保つ働きをする。

さらにカルシウムの骨への沈着を促進することは、よく知られている。

カルシウムを摂るだけでは、骨は丈夫にならない。ビタミンDの助けが必要なのだ。つまり、骨太の丈夫な子供に育てようと思ったら、干ししいたけは欠かせない。

形の整っているものほど高い

かつて、東京下町の乾物届をのぞいて、干ししいたけを求めたことがある。

築地やアメ横などのかつぶし専門店の店先には、所狭しと干ししいたけの大袋が並べられている。

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タオルではちまきした親父さんが教えてくれた。「干ししいたけには『ドンコ』と『コウシン』の二種類があるんだな」。表示を読む。

「冬茹」と書いて「どんこ」と読ませる。ルビがなければ、まず読める人は皆無だろう。もう―つは「香信」。品種が異なるのかと思ったら、そうではない。

「傘の開き具合で、名前がちがうんだナ」と手にとって説明してくれた。

まだ丸っこくて傘が開ききっていない。それが「冬茹」。冬から春にかけて、頭を出して成長したもの。

最上品は①傘の肉が分厚い。②傘の形が丸い。③表面に亀裂が入っている。④大型ほどよい。料理では煮物に最適。

「極上ものは500gで5000円はするナ」に驚いた。傘が開いて薄めの「香信」は、それより廉価。春遅く、あるいは秋に顔を出したもの。

300gで1600円の値。「香信系は、和食に向いてます。冬茹は中華料理向きですナ」。

この二種類の価格差は、味というより形で決まる。高級料亭などで出すには、形が整っていることが命。

しかし、家庭料理ならカタチより価格にこだわるのがカシコイ。

「ご家庭で使うのなら……」と店主が出してくれたのが「荒葉」という銘柄。文字通り形は不揃いで、割れたりしている。

しかし価格は「冬茹」の半値以下だった。「味は、そんなに変わらない」と言うから見かけより味と割り切るのも一法だ。

「水にもどすだけ」と超カンタン

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さて、干ししいたけを買ってきたものの「だしって、どうして取るの?」と戸惑う若い人がほとんどだろう。

まず、シンプルな方法。ザッと水で洗う。屑や粉を落としたほうが、だしが澄みきる。

次に水の中に漬け置く。コップの水でOK。30~40分もすれば、しいたけだしは十分に出ている。

さらにコクのあるだしを取りたかったら、前の晩から漬けておけばいい。

しいたけを取りだし、包丁で食べやすいように短冊切りにして、つゆに戻す。他の具と煮込めば、しいたけだしの風味立つ吸い物となる。

なんともカンタン。あっけないほどだ。しかし、これだけだと、だしのコクがものたりない、と感じる人もいるだろう。

「その時は昆布、かつおぶし、煮干しなどを加えると風味に奥行きが出ます。しいたけだしは、ほかのどんなだしにも合うんですよ」とご主人が教えてくれた。

しいたけだしは「味より、どちらかといえば香りを楽しむものですから……」。ナルホド……「香り松茸、味しめじ」ということわざを思い出した。

だしを取った後のしいたけは、油炒めの具にしたり、衣をつけてフライにしても美味しい。<れぐれもだしガラと勘違いして捨てないように。

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もどし方のウラ技三択

テレビ人気番組「伊藤家のウラ技」ではないが、干ししいたけの戻し方にもウラ技がある

①二分の早わざ……朝の支度などで、30~40分もノンビリ戻している時間がない。そんなときは、干ししいたけをぬるま湯につけて、ラップして電子レンジに入れ二分でチン。だし汁の完成。

②濃いめのだし……四五度くらいのお湯に約一時間つければコクのある風味に。

③味・香りを強く……13~15度の水につけて、冷蔵庫の中に3~5時間置く。

——これらは、こだわり、すなわち”ほんまもん“のしいたけだしを究める板前さんたちが工夫しているだしの取りかた。

三つのだしの風味の違いを試し、味わい分けてみるのも面白いでしょう。

なお、干ししいたけは乾燥しているので、その辺に放っておきがち。しかし、温かい頃うっちゃらかしておくと色や味、香りが悪くなる「褐変現象」と呼ばれる変化が起こることも。

この変質は低温状態なら防げる。

よって、干ししいたけは冷蔵庫に保存するのが正解。

干ししいたけに昆布のだし算

干ししいたけの澄まし汁の風味を味わいながら、「この味と香りは、なんだろう?」と疑問に思うはず。

この干ししいたけのだし汁のうまみ成分は、5ーグアニル酸だ。それだけではない。その他、リンゴ酸など各種糖類や微量成分が含まれて、独特の風味、味わいを醸し出す。

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グアニル酸は、昆布のグルタミン酸、かつおぶしのイノシン酸と並んで、「三大うま味成分」と呼ばれる。

これらだしトリオは、単独で使うより、掛け合わせて使うことで、うま味、風味が数倍から数十倍に驚くほど跳ね上がる。

だから、干ししいたけだしに昆布だしのだし算をおすすめする。

当然、干ししいたけだし汁にもビタミンDは含まれる。またビタミンDは油に溶けやすい性質があるので、だしを取った後のしいたけは、油炒めの具にすると、ビタミンDの吸収がいちばんよい。

「国産」「天日乾燥」を選ぶ

ただ、最近「干ししいたけ」として売られているものの、ほとんどは機械乾燥。ビタミンDは日光乾燥で、急激に増量するもの。

機械では、ビタミンD効果をあまり望めない。その点オーサワジャパンの「干ししいたけ」は、天日乾燥なので信頼がおける。

はっきり「天日干し」と明記。さらに「冬茹ー大分産天日干しのため、ビタミンD2が約2~3倍増量されています」とある。

やはり「国産」「天日乾燥」を選ぶ基準にしたい。

買ってしまった干ししいたけの袋のどこにも「天日乾燥」と表示がなければ、まちがいなく「機械乾燥」です。

しかし、ガックリこないように。天気の良い日にザルにでも並べて日光浴させてやりましょう。それで、ビタミンDも風味もグンと増します。

月刊マクロビオティック 2002年05月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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