森下敬一 『食べもの健康法』●キャベツ
原産地は地中海沿岸だから、はじめにキャベツの味に親しんだのはギリシア人たちであろう。
それが北欧の国々に伝えられ、厳寒地でも栽培できる、しっかりと玉に巻く品種に改良された。
わが国でキャベツが一年中出回るようになったのは戦後になってからで、そのうちでも3~5月が旬の新キャベツは最も味がよい。
キャベツというと、最近は胃潰瘍に効くということで、大もてだ。
確かにビタミンA、B1、C、U、カルシウムなどの抗潰瘍成分がたっぷりと含まれている。
キャベツに含まれるカルシウムは、量的にも多くしかも吸収されやすい。このカルシウムが、崩れた組織の補修をして潰瘍を治す。
同時に骨へのカルシウム補給を促すので、高齢者の骨折防止に役立つ。
また神経を落ち着かせてイライラを防止するから、寝つきの悪い人は利用するとよい。さらに、高血圧の人の興奮性をおさえるのにも有効だ。
ビタミンUは抗潰瘍性ビタミンといわれているもので、キャベツにはたくさん含まれている。
そこで、キャベツの中のUを抽出して抗潰瘍薬にするという発想も当然生まれてくるわけだが、
より自然により確実に潰瘍の根治をはかるためには、天然の食品であるキャベツをそのまま用いて、各種の成分を総合的に取るほうがよい。
ジューサーでキャベツ・ジュースにして利用する方法が最も効果的だ。
キャベツの中のビタミンCも、潰瘍に有効だ。
Cは、粘膜や内臓の出血傾向を防止する作用を持っているからだ。また、C欠乏では疲れやすくなり、睡眠障害を起こしやすいがキャベツの常食によってこれらも防止できる。
キャベツの美容効果もすばらしい。
クエン酸、コハク酸などの有機酸が新陳代謝を盛んにして、肝臓を強くする。
各種酵素は腸内の異常発酵を防止して胃腸を健全にする。このため、整腸、浄血、貧血防止がはかられ、皮膚生理は正常化される。
キャベツを常食していると、シミや吹き出物が自然に治っていくというのも当然の話であろう。
料理のつけ合せにはキャベツの千切りが盛んに用いられる。
キャベツには蓚酸などのアク成分が少なく、適度の甘味(糖分)と辛味(硫黄化合物)が含まれ、繊維も比較的軟らかい・・・・
ナマ食にはおあつらえ向きの特性を備えているからだ。
その千切りキャベツをパリッとさせるために、たいていは切ってから水に浸す方法がとられている。
確かに口当たりはよくなるけれど、水に溶けやすい成分が溶け出してしまうから、なるべくなら冷蔵庫に入れて適度に冷やす程度にとどめたい。
体の冷えやすい人は十分に加熱したものをとるようにしたい。
たとえ熱に壊されるビタミンがあったとしても、有効成分のすべてが失われてしまうわけではないし、加熱することによって、利用しやすくなる成分もある。
体の機能が減退して元気のない人には、加熱の薬効が有効である。その際は、煮汁も一緒に利用することが大切だ。
■ロールキャベツ
材料(5人分)
・キャベツの葉・・・5枚
・グルテンバーガー・・・100g
・玉ねぎ・・・30g
・にんじん・・・20g
・くず粉・・・大さじ1
・パン粉・・・1/2カップ
・ごま油・・・大さじ1
・自然塩・・・小さじ1/2
・だし汁
・ローリエ・・・2枚
・完全粉(小麦を皮ごと粉にしたもの)
・パセリ・・・少々
<作り方>
①キャベツはサッとゆでて、軸をうすくそぎ、たまねぎ、にんじんはみじん切りに。
② ①の具を全部混ぜ、5等分に分けておきます。
③キャベツの葉の水気をふき、まな板に広げて軽く完全粉をふります。
④キャベツの軸の上に具をのせ、中頃まで巻き、両端を折り、先まで巻いて楊枝で止め、鍋に並べ、だし汁をひたひたに入れ、煮込みます。
塩少々、野菜くず、ローリエも入れて弱火でゆっくり煮込みます。
⑤味を調え、器に盛りスープも入れて、パセリを飾ります。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。