リニア亡国論 船瀬 俊介 (著)

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リニア亡国論

第6章 ◇ 9割トンネル、南アルプス大破壊――沢は涸れ、観光資源は壊滅する より

アルプスの渓谷は涸れ、景観は破壊される トンネル工事が水脈寸断

「……南アルプスの谷が涸れる!」

多くの市民が、悲痛な声をあげている。

「谷が涸れたら、そこに棲む水生生物、魚、植物はどうやって“移動“するのでしょうか?

また、JR東海は、簡単に『重要種の移植』を言われますが、そもそも、重要種と、そうでない命をどうやって決めるのでしょうか?」

多くの市民グループ、環境団体が「ストップ・リニア!」の声を上げている。

中には、裁判に訴えたグループもある。

その裁判での陳述人・服部隆氏の訴えである(第六回、口答弁論)。

日本アルプスは、破砕帯と呼ばれる瓦礫断層が無数に走っている。リニアのトンネル工事は、この断層帯を貫く。

すると前述のように、大量の地下水が噴出する。

JR東海も、この破砕帯からの大量出水に行く手を阻まれた黒部第四ダム工事の苦難を承知している。

大量出水は工事を遅らせるだけではない。

本来なら、アルプスに積もった雪が春先になると雪解け水となる。

それは、破砕滞を通じて地下水となり山麓で涌き水となる。それらは互いに合流して澄み切った渓流となり、南アルプスの美しい自然を育んでいく。

渓谷は四季の変化に彩られ、そこは魚や水生動物や野生動物、野鳥などの楽園でもある。

その美しい山並みと渓流のせせらぎは、多くの観光客を魅了してきた。

南アルプスの渓谷美は、まさに無尽蔵ともしえる観光骰源なのだ。リニア、トンネル工事は、その水脈を寸断してしまう。

樹々は枯れ、野生生物は死滅

すると、破砕滞からの地下水は途絶する。栃水も涸れる。渓流も洞れ川となる。渓谷の木々も枯れる。

サンショウウオやイワナ、ヤマメなど渓流の生物たちも死滅する。

それをエサにしてきた野島も絶滅。川も涸れ、樹々も枯れ、生物は死に絶える。それが、リニア、トンネル工事がもたらす惨禍である。

だから、環境保護グループや市民団体は、悲嗚に似た声を上げているのだ。

裁判でもJR東海側の弁明は、次のようなものだった。

「トンネル工事で出る大量の地下水は延長 一 一キロの導水管で大井川の下流に戻します。だから、問題はございません」

この珍答弁に、市民グループは、あきれ果てる。

「……しかし、これでは、水が戻るのは下流のみです。上流には一滴の水も戻らない。

すると①渓谷美の喪失、②豊かな森の後退、③多くの生物の死滅を意味します」(服部隆氏)

これこそ、南アルプスの品在である。それは、日本アルプスという渓谷美の“死“である。

つまりは、観光賓源の壊滅に直結する。死に絶えたアルプスを訪れる観光客はいない。

つまりリニア工事は、自然や野生の破壊だけでなく、観光業界まで壊滅させるのだ。

棟述人の服部氏は叫ぶ。「上流部の水を戻せないなら、工事を中止してください!」

「工事などやめろ!」「白紙撤回を」(静岡県知事)

山梨実験線で水涸れ多発

リニアによる河川の水涸れ被害は、すでに発生している。

一九九○年に始まった山梨のリニア実験線工事から、水涸れ被害が多発しているのだ。

実験線ルート周辺の川や沢が次々に涸れ始める……という怪現象が起こっている。

その被害は、二○○九年には山梨県笛吹市の一級河川・天川にも及んでいる。

しかし、JR東海は、これら涸れ水とリニア工事との因果関係を、かたくなに否定していた。

ところが、トンネル工事で異常な大量出水が露見して隠しきれなくなり、認めざるを得なくなったのだ。

静岡県の最大河川、大井川水系も流量減少が懸念されている。山岳からの水量減少は水力発電にとっても痛手だ。

中部電力は同県内に複数の水力発電所を抱えている。中部電力もリニア工事により、どれだけ発電量がマイナスになるか検討を始めている。

リニア新幹線の工事区間は、七都県にまたがる。しかし、静岡県だけが未着工となっている。

それは、後述のように静岡県知事が、怒りの抵抗をしているからだ。

県民にとって貴重な水源が奪われるのだ。反対して当然だ。

静岡県知事も断固反対!

私も、その非道を告発し続けてきた。

「……リニアは、国家の経済も破壊し、国民の健康も破壊し、さらに美しい国土までも破壊する」(「ザ・フナイ」2018年3月号)

リニア絶望の〝発ガン〟特急【健康、国家を破壊して暴走…】
船瀬俊介連載コラム マスコミのタブー100連発〈96〉(月刊『ザ・フナイ』) リニア絶望の〝発ガン〟特急 健康、国家を破壊して暴走… 地球環...

強烈な発ガンリニアは、暴走する“発ガン装置“だ。トンネル工事も暴走する国土”破壊装置”なのだ。

沿線の山梨、静岡、長野、岐阜県は、観光立県で生きている。その南アルプスをトンネルは縦走して貰く。

一帯の渓谷や山麓の景観が破壊されれば、観光客は遠のき、さらに過疎化に拍車がかかる。

これら、地方自治体の首長は、中央政府の圧力の前に、首をすくめている。

しかし、真っ向から反対を唱える知事もいるのだ。

静岡県知事、川勝平太氏だ。二○一七年一○月、声明を発表している。

「・・・・リニアの南アルプス・トンネルは、静岡県にとってデメリットでしかない。大井川の流量低下分をすべて元に戻すと約束しないかぎり、断固工事に反対する。

勝手にトンネルを掘るな!JR東海に厳重に抗議したい」

「リニア工事自休が、無謀だ!」「白紙撤回もやむなし!」川勝県知事は、記者会見で吠えた。

二○一七年一一月三○日、記者団を前に、明言した。

「……県内のリニアトンネル工事の『協定締結』するに当たり、利水者と県がJR東海に次のように求めています。

『トンネル湧水の全量を恒久的に大井川に戻すこと』。トンネル湧水は、貴重な水資源であり、当然の利です。

県はJR東海と下流の利水者との協定締結に向けた調整を行ってきた。しかし、JR東海社長みずからが『全量の定義が判らない』という認識であれば、協定の白紙撤回もやむをえない」

知事の怒りの声が聞こえてくるようだ。

しかし、交渉の場のJR東海のスッとぼけぶりにも、呆れはてる。知事ならずとも、ブチ切れるのは当然だ。

何十万もの生業を支える水

さらに、知事は観光産業への打撃を憂える。

「……南アルプス『エコパーク(環境公園)』に指定されています。そこに傷を付け、環境破壊することじたいが、しっかりとらえられていない。

大井川の水は、たんなる川の水ではありません。何十万という人たちが、生業を営まれております。そういう水です。

工事じたいが無謀です。白紙撤回に近いところまで、私たちは要求します。本当に、この工事はこれでいいのでしょうか?」

ここで会場の記者から質問。

JR東海が「静岡県内・導水路トンネル新設」施工を、大成建設と二0一七年に契約した件について、どうお考えですか?

「よくもまあ、あそこまでやったナ、という感じですね。地元の理解、利水者の理解、流量に対しての見識の不足、そうした中で、工事を発注する。『工事なんて、できっこない』と私は、思っています。この発注をしたのは、勇み足だと思っています」

知事の言莱には、大井川への愛が感じられる。

「……大井川はね、取り替えがききません。リニアは代替がある。だけど、こちらにはないんですよ。水が失われる。これによって失われる産業、あるいは生活、町、村、農場などがある。

小水力発電なども、全部だいなしになる。代替案があるルートと、全く代替案が利かない大井川という自然の賜物と、どちらが大事ですか?このかけがえのないものを、きっちり、守らなければならない」(要約)

河川の枯渇……という未曾有の自然破壊は、静岡県だけではない。

リニア工事区間全体で起きる。それは、悪夢の光景としか言いようがない。

東京都でも「井戸水が涸れたら、農業が成り立たない!」と、農民らが集団訴訟を起こしている。

二○一八年三月二三日、東京地裁で『ストップ・リニア訴訟』第九回、口頭弁論が開かれた。

町田市と相模原市から三人の原告が意見陳述した。

傍聴席は抽選で一四六人が並び、一○○の席は満席となった。

「森しいたけ園」を営んでいる森和幸さん(町田市)は、井戸水を農園と自宅の飲用水に使っている。

リニア通過地は、自宅からわずか五○メートルの距離。トンネル工事で井戸水が洞れることを心配している。

渓流が洞れ、渓谷が枯れる。それは、観光産業の枯渇だ。

旅館やホテルなど観光産業が崩壊しても、JR東海や政府は、なんの保障もしない。

それは、福島原発事故が、すべてを物語っている。


安全基準4万倍ン電磁波による発ガン性!

トンネル工事による環境破壊、爆発的に膨らむ建築費

国民を道連れにして暴走する国家!

導かれた先に待ち受けるのは、日本の破滅

リニア中央新幹線はリスクだらけ! !

≪リニア中央新幹線に乗って、底なし沼に一直線! ≫

第1章 ◆ 乗るほど、ガンのリスクは数十倍! ――強烈電磁波でガン激増、降りても続く発ガン性

第2章 ◇ 誰も乗らない。空気を運ぶだけ――発ガン恐怖に、お手盛り見積もりのバカらしさ

第3章 ◆ 爆発する建築費が、国家を爆破する――“やつら”の狙いは、日本経済の破壊だ!

第4章 ◇ 甘い汁に、たかれ、貪れ、吸いつくせ――9兆円犯罪、リニア談合やり放題

第5章 ◆ 電力は新幹線の40倍! さぁ、原発だ――ウラの狙いは原発建設、こっちでもボロ儲け

第6章 ◇ 9割トンネル、南アルプス大破壊――沢は涸れ、観光資源は壊滅する

第7章 ◆ 運転士がいない! 無人の超暴走スリル! ――未知の技術だ、クエンチ大事故を覚悟せよ

第8章 ◇ 昔、満州。今、リニア――進め1億、火の玉だ! ――「のぞみ」も時速500Km可能だ

第9章 ◆ こんなに「安い」「安全」! “エアロトレイン”――時速500km、建設費は新幹線並み、電力は3分の1

リニア亡国論
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