松の実はすぐれた強壮・強精・健脳食【松葉のエキスには動脈硬化を解消する成分が含まれている】

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森下敬一 『食べもの健康法』●松

松竹梅、カド松など、何かとおめでたいものの象徴に松が用いられている。

松に特有の効能が認められたからこその起用なのである。松葉は仙人食といわれる。

仙人とは、山中に住み、不老不死の法を得て不思議な術を使うという架空の存在である。

だが、血を汚す食べ物や過食の害から遠ざかり、深山にこもって松葉や松の実を常食しておれば、人間としての機能を極限までみがきをかけて、まさに超人的な能力をあらわすことも、不可能なことではないはずだ。

松葉のエキス中には、動脈硬化を解消する成分が含まれているらしく、動脈硬化症、および高血圧症その他の動脈硬化症の慢性病に卓効をあらわす。

松葉には葉緑素がたっぷり含まれていて、血液中の老廃物や毒素と直接結びついて、中和・解毒する。

心臓・血管病に目覚しい効果を表すのも、この葉緑素の作用に負っているところが大きいと考えられる。

また、繊維がたくさん含まれている上に、ジアスターゼも多いので、松葉をよく噛んで食べていると、頑固な便秘も解消してしまう。

同様に胃腸の弱い人、なんとなく肉体的にがんばりがきかず根気の続かない人にもよい効果が得られる。

松葉を噛んで食べるのはどうも、という人は、健康食品として調整されたもの(たとえば松源などや、松葉酒を用いても、松葉の薬効は得られる。)

松葉酒は新鮮な赤松の松葉を用いる。

きれいに洗った葉を短く切って、きれいなビンに3分の1ほど入れ、はちみつを松葉の高さの4分の1ほど加え、水をビンいっぱいに加える。

布でフタをして輪ゴムなどで止めておく。

これを毎日日光に当てていると、夏なら1週間、冬なら20日くらいで松葉が発酵して、浮き上がってくる。

別のビンに、きれいな布でこしてとると、松葉酒が出来上がる。

これを1日コップ半分ほど飲む。

酒と名がついてもアルコール分はないから、子供でも飲める。

松の実

一方、朝鮮五葉松の松かさから取れるのが、ふつうの松の実として食用にされている。

スペインや南米チリでは、松の実をよく食べる。

あの情熱と、激しいフラメンコのスタミナ源になっている、というわけだ。

ナッツ類はいずれもすぐれた強壮・強精・健脳食だが、なかでも松の実は秀逸といえる。

類脂肪と粗蛋白の質がよく、量的にも多く含まれているからである。

松の実を常食していると、確実に内臓に力がついてくる。

そのために肌はうるおいを増し、大腸内の便を適度にゆるめて排泄を促す。

さらに、脳神経機能を活性化するので、頭の回転もよくする。

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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士

お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者

東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。

新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。

独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。

著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。

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