森下敬一 『食べもの健康法』●くず粉
そして、われわれの先輩たちが、正月七日に無病息災をコメを中心とする穀物が日本人の主食となるまで、主食の役割を果たしてきたのは、これらの特性は野性味が強いことで、われわれの体のバイタリティを強める効果をもっている。
ただ、それら古代の澱粉質食品には、人体では利用できない繊維や有毒成分が含まれている。
それらを除去するための手間ヒマがかかることも、主食の座をコメに明け渡した理由の一つなのであろう。
その中でも今日まで変わらず利用されているのは、くずである。
それは、くずが日本の山野にたくさん自生していること、味にクセがないことに加えて、滋養・薬用効果が著しいために違いない。
クズ澱粉すなわち本くず粉の、最も手軽で代表的な活用法は、くず湯として用いることだ。
くず湯は、カゼの妙薬である。
特にカゼのひきはじめに、葛湯を飲んで暖かくして眠れば、ウソのように治ってしまう。
くず湯の作り方は、200ccの水に本くず粉大さじ1杯ぐらいをといて火にかけ、透明状態になったら火をとめ、しょうがのおろし汁、はちみつで味を調える。
これは、カゼ薬として有名な漢方薬・葛根湯に、優るとも劣らない効きめがある。
くず湯がカゼに卓効をあらわすのは、主に薬効成分であるダイゼンという配糖体によるもの。
すなわち、体を温め、血液循環を促進して、発汗を促すとともに、気分を落ち着かせて熟睡をさそい、疲労回復を早めるのだ。
なるべくなら、丸一日絶食して、くず湯を飲めば、さらに効果的だ。
一般には、ビールス(ウイルス)が体外から入ってくるために風邪を引く、といわれているけれど、それはウソ。
病的なビールスは腸の中で自家生産され、それが血液中に吸収される。
それで体の抵抗力の弱ったときに鼻やのどの粘膜に漂着して、炎症を起こすのである。
その証拠に過食や肉食をやめて腸内の異常発酵をおこさないようにすれば、けっして風邪などはひかなくなる。
くずは二日酔いに効くほか冷え性、肩こり、低血圧、神経痛、リュウマチの防止にも有効だから、いろいろ工夫して常食するとよい。
たとえばごま豆腐やくずモチをつくるのもよく、本くず粉でつくったくず切りを汁の実や酢の物に利用するのもよい。
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森下敬一 (もりした けいいち) 医学博士
お茶の水クリニック 院長 千島・森下学説『腸管造血』提唱者
東京医科大学卒業後、生理学教室に入り、血液生理学を専攻。千葉大学医学部より学位授与。
新しい血液性理学を土台にした自然医学を提唱し、国際的評価を得ている。
独自の浄血理論と、玄米菜食療法で、慢性病やガンなどに苦しむ数多くの人々を根治させた実績をもつ自然医学の第一人者。
著書に「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す 50歳からの食養生 」「ガンは食事で治す」など約80冊がある。