マクロビオティック one テーマ24 昔から体験的に知られていた小豆の薬効 (文)ムスビの会主宰 岡部賢二
小豆かぼちゃはマクロビオティックの食養料理の定番ですが、どんな症状に効果があるかについて見ていきましょう。
小豆と言えば、あんこやお赤飯をイメージする方が多いと思います。
小豆は脂肪やタンパク質が少なく、でんぷん質が多く、色が赤くて小粒であることから豆の中でいちばん陽性とされています。
昔から旧暦の1日(新月)と15日(満月頃)に小豆ごはんを食べる風習がありました。
また、旧暦の1月15日は年末年始と家事労働で忙しかった女性が骨休めをする小正月、女正月とも言われ、小豆をや煮物で食べる習慣がありました。
これは、漢方医学で言う赤小豆(セキショウズ)と呼ばれる小豆の薬効を体験的に知っていたからでしょう。
腎臓と形の似た小豆 腎機能を高める働きも
小豆は腎臓と形が似ていることから、腎機能を高め、腎臓病の治療に大変効果があるとされてきました。
腎臓の働きは体の中の汚いものを尿として出すことですが、小豆には「解毒排膿」という働きがあるので、中耳炎や蓄膿症、卵巣膿腫、M R S A(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)といった化膿によって悪化する症状に、小豆を用いると効果的です。
また、尿の出をよくしてむくみを取る働きがあることも知られています。
小豆にはビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCは、かんきつ類や緑茶にも含まれていますが、カリウムを多く含むため、摂り過ぎると体が冷えます。
一方、小豆のビタミンCはでんぷんでガードされたビタミンC(プロビタミンC)なので、熱や酸化に強く、体を温め、胃酸によって100%ビタミンCに合成される優れものです。
腎臓はビタミンCで活発に働きますが、冷えに弱い臓器なので、小豆やレンコン、大根、海藻、三年番茶等の身体を冷やさないビタミンCがおすすめです。
かぼちゃとの相乗効果で細胞の修復、血液の浄化
この小豆にかぼちゃを炊き合わせると、相乗効果でさらなる薬効が生まれます。
例えば、かぼちゃにはカロチンが多く含まれ、血管内に付着し、動脈硬化を引き起こす悪玉のコレステロールを洗い流してくれます。
加えて、小豆に含まれるサポニンやレシチンにも体内に滞った油脂を洗い流す洗浄力があるので、小豆とかぼちゃは最高の血管の掃除屋さんと言ってよいでしょう。
また、かぼちゃに多く含まれる亜鉛には、タンパク質を合成し、傷んだ細胞の再生や修復をする働きがあり、かぼちゃの黄色はポリフェノール(抗酸化色素)で、血管や細胞のサビ取りをして、若々しい状態に保ってくれます。
小豆に豊富に含まれる亜鉛はインスリンの原料となり、血管内に滞った血糖を速やかに処理してくれます。
このように、小豆かぼちゃが糖尿病の特効薬として用いられてきたのは、血糖値を正常化し、血管を丈夫にすることで、毛細血管の目詰まりや破裂から来る合併症を予防してくれるからです。
さらに、小豆のビタミンCはコラーゲンを活性化し、硬くもろくなった血管や細胞を弾力性のある若々しい状態に戻してくれます。
高血圧は血管が硬くなり、血液を送りだすポンプ作用が機能しなくなり、それを補うため心臓が圧力を強めることで起こります。
したがって、小豆かぼちゃを摂ることによって、血管に弾力性が戻り、高血圧を予防してくれます。
また、高血圧によるトラブルは、トイレで気張った時に起きやすいので、その対策として、お通じを良くすることも大切です。
小豆かぼちゃは食物繊維も多いので、腸壁を刺激し、便通を良くしてくれるという点でも優れています。
皮膚や臓器などのコラーゲンが萎縮する病気を原病と言いますが、コラーゲンを活性化できる小豆かぼちゃは、その予防薬としてもおすすめです。
小豆とかぼちゃが合わさると、血管を浄化して丈夫にする働きが、通常免疫の何倍にも跳ね上がると言われています。
婦人科系のトラブルに小豆かぼちゃを
女性には、本来、新月に排卵し、満月に受精するという生理のリズムがあります。
生理の時のホルモンバランスを管理しているのが腎臓の経絡なので、新月と満月の周期を用いて小豆かぼちゃを食べると、婦人科系のトラブルが整いやすくなります。
小豆かぼちゃは、生理不順や不妊症、更年期障害といったトラブルでお悩みの方にはピッタリの改善食になるでしょう。
小豆にはイソフラボンという女性ホルモンと似た働きのある成分(植物性エストロゲン)も含まれていて、亜鉛などの微量ミネラルやビタミンとの相乗作用で、内分泌の働きを強化してくれます。
作り方は、洗った小豆150グラムに昆布10cm角を刻んで鍋に入れ、3カップの水で煮ていきます。
差し水をしながら小豆が柔らかくなったところで、150グラムの一口大に切ったかぼちゃを入れ、塩をふります。
かぼちゃが柔らかく煮えたらできあがりです。
かぼちゃのない時は、さつまいもや栗、昆布で代用することができます。
糖尿病の方はねぎの白いひげ根を少し加えると効果的です。ぜひ、食薬として活用してくださいね!
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月刊「むすび」 2017年12月号より
正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。
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Profile おかべ・けんじ
大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。
日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。
2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。
著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、
「家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。
ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com