月のリズムと陰陽五行~移行周期編 【体調や精神が不安定になりやすい土用】

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マクロビオティック one テーマ37 文)岡部賢二 月のリズムと陰陽五行~移行周期編

体調や精神が不安定になりやすい土用

月が地球の周りを回る周期にも、五臓と共鳴するリズムがあり、移行周期(新月、上弦の月、満月、下弦の月の3日目の夜から4日目にかけて)は胃と臓(現代医学のすい臓にあたる )の経絡と結びついています。

この時期は、季節では年4回の土用、1日では午前3時から4時半、8時半から10時、午後3時から4時半、夜8時半から10時までの時間帯にあたります。

立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間を土用といい、季節の変わり目(前の季節のなごりと次の季節のきざし)にあたり、寒暖の差が激しく、陰陽のバランスの乱れが胃腸に影響し、体調不良に陥りやすい時期です。

また、環境の不安定さから精神的には不安や心配、考え事が多くなったり、自己否定的に陥りやすくなります。

動物性を控え少食に発酵食品も上手に活用

土用の時期は、土気(腐敗の気)が高まるので、トイレや生ごみは悪臭がひどくなり、人体では体臭が増します。

ともすると過食に陥りやすいこの時期は、腸内腐敗を起こしやすいので、少食を心がけましょう。

また、悪玉菌のエサとなる脂肪やたんぱく質を多く含む動物性食品を摂りすぎないように注意しましょう。

土用の時期と同じように、月の周期の中でも移行周期に同じような不調が出やすくなります。心身ともにブレやすいこの周期には、ご飯、味噌汁、漬物といった、365日食べても飽きない中心軸となる食べ物を摂るとよいですね。

こうした中心軸となる食事に季節の野菜を1~2品加えた素食で過ごせば、土気の影響を受けにくくなります。

腐敗の反対は発酵なので、味噌や醤油、お酢、みりん、漬物といった発酵食品は腐りにくく長期保存に耐えます。

移行周期には、このような発酵食品を活用するとよいでしょう。

さらに、土用の時期や移行周期にプチ断食を実践すると、腸内環境がすみやかに改善されます。

整腸作用のある玄米甘酒や葛練りなどを用いたプチ断食はさらに効果的です。

もし、移行周期に動物性食品を食べる場合は、豚のみそ焼きや酢豚、魚の西京焼き、サバの味噌煮やしめサバ、カキの土手鍋のように、味噌やお酢、醤油、みりんなどの発酵食品を上手に活用することで、腸内腐敗を起こしにくくなります。

ゆずポン酢や酢味噌、塩で味付けするのもよいですね。

疲れやすさにも注意

1日のうち土用に相当する上記の時間帯は低血糖状態になりやすく、甘いものが無性に欲しくなります。

そんな時には、白砂糖の入ったお菓子の代わりに、発酵甘味料である玄米甘酒や米飴、ドライフルーツ、葛湯、葛練りのようなお腹にやさしい甘みを用いるようにしましょう。

特におむすびは腹持ちがよく、精神安定効果も期待できるのでおすすめです。

我々の体は、血液中の糖質(血糖)をすい臓から分泌されるインスリンを使って細胞内に送りこみ、熱エネルギーや活動エネルギーを得ています。すい臓は人体の発電所、胃はブレーカーに相当します。

停電するとすべての電気製品が使えなくなるように、胃とすい臓の働きが弱れば全臓器の働きが損なわれます。

きついとかだるい、疲れやすいという症状があれば、停電状態が起きていると判断します。

漢方医学でいう気虚とよばれるこのような症状は、特に季節の変わり目や月の移行周期に起こりやすいです。

天然の甘みが食薬

すい臓機能の低下は、インスリンのもつ脂肪を合成する働きを損ねるので、食べても太れない、痩せの大食い、皮膚に潤いがなくなる乾燥肌、げっそりとやつれた状態を招きます。

さらに悪化すると筋力の低下から、手に力が入らない、ものをよく落とす、進行性筋ジストロフィー、胃下垂、ヘルニアといった症状を引き起こすこともあります。

そうした症状の対策としておすすめなのが、黄色くて甘みのある食べ物です。

さつまいも、とうもろこし、かぼちゃ、栗を塩味でゆでたり、蒸したり、ご飯と一緒に炊いたりすると胃の働きがよくなります。

ご飯をよく噛んだ時の甘みや、重ね煮や蒸し煮野菜の甘み、キャベツや玉ねぎ、大根などに含まれる天然の甘みが食薬になります。

土用の時期だけでなく、月の移行周期にも素食を心がけ、甘みのある食材や発酵食品をメインにした食事をしてみてください。

きっと、自己肯定感が高まり、不安や心配が減り、足るを知る心に目覚めるはずです。どうぞ素敵な移行周期をお過ごしくださいね!

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月刊「むすび」 2018年11月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

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Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com