近代医学と東洋医学の大きな違いは「未病」の概念の有無

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桜沢如一のコトバに学ぶ 第75回

「東洋医学の二大古典〜5千年前のインド医学、アーユルヴェーダのチャラカ本集と、4千年前に完成していたと思われるシナ医学の原典「黄帝内経」には、宇宙観PUの応用でアラユル病気をイロイロな草根木皮で対症的に治す方法が書いてありますが、

その前に万病を根本的に治し、同時に未病いっさいを治すというフシギナ万能薬(正しき食物療法、日常食生活原理)が第一に説かれています。

これはムシロ病気をキッカケにして万人が無限の自由、永遠の幸せ、絶対の正義を体得させる大宇宙観の技術です。

こんな医術にとっては、対症療法的な光栄は恥辱であります。」

「東洋医学の哲学」

近代医学と東洋医学の大きな違いは「未病」の概念の有無である。

西洋医学を主体とした近代医学は、大まかに言うと健康か病気かの区別しかしない。

しかし、中国医学、インドのアーユルヴェーダ医学などの伝統医学では、健康と病気の間に「未病」という考え方がある。

病気が未だ起こらない段階だが、養生が必要で、そのまま放置しておけば大病になるおそれのある状態のことだ。

中国の諺「薬補不如食補、千補万補不如食補」(いくら良い薬を浴びるほど用いても食事療法には及ばない)は、前漢時代に編纂された東洋医学のバイブルともいわれる「黄帝内経」にある言葉であるが、その黄帝内経には、

「聖人はすでに罹ってしまった疾患(已病)を治療するのではなく、未だ表面に現れていない疾患(未病)を治す」であるとか、「技術の高い医者(上工)は未病を治す」などという言説がみられる。

つまり、病気になる前の未病を治すのが名医であるとしたのだ。

これは「金匱要略」「八十一難経」などの中国医学の古典や、江戸時代の貝原益軒の著作「養生訓」などにも見出せる東洋医学の重要な概念である。

このような医書ばかりでなく、「老子」や「淮南子」といった思想書にも「発病前に治療するのが一番良い医療である」という記述が見られるのは興味深い。

病気に至る前の体の変化や変調を察知し、生き方に「気づき」を与える「未病医学」こそ本来の医道だ。

月刊マクロビオティック 2016年12月号より

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はたの たけし

1962年熊本県生まれ。

一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学特別講師。

修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年KushiInstitute勤務。

著書に「医食農同源の論理―ひとつらなりのいのち」「自遊人の羅針盤」など。

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