ファイトケミカルが体内に入ると抗酸化力や免疫力を高める【がんとファイトケミカル】

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磯貝昌寛の正食医学【第78回】がんとファイトケミカル

ファイトケミカル

私たちは穀物や野菜、海藻などの植物の命をいただいて生きています。

誰一人の例外なく、植物から命をいただかずに存在することはできません。

植物は私たち動物の母であり、命の元です。植物も動物も、健康だからこそ次世代に命を継承することができます。

人間にとって健康は、「元気」というたったひとつの言葉で言い表すことができますが、元気には様々な要素があります。

生理学的には免疫力が高い状態、抗酸化力が高い状態が「元気」の大きな要素です。

植物にはビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素の他、ファイトケミカル(フィトケミカルともいう)という栄養素があります。

ファイトケミカルは植物由来の抗酸化成分の総称です。

植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出したもので、主に植物の色素や香り成分などに含まれています。

ファイトケミカルが体内に入ると、抗酸化力や免疫力を高める働きをします。

活性酸素によるダメージから身体を守り、がんなどの生活習慣病を予防してくれます。

ファイトケミカルを多く含む食品は、なじみのあるものばかりです。自分の口に合った( おいしく感じる)野菜を毎日摂ることで、予防に大きな力を発揮します。

治療に関しても、味覚などの感覚を頼りに継続的に摂取していくと、かなり大きな治病効果を発揮します。

ファイトケミカルの多い食材として、日本人は特に大根を昔から多用しています。

大根は葉から根まで捨てるところがなく、丸ごと食べることから外用の手当てまで大いに活躍します。

食べきれない葉は干葉(天日干し)にして腰湯や半身浴、お風呂の全身浴に使うとよいでしょう。

腰湯や半身浴には大根干葉を煮出したエキスをお湯に入れて入浴しますが、お風呂に直接入れて使うのもよいです。

ファイトケミカルは植物の色素や香りに多く含まれるので、煮出したエキスを飲んだり入浴して肌や鼻から取り込むと効果的ですが、身体の酸化度によっては強過ぎることがあるので、食養の食事と手当ての原則通り「おいしい」「気持ちよい」「心地よい」干葉湯を楽しんでください。

また、腰湯や半身浴には塩を入れることが基本ですが、これも塩を入れた方が気持ちよいかどうか、試してください。

塩なしの方が温まって気持ちよい場合は塩なしの方がよいでしょう。

左の図はアメリカ国立がん研究所が発表した「がん予防の可能性のある食品・成分」です。

アメリカらしい野菜が多いですが、日本の大根を調査すれば大根はきっと上位に入ってくるでしょう。

現代に多いがんとファイトケミカル

食養によるがんの治療で症状が改善されている方々をみていると、ファイトケミカルを多く含む食材を「おいしく」感じ、多用されている人がとても多いのに気づきます。

ファイトケミカルは植物の抗酸化成分ですが、がん細胞は細胞そのものが酸化しているわけですから、これらの食材を「おいしく」感じることは当然といえます。

陰陽でみると、ファイトケミカル( 抗酸化成分)を多く含む食材は陰性のものばかりです。

それもそのはず、太陽光の働きで植物は抗酸化成分を増やすわけですから、太陽光の強い季節に育つ植物ほどファイトケミカルは増えるのです。

もちろん、ファイトケミカルを増やす要素は太陽光だけでなく、土壌の状態、水など様々な要素があります。

今後は自然栽培の野菜などにはファイトケミカルがより多いという研究も出てくるのではないかと考えています。

「がん予防の可能性のある食品・成分」でトップにあるのが、ガーリック(ニンニク)です。

ニンニクは、陰陽でみるととても陰性の強い野菜です。すりおろしたニンニクを肌に乗せると真っ赤になり、皮膚の弱い人は焼けるように痛みます。

それだけタンパク質を分解する力が強いのです。

イボなどにサッと焼いたスライスニンニクを貼ると小さくなっていくことからも、ニンニクのタンパク質分解能力が高いことがわかります。

私の食養指導の経験でも、進行性のがんにニンニクが劇的に効いたという例が少なくありません。

肝臓がんや前立腺がん等は特に陽性の強いがんですから、その効用は一層強いものがあります。

肝臓がんだったMさんは、余命半年と言われて食養に取り組みました。

私がお会いした時は体重が30㎏台ととても痩せていましたが、身体に合った食養に取り組むうちに元気になって体重も戻ってきました。

Mさんの口に合った食材がニンニクでした。

ニンニクパウダーをスープに入れたり、納豆に混ぜて食べたり、野菜の煮物や野菜炒めに調味料代わりとして使ったところ、半年で劇的に体調が好転し、余命宣告がウソのように元気になっていったのです。

あれから10年の年月が経ちますが、肝臓病の症状は一切出ず、今も元気に過ごしています。

もちろん、ニンニクだけが功を奏したわけではなく、食養の全体的な身体への調和があったからです。

とはいえ、私たちの体質改善には自分の身体を鍵穴と考えると、食材という鍵が合うものと合わないものが出てくるのも確かなのです。

自分の鍵穴に合う食材を探すことは食養の実践の中ではとても重要なことです。

自分に合っているかどうかは感覚として「おいしい」か「まずい」かです。

この感性を磨くことほど食養で重要なことはありません。

現代のがんは肉食とともに増加してきました。

ファイトケミカルを多く含む野菜やがん予防の可能性のある食品の多くが陰性の植物です。

私の食養指導の経験からも、これらの陰性の植物が効果を発揮していることが多々あります。

現代人に合った食養生の大きな参考になっています。

月刊マクロビオティック 2018年6月号より

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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)

1976年群馬県生まれ。

15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。

食養相談と食養講義に活躍。

マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。