クレーム
あちこちクレーム( 主張・意見)だらけ! 医者、政治家、教師、両親、作家、広告屋など、誰もかれもが「これは役に立つ」「これは好ましい」「これが一番だ」と主張しています。
どうしたらその意見が真実だと思えるのでしょうか?
真実とは普遍的なものであり、常に誰にでも当てはまることです。否定する人が誰もいないということです。
例えば「人間が生きるためには水が必要」ということは事実であり、真実です。
その一方、意見とは主観的なものです。前回の水に関してのレッスンで言うならば、水の種類や摂取量、濾過装置の種類など様々な意見を述べることができます。
湧水、山水、濾過水、イオン水など、たくさんの種類の水とそれに対する意見が存在します。
モノに対する意見以外にも、経験に対するものも存在します。
私の兄は高校生の時にサッカー部に所属していました。
ある暑い日の厳しい練習の後、特大サイズの給水ボトルからコップ満杯の氷水を汲んでガブ飲みし、ひどくお腹を壊しました。
彼は「氷水のせいだ」と言い、激しく練習した後は絶対に氷水を飲まないことにしたようです。
彼は私にも、自分自身が経験したことをしきりに説明していました。
意見の中には人を介して伝わるものもあります。
ある友人が水泳選手同士の会話を立ち聞きしました。彼らは水泳選手の加水作用(ハイドレーション)について話していて、水中でも脱水症状に陥ると言っていました。
片方の水泳選手は「スポーツドリンクが身体を水和させる」と主張し、他方は「煮沸水の方が効果がある」と主張していました。
このことを別の友人に話したところ、「似たような経験をしたことがある」と言いました。
彼は煮沸させて冷ました水を飲んでいました。
煮沸水を飲むことで身体が水和( 水溶液中で溶質分子、またはイオンがその周りにいくつかの水分子を引きつけて一つの集団を作る現象)し、吸収力が増して夜中にトイレに行く必要がなくなったと言います。
意見の多くは広告屋の宣伝によるものです。
水濾過装置を宣伝している会社のミーティングに参加した時、ある講演者が「検死官が死体の解剖をした際、死体の内臓が脱水していることがよくある」と発表していました。
体重比で通常よりも水分が多い人であってもそのようなことが起こるそうです。
彼は、自分の製品が人間の身体を水和化する純水を作ることに優れていると主張していました。
意見には余興(エンターテイメント)の一面があります。
役に立つこともよくあるし、感激することも時々あります。
このレッスンのポイントは「これは本当なの?」ということにあるのではなく「( そのような意見に)どう対処したらよいの?」という面にあります。
ある意見を信じるかどうか。
そしてそれに基づいて行動するかどうか。
あなたはどのように決めますか? その主張の根拠と自身が期待することを考えることも大切ですが、独学すること( 製品やその価値について学ぶこと)も大切です。
誰かに聞いた経験は、自慢話に過ぎないかも知れません。自分に何らかのメリットがあるのかどうかに注目してみましょう。
ある主張が役に立つのはどんな時なのか。その見分け方を学ぶことに意味があります。
教育を通じ、自分が理解し、確認が必要な情報を得ることができます。
すると、練習を通じて視野を広く持った上での選択をする際に、必要とされる意識を高めることができます。
まずは、クレームを分析する方法から学びましょう。今回は水を使い練習します。
Lesson 7 クレーム(主張・意見)
真実とクレームは同じではない。クレームの中から真実を見極めよう。それがあなた自身の真の人生を歩む力となる。
<エクササイズ>
水についてのクレームを確証する方法
このエクササイズを通じて、水についてのクレームを確証することができます。
前回のレッスン「水の飲み方」のエクササイズで行ったように、水を一口含んで唾液と混ぜ合わせ、じっくりと味わってみてください。
次に、その香りとこの行為がもたらす満足感を感じてみてください。飲み込みながら、胃がどう感じるのか、気持ちが良いかどうか、注意を向けてみてください。
ただ感じるだけです。この水について、何か特に感じることがあれば、それを受け入れることができるか考えてみてください。
このエクササイズを他の水でも試してみてください。
色々なものを試してみるとよいです。例えば、浄水器の水の代わりにペットボトルの水を飲んだり、水道水の代わりに煮沸水を飲んでみます。
安価な水でも大丈夫です。最初の水を味わったときと同様に、2回目の水も味わってみてください。
唾液と絡ませ、その味、満足感、口の中の感触を確かめてみてください。比較してみてどう感じますか?
特に気になった水や浄水システムに対して、何か感じたときには特によく味わってみてください。
このエクササイズは水にフォーカスしていますが、食べ物や製品についての他の意見を分析する際にも使えます。
人生という旅では無数の意見に出くわします。
毎日、生きている間はずっとそれらに出会い続けます。
私がレッスンで行っていることをあなたにもして欲しいと言っているわけではありません。
目的は「自分自身で物事を決めていけるような直感を発達させること」にあります。
意見は常に自分自身の周りにあって、それが自分に合っているのかを決定するのはあなた自身です。
どんな意見であれ、それが納得のいくものかどうかを評価するのはあなたの権利であり、責任であり、あなたの力が及ぶ範囲のことです。
こうしたエクササイズがあなたの直感を磨くことになるのです。
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Julia Ferré
北カリフォルニア在住。夫のCarl Ferréと共にGOMFを運営。
GOMF発行「Macrobiotics Today」誌への原稿執筆、毎年のサマーキャンプの運営を行う。
新刊「Food and Intuition 101」に加え、「Basic Macrobiotic Cooking」「French Meadows Cookbook」の著者。
foodandintuition-jp.jimdo.com