身体の声を聞きながら楽しく生きる【ガンとの付き合いの中でよかったこと】

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ガンの克服・支援活動で、生還実績をあげる NPO 法人いずみの会発行の会報より許可をいただき一部抜粋、転載させていただいています。


身体の声を聞きながら、楽しく生きる 神谷 喜和子さん(いずみの会事務局長)

2009年12月職場の健診で要精検となり、近くの病院で検査を受け、直腸がんと診断されました。

一人で内科に行きました。「直腸がんです。手術は外科ですので、外科に回しましょうか?」ということで外科に行き、その日のうちに手術の日を決め、手術前の検査も済ませました。

それらが終わった後、夫と上司に連絡しました。

夫は、初めて聞いたようで非常にびっくりしたそうです。上司には年度末で職場を退職することも連絡しました。

甲状腺のがんは、大腸がんで入院中にこの際だからと気になるところの受診をした結果、見つかりました。

場所が悪いのか細胞がなかなかとれなかったり、取れても検査不能だったりして、1年9か月後にやっと「疑陽性」のがん細胞が見つかりました。

紹介された病院で手術を勧められました。手術を勧められたとき、すでにいずみの会に入会していましたし、体調も良かったので、「半年ぐらい様子をみたい」と医師に告げました。

医師からは反対され、次回通院となりました。他の医師に相談したり、インターネットで調べたりして、手術はしないと決め、病院予約を電話で取り消しました。

その後、東京の治療院に少し通いました。時々検査をしてもらいますが、ガンらしきものは消えてはいませんが、大きくなってもいません。

がんと告知された時、頭が真っ白になることも死を考えることもありませんでした。これは強がりではなく、それまでの経験からくるものが大きかったように思います。

一つ目は私の今までの人生経験の中で一番苦しかった子供の不登校の経験です。4人の子供全員が不登校になった時、そのことを心から理解するのに何年もの期間が必要でした。

そこで学んだのは「自己防衛本能」ということです。

自分というものを守るために必要があって学校を拒否しており、その必要がなくなったら自分から動きだすのでそれまで、信じて待っていればいいということで信じて見守っていました。

現在、子どもたちはそれぞれに自立し、その子らしく生活しています。

不登校とガンはある意味同じだと思います。

その人がその人らしくあるのに何か不都合があるから、体が反応するのだと思います。

二つ目は、自分の力量をはるかに超える量の仕事や姑の介護・家事などを抱えており、このままでは病気になると感じていたことです。

人間関係でも疲れておりました。

その矢先に「がん」と診断されましたので「こう来たか」という感じですんなりと受け入れることができ、「まずは仕事を辞めよう」と思いました。

がんは「貴女こんなことをしていたら死んじゃうよ」というメッセージだと感じ「命が一番」と思いました。

それまでも「抱え込みすぎ」と思ってはいましたが、道理や理屈が先に立ってしまい、辞めるとか断るとかができませんでした。

がんになったお陰でやっと自分に「がんばらなくていいんだよ。楽に生きていっていんだよ」言い聞かせることができたんだと思います。

3つ目は、がんを患った後も元気に過ごしている友人が何人かいました。

中でも一人の人は抗がん剤を断り、ヨガや整膚などをやっており、「がんを患ったら、元の生活に戻ったらいけないんだよ」と言っていました。

正直なところ私にはその本当の意味を理解することはできていませんでした。今は理解できます。

そんな背景がありましたので、がんの手術や入院は不安ではなく、「神様が与えて下さった時間だ」と割り切り入院しました。

入院中も退院後もいいことがいっぱいあり、充実した楽しい時間でした。

入院前に、入院中の本を買いに行った古本屋で目に飛び込んできた本がありました。


幸せはガンがくれた―心が治した12人の記録

「幸せはがんがくれた」川竹文夫さんの本です。

題名に惹かれて購入し、入院中に読みました。いい本に出会いました。この本も私に「大丈夫」と確信を与えてくれました。

主治医の先生とは気が合い、入院中もよく話ができました。

「腸の動きが良くなるからなるべく歩くといいです。」と主治医に言われ、入院中も良く歩きました。

また、着替えを届けてくれていた娘がインフルエンザに罹ってしまいましたので、途中から屋上で、自分で洗濯をしました。

今考えるとこれもいい運動になり良かったと思います。

年末28日に退院し、正月の1日に20人近い親戚のお客様を迎えました。恒例行事です。

私の術後だからやめたらという意見もあったのですが、「脳出血後遺症で右まひのある姑のために集まってほしい」と私が頼み、皆さんに来てもらいました。

その間もなるべく少食にしていたつもりでしたが、次の日の夕方腹痛がひどく救急外来受診となりました。

「食べ過ぎによる便秘」とのこと、2日間食べずに寝ていたら治りました。それで腸の動きが悪いことがわかり、少食を気を付けるようになりました。

もともと冷え性で夏も靴下をはいて寝ていましたが、術後とにかく寒くて仕方がありませんでした。

靴下の重ね履き、入浴、足浴、湯たんぽ、ホッカイロ等々思いつく温めをやりました。これもよかったです。

入院中せっせと年賀状を書きました。

がんの先輩に「がんになりました。今後アドバイスをよろしく」と書いたところ、退院後いずみの会の20周年記念集会のチラシを送って下さいました。

運よくキャンセルがあり参加することができ、安保徹先生の話を1番前の真ん中で聞くことができました。

また「ガン絶望から復活した15人」に出ている方々が壇上に並んでくださり、お顔を拝見することもできました。

早い時期にいずみの会に出会えたのは、運が良かったと思います。

4月にはいずみの会に入会し、入会後すぐからボランティアを自分から申し出て始めました。最初は会報発送時のみ。

徐々に回数が増え、今は週1から2回事務所に出ています。

その間大半の定例会に参加し、その他の学習会にも出ました。たくさんの本も読みました。

今までどんな時もとことん納得するまで本を読んだり、催しに参加したりしてきましたので、これは私流のがんとのかかわり方のようです。

いずみの会に入り学習する中で、ウォーキングや少食、温め、心の持ち方など術後の流れの中でやっていたことが、方向として正しいことがわかり、安心しました。

中でも早朝ウォーキングは、やりだしたら気持ちがよくて、生活習慣になっています。

私は、夜9時ぐらいには眠くなるタイプで、朝は早く目が覚めます。更年期ごろから朝に目が覚めたとき何となく心が沈むような時があります。

考え出すとますます不安になります。そんな時、早朝ウオーキングは気持ちをすっきりとさせてくれます。

玄米菜食もやり始めました。玄米の炊き方を教えていただいたりしましたが、どうも家族の中でしっくりいきません。

そこでいずみの会を紹介してくれた友人に相談しました。

結果、「食べ物に善悪はなく、旬のものをバランスよく感謝してよく噛んで少食にする。」に落ち着きました。

「無理なく続けられることをやろう」と考えました。現在は精米機を購入し炊飯の前に精米しています。

基本は5分付きですが、小豆玄米ごはんが大好きなので時々圧力鍋で炊き、残りを冷凍して、食べています。

また、5年ぐらい前から味噌も手作りしています。

いずみの会で学んだことは大半やってみました。

「足裏マッサージ」「爪モミ」「ヨガ」「スワイショウ」「笑いヨガ」「靴下重ね履き」「湯たんぽ」「プハン」「快療法」「尿療法」「呼吸法」「手作り酵素」「カクリン新気功」などです。

私はいい加減で長つづきしない性分ですので、几帳面にならず適当に楽しみながらやっています。

前々から「退職後は趣味を思いっきりやろう」と思っていました。

ガンとの付き合いの中でよかったこと

がんになり、「毎日ワクワク暮らそう。命が一番」と考えがすっきりし、遠慮なく遊び歩くことができるようになりました。

術後1年ぐらいは、午後はのんびりとテレビや映画を見る生活をしていました。

1年後、夫も早期退職をしましたので、旅行やスキー、山登りに出かけるようになりました。二人で「山の会」に入り、会の仲間や友人とも出かけますし、二人でも出かけます。

もう一つの趣味はガーデニングです。

我が家の庭だけでなく、花の会に入り、ボランティアにも入り、大好きな花に接して暮らしています。

ガンとの付き合いの中でよかったことは

①がんになったことを不安に思わなかったこと。

②がんを特別なことととらえなかったこと

③自己治癒力を信じることができたこと

④いずみの会に早い時期に入ったこと

⑤いずみの会のボランティアをやったこと

⑥自分の生活に無理なく取り込めることをやってきたこと

⑦趣味の時間が沢山取れたこと。夫と共通の趣味と私一人のものの両方があったこと。などです。

この7年間は私にとって学びや出会いの多い期間でした。

今自分にとって何が大切かよく考え、シンプルに丁寧に暮らしていきたいと思います。

NPO法人いずみの会  会報161号(2016年12月発行)より

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