塩は非常に長い間活用され敬われてきた歴史ある広く一般的な調味料

シェアする

レッスン28  復習 原理:食事法の枠組み

第27〜31回までは、栄養素の他、食事に関する原則を学びました。

これらの原則を使うことであなたの健康が増進し、安定することで直感的な気づきが高まります。

今回は、別の原則である塩と味をテーマに扱います。塩は非常に長い間活用され敬われてきた、歴史ある広く一般的な調味料です。

新石器時代の人々は塩分を多く含む湧水を沸かし、塩を抽出していました。

ガンジーは、塩の生産と貿易に関する英国の専制に対抗するインド人の平和な革命の一環として、海の水を蒸発させて塩を作りました。塩は次の点においても重要です。

①風味…塩を使った料理は塩なしの料理と比べて風味が良いです。塩により食物の風味が引き出され、他のハーブやスパイスの風味を活かします。

②調理…穀物を調理するためには、少し塩が必要です。穀物にしっかりと火が通った後に塩を加えることで体内のガスが抑制されます。

③栄養源…塩には体内で必要とされる2つのミネラル(ナトリウムと塩素)が含まれています。これらは体内で他のミネラルと結合します。

ミネラルの様々な結合体が骨や筋肉を作り、体液の元になります。

④消化…塩の成分である塩素は水の中の水素と結合して塩酸になります。この塩酸が胃酸であり、消化のために胃で使われます。

⑤バランス…塩はあらゆる食物(特に穀物)に対するアルカリ形成の因子となり、体を若干アルカリ状態に維持するのを助け、酸形成の性質を持つ穀物とのバランスをとってくれます。

ナトリウムは体内の主要な電解質のひとつです。陽イオン(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム)は最適な肉体機能に必要なその他の必須ミネラル同様、未精製の塩に含まれています。

⑥十分な量…新鮮な食物の中に塩は大量に含まれていません。調理の際に少し塩を加えることで風味、バランス、欠乏分を補う必要があります。

塩を長い間使わずにいるとナトリウム欠乏症になります。

⑦発酵…多くの微生物は過度に塩分が高い環境では生きることができません。浸透圧により体細胞から水が引き出されるからです。

そのため、塩を使って野菜等の食物を発酵させたり、肉や魚などの食材を保存することができます。

Exsecise28 食事の風味

シンプルな食事を感謝していただくことと、それに固執することは全く別ものです。

大抵の人は食事に風味を求めますが、「シンプル」の意味は退屈である必要はなく、ひとつのものだけを食べることを意味するわけでもありません。

穀物は退屈なものと捉えられがちですが、それ単独で食べることは稀です。パンにバターを塗り、パスタにはソースをかけるように、食物に風味が必要なのは当たり前のことです。

病気や腹痛、寝たきりの人でない限り、粗食を摂る人はいないでしょう。赤ん坊や子どもが柔らかい食事を好む一方、大人は風味の強いものを好みます。

このエクササイズでは、様々な料理で何の食物が一緒に出てくるのかを観察してみます。

穀物に付いてくる食物は何でしょう?

料理本を読んだり、レストランや旅行中に食べた食事を思い出してみましょう。

おそらく、穀物はシンプル(時には淡白であるかマイルド)ですが、たくさんの風味(ソース、チャツネ、豆、調味料など)があるものと一緒に食べられてきたことに気付くでしょう。

他の料理がメインで、お米などの穀物が単にサイドディッシュに過ぎないことも多々あります。

次の項目に留意し、ご自身を労りながら、直感が冴えるように働きかけた食事をいただきましょう。

①原理(原則)をおさえ、何を食べるかを決めましょう。

②あなたの食事、健康、直感の土台に穀物を据えましょう。穀物は、健康的な食事を摂る際に継続的に必要な因子です。

③穀物に塩を少し加え、風味のある食物や発酵させた野菜と共に食べましょう。

ここで疑問が湧く方がいらっしゃるかもしれません。グルテンフリーやカーボフリーなど穀物の主栄養素である炭水化物を摂らないようにしている方はどうしたらよいのでしょう。

こうした食事法が流行る背景には、主に体重減効果、美容効果が挙げられます。

ところが、実際には穀物を制限すると、食物繊維や、ある種のホルモン(甲状腺など)が減り、腸内環境悪化、慢性疲労、認知能力低下が発生します。

ゼロサムゲームのように、0か1と極端に振れるのではなく、直感を通じ、ご自身の心と体に相談し、穀物摂取量を調整してみるとよいでしょう。

【こちらもオススメ】

ジャンクフードなどにより失われた健康的な食物に対する食欲を取り戻す

断食は味覚を磨き、直感を育て、食物に感謝を捧げることに役立つ

食物は歴史を紡ぐ【先祖が食べていた穀類に意識を向けよう】

月刊マクロビオティック 2019年05月号より

マクロビオティックとその料理法に関するホットな情報、健康と美を創り、生命をはぐくむための食と、その知識のご紹介、などなど・・・。

あなたの人生を豊かにする情報が毎号満載です。

サイトの方はこちらから: マクロビオティック日本CI協会

Julia Ferré

北カリフォルニア在住。夫のCarl Ferréと共にGOMFを運営。

GOMF発行「Macrobiotics Today」誌への原稿執筆、毎年のサマーキャンプの運営を行う。

新刊「Food and Intuition 101」に加え、「Basic Macrobiotic Cooking」「French Meadows Cookbook」の著者。

HP:www.JuliaFerre.com

foodandintuition-jp.jimdo.com