磯貝昌寛の正食医学【第94回】笑顔と血液と心
笑顔の習慣
習慣とは大事なものです。笑顔の習慣がないと自然に笑顔が出てきません。
顔の筋肉も、他の筋肉と同様に、日々習慣的に使っていないと硬くなってしまいます。
ニコッと笑う習慣が身についたならば、顔の筋肉は柔らかくなり、肌の血行もよくなり、若返り、美人になります。
美しい人というのは男女とわず、血行がよい人と言ってもよいでしょう。
私は数多くの人の望診( 食養相談)をさせていただいていて、笑顔の習慣のある人に肌の艶がよくキレイで、笑顔の習慣のない人にシミそばかすが多いことに気づきました。
笑顔になることによって顔の血行がよくなり、顔だけでなく全身の血行がよくなるため、シミもそばかすも消えていくのです。
もちろん血液がキレイであるから血行が良くて笑顔が絶えないということでもあります。
さらに、笑顔の習慣がある人は心も穏やかです。笑顔と血液循環、そして心は相関的なものです。
笑顔は最大のお布施といわれます。
人によい気分を与えているのです。
赤ちゃんや子どもの笑顔に触れると何とも言えない幸せな気分になります。
笑顔はさらに、人に喜びや幸せを与えているだけでなく、自分自身に最大最高の健康と幸福をもたらせてくれます。
笑う門には福来る。笑顔ひとつみても、この世とは自他一体であることに気づかされます。
笑顔で幸福を与えていながら自分に返ってくる健康と幸福。なんと素晴らしいものでしょう。
食を正してキレイな血液を流したならば笑顔が自然に出てくるのですが、凝り固まった顔の筋肉を解すのは簡単なことではありません。
最初は作り笑顔でもよいでしょう。体が本当にキレイになったならば、意識せずとも笑顔が出てきます。
そして、本当にキレイになったならば、意識せずとも正しい食をしています。意識して正しい食をするのは誰しもみな最初はそうです。
笑顔もまったく一緒です。作り笑顔がそのうちに本当の笑顔になってきます。
正しき食は顕在意識から潜在意識、そして超意識まで、すべてを浄化してくれます。
想いが先か食が先か、これはオモシロイ問題です。
どちらが先かは人によって違います。心の鍛錬から食が正される人もいれば、食を正して心が鍛えられ磨かれる人もいます。
人によって入り口は様々です。しかし、どんな入り口からであっても、人は笑顔という最高のお布施を自他に与えて生きていけるかどうか、それはどんな出口にも共通することです。
入り口はどこであっても健康と幸せの出口が一つであることはおもしろいことです。
ただ自然に
私たちは「ただ自然に」生きていれば、本来は、健康で自由で平和な生き方ができるのですが、悲しいかな、現代の私たちの体の細胞には「不自然な」ものが多分に含まれています。
PATMという病気があります。石油化学物質が体に蓄積し、ベンゼンやトルエンなどの石油化学物質の臭いが体から出ているというのがPATMという病気です。
私たちは「ただ自然に」生きることがとても難しくなってしまった時代に生を受けています。
もちろん、自然という解釈には様々あります。
石油だって地下深くに眠っていた太古の動物の死骸ですから、自然という解釈を広げれば自然であるといえなくもありません。
しかし、石油を肌に直接塗れば私たちの細胞はガン化します。
植物の油を塗ってもガン化しませんが、石油ではガン化する。
そんなシロモノを食品に使ったり、洗濯や衣料品、化粧品や香水などに使っているのです。
口や鼻、肌を通して私たちは石油化学物質に晒されているのです。
そんな時代が、明治からはじまる近代化であり、戦後日本が歩んできた工業国としての負の一面であったのです。
そう考えると、生命力( 生理学的には免疫力)を高めるものが自然で、低下させるものが不自然と言っていいのではないでしょうか。
PATMを発症していなくとも、私たちの体には石油化学物質が少なからず溜まっています。
アレルギーや化学物質過敏症、糖尿病やガンなども大きく見れば石油化学物質の
害といえます。
これらでできた細胞を排毒させることが、現代では差し迫って一番重要なことだと、私は食養指導を通して強く感じるのです。
体に溜まったこれらの毒素は、有難いかな、私たちの心身に様々な病気として表出します。これらを私たちは排毒反応と言っています。
体が痛くなったり、熱を持ったり、または逆に冷えたりします。花粉症やアレル
ギー症状である、鼻水や目のかゆみも排毒反応です。
心の面を見れば、自己中心的でワガママになったり、自己保身が過ぎて排他的になったりするのも体に毒素が溜まっている証拠です。
体においても心においても、周りの人を不愉快にするのが、排毒反応です。
桜沢如一の健康の七大条件の一つに「万事スマート」というのがあります。体に毒素が溜まっていたら、決して実現できるものではありません。
不自然なシロモノが体に溜まった現代人が「ただ自然に」生きようとすると、有難いかな、様々な排毒反応を経験することになります。
これらの経験は心身を浄化させて、私たちの本来の生命力を湧き上がらせてくれます。
人間本来の生命力は自分と他人の区別ない、自他ともに喜びあい、高めあう、それを自然に分かちあうのが命なのです。
貶めあったり、蔑みあうのは、体内の毒素を排泄しようとする排毒反応としての心理であるのです。
貶めあったり、蔑みあったりすれば、必ず当事者に困難が降りかかりますから、まさに難あり有難く、試練を経験させてもらえるのです。
排毒を受け入れる、そんな生き方が現代のマクロビオティックです。平成の時代は、昭和に輪をかけて毒素がより一層溜まった時代でした。
しかし、平成の後半は、それらの浄化にも少しずつではありますが目が向けられるようになってきました。
平成の次の時代・令和では、浄化にますます拍車がかからなければ、決して大げさなことでなく、人類の存続も危ぶまれるように感じています。
排毒の時代をいかにオモシロ楽しく歩んでいくか。それもまたマクロビオティックのひとつのアソビです。キレイになっていく時代に生きていけることこそ最大の喜びです。
月刊マクロビオティック 2019年10月号より
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磯貝 昌寛(いそがい まさひろ)
1976年群馬県生まれ。
15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。
食養相談と食養講義に活躍。
「マクロビオティック和道」主宰、「穀菜食の店こくさいや」代表。