伝統的な和食から「ワ」の原理に目覚めよう 

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マクロビオティック one テーマ (文)ムスビの会主宰 岡部賢二

『サ』から『ワ』の世界に!

直線思考で競争を生む「サ」のエネルギー

現代社会は「サ」のエネルギーが支配する社会です。

「サ」とは「三角」を表し、ピラミッドの頂点を目指そうとする考え方で、男性性とか直線思考と言い換えてもよいでしょう。

トップの座を獲得するためには、競争に勝ち抜いてその地位や権力を手に入れる必要があります。

そこから競争意識が生まれ、同じ方向性を目指すものはライバルとなり、その結果、ギスギスとした人間関係に陥り、ストレスをためていくのです。

「サ」の意識がはびこると、人間の能力は偏差値で序列化され、競争に勝った人は勝ち組となり、そうでない人を負け組として差別する意識が生まれます。

また、経済的にも格差が生まれ、やがて持てる者と持てない者との間で闘争が引き起こされます。

これが戦争であり、現在、世界的に横行するテロや犯罪を招く温床となっているのです。

合理的でなく過程を楽しむ考え方で

さらに、「サ」の思想は直線的な考え方として効率を重んじます。

無駄をなくして効率的に仕事をする、というのは一見合理的な感じがしますが、一歩間違うと手間ひまや、まごころ、ゆとりといった目に見えない大切なものが抜け落ちる危険性があります。

それがファストフードであり、大量生産の手法であり、忙しい人達(ビジネスマン)です。

時間に追われると大事なことが見えなくなります。

例えば、車のスピードが増すと視野が狭まり、景色を楽しんだりする余裕がなくなります。

人間も忙しく動いていると周りが見えなくなり、自らのイノチをすり減らし、環境を汚染しながら暮らすことになります。

反対にのんびり、ゆっくりと生活していると、本当に大切なものとは何か、が見えてくる。これをスローライフと言います。

たまには快速電車ではなく、各駅電車で景色を楽しみながら行動してみませんか。

結果さえよければ、という直線的な思考から、過程を楽しむ、過程から学ぶという考え方もあってよいのではないでしょうか。

野球でもピッチャーが直球ばかり投げているよりも、変化球を織り交ぜながら緩急をつけて投球する方がバッターを打ち取りやすいように、我々も時には忙しい生活の中で、のんびり、ゆっくり、ぼーっとする時間を持つことで、より豊かな人生が送れるはずです。

分かち合い・つながり、調和の原理の社会へ

これからの時代は「サ」の原理にかわって「ワ」の原理に変えていく必要があります。

「ワ」とは「輪」であり、○で表すことができます。

○を描く場合、中心が必要ですが、その中心を愛といいます。

○は、すべての人が手をつなぎ、共生、共存、共感していく助け合いや、分かち合い、支え合い、認め合いの世界を象徴しています。

これを女性性の原理とか調和の原理といいます。

「ワ」は同時に「環」であり、これを「きずな」や「つながり」と言ったり、環境に配慮した自然循環型の社会と言ってもよいでしょう。

「ワ」の原理に目覚める人が増えれば徐々に「和」の意識が芽生え、競争とは無縁な、和気あいあいとした和やかで平和な社会に変わっていきます。

そして思いやりやおもてなしの心に満ちた大和なでしこの女性達や、大和魂をもった男性達が増えるはずです。

では、どうすれば「ワ」の心=和心になれるのか。

それは「和」の字から分かるように「禾」(禾本科の食べもの=稲や雑穀)を「口」にする、ということで、一言でいえば米を食べることです。

桜沢如一先生は、米を食べる人びとが増えれば世界が平和になることを知っていて、マクロビオティックの食事法を世界に広めようとしていたのでしょう。

伝統的な和食から「ワ」の原理に目覚めよう

戦争反対、と訴える前に、まずは一人一人が伝統的な和食=スローフードを食べることをから始めてみませんか。

そうして「ワ」の原理に目覚める人が一人でも増えることで、不幸な戦争をなくしていけるでしょう。

よく台所は「生命の薬局」と言われますが、日々の食事作りの中で手間ひまをかけ、手塩にかけ、真ごころ込めて料理を作る。

そうすればきっと、今まで忘れていた目に見えないけれど大切なものに気づけるようになるはずです。

日本の諺に「急がば回れ」とか「負けるが勝ち」、「残り物には福がある」がありますが、これは日本人の感性のすばらしさを表しているのではないでしょうか。

なぜならそこには「我先に」という男性的な直線思考ではなく、「どうぞお先に」とう女性性的なゆずり合いの精神によって本来の幸せな境地に行けるのだという意味があるのではないかと私は思うのです。

私たちひとりひとりが、そろそろ「サ」の世界から「ワ」の世界に意識をシフトさせ、真に平和な社会を築いて行きましょう。

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月刊「むすび」 2016年02月号より

正食協会では、月刊誌「むすび」を毎月発行しています。「むすび」は通巻600号を超える息の長い雑誌です。

マクロビオティックの料理レシピや陰陽理論、食生活、子育てや健康、環境問題など幅広いテーマを取り上げています。

ぜひ、あなたも「むすび」誌を手にとってご覧になってみませんか?

サイトの方はこちらから: 正食協会

Profile おかべ・けんじ

大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。

日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。正食協会講師として活躍後、2003年、福岡県の田舎に移り住み、日本玄米正食研究所を開設。

2005年にムスビの会を発足させ、講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを九州各地で開催している。正食協会理事。

著書は「マワリテメクル小宇宙〜暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)、「月のリズムでダイエット」(サンマーク出版)、「心とからだをキレイにするマクロビオティック」(研究所)、

家族を内部被ばくから守る食事法」(廣済堂出版)、「からだのニオイは食事で消す」(河出書房)、「ぐずる子、さわぐ子は食事で変わる!」(廣済堂出版)、「月のリズムで玄米甘酒ダイエット」(パルコ出版)。

ムスビの会ホームページ http://www.musubinewmacro.com