牛乳や乳製品は本当に健康維持、増進に役立つのか

シェアする

小澤博樹 連載コラム

当たり前の事だが牛乳は本来子牛が飲むものである。子牛が成育していく為の糧となる。

そして子牛が成長し、歯が生えてくれば、牛乳は飲まなくなり、自分で草を食む様になる。草を食べるだけであの様な大きな体を作り上げる事ができる。

これこそが自然の摂理、自然の法則である。

かたや人間はどうか、とくに現代人は……。

子供が生まれると、産科医も保健婦もさかんに粉ミルク(牛乳を濃縮、乾燥させて粉末状にし、砂糖や人工の添加物を加えたもの)を薦める。

これを乳児に飲ませなければ栄養がいきわたらず成長が遅れると嘘をついて、その親を脅しつける。

その後もこの子供に対し学校給食を通して牛乳や乳製品を押しつける。

その結果、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が発症したとしてもこれらの関係者は知らぬ存ぜぬを通し続ける。

自然界では猿の子は猿の、ライオンの子はライオンの母親が授乳してその子を育てる。決して他の種属の動物から授乳されるようなことはない。

人間とペットだけが他の種属の動物の乳を飲む。人間は歯が生え揃ってからも牛乳を飲み続ける。その結果、病気になる。

動物の子が母親の乳を飲む時は必ず乳房に口を吸い付けて、できるだけ乳汁が空気にふれないようにして飲む。

これによって乳汁が空気にふれて酸化しないようになっている。これも自然の摂理だ。

人間の場合も、母親が子供に授乳する時、子供は母親の乳房に口を吸い付けて空気とふれない様にする。

しかし母乳を冷凍保存する場合、乳汁は酸化してしまうし、母親から子供に母乳を通して免疫力を伝達させることが難しくなる。

ビンやパックに入った牛乳や乳製品はすでにその生産加工過程において何度も空気にさらされ酸化をおこしている。

従ってそれを人が摂取すればその人も酸化し発病、老化しやすくなる。

昔の人は「牛乳を飲めば牛になる」とよく言ったものだ。これは迷信でもオカルトでもなく真実である。

生下時より粉ミルクや牛乳などの乳製品を摂取し続けた子供の体は牛のように大きくなっていくが、動きは鈍く鈍重になる傾向がある。その結果、飼育された牛のように奴隷の様な生活をおくることになる。

しかし母乳の出が悪いから仕方ないではないかとの反論がでそうだが、母乳が出ないのはその母親の食生活・生活習慣が悪かったというのも一因である、また、現代栄養学も大きな悪影響を及ぼしている。

ちなみにこのような場合には子供に玄米クリームや豆乳などを母乳の代わりにのませると同時に、母親も玄米菜食にすべきである。そうすれば、母乳の出も良くなる。

現代栄養学や現代医学の後押しもあってカルシウムや蛋白質の多く含まれる牛乳や乳製品は、体に良い物、健康に良い物として一般的にもてはやされている。

生産者側の社団法人中央酪農会議は次のように述べている。

「牛乳には成長と健康に必要な良質な蛋白質や脂質、糖質、カルシウム、ビタミン、カリウム、リン、鉄などが含まれ、ほぼ完璧な栄養食品である。

カルシウムは成長期の栄養補給、生活習慣病予防、脳の動脈硬化や骨粗鬆症の予防など私たちにとって大変重要な栄養源です。

成人一日のカルシウム所要量は600mg。牛乳200ml中には200mgのカルシウムが含まれており、コップ一杯で一日の所要量の3分の1を満たす計算になります。

また牛乳に含まれる良質な蛋白質や乳糖、ビタミンDはカルシウムの吸収を非常に高めてくれます。」などと、美辞麗句を並び立ててはいるが、ほとんどデタラメである。

この様に、カルシウムや蛋白質を高い割合で含む牛乳や乳製品は、人の体によいもの健康によいものとしている。

乳糖不耐性

しかし、ほとんどの民族、特に日本人をはじめとした東洋人は80~90%以上が乳糖不耐性(人は一般に離乳後、乳糖分解酵素が欠落し乳糖が分解できなくなる。離乳後、人が牛乳を飲むと下痢をしたり腹痛を起こすのはこのためである)であり、牛乳を飲めば消化機能を阻害し、むしろ体調を崩すことになる。(表1)

乳糖(ラクトース)を分解する酵素、ラクターゼの活性は新生児期にピークとなり成長とともに低下し、大人と同じレベルになる。

現代栄養学では、牛乳の成分を分析し、その中にカルシウムや蛋白質が多く含まれるから、人の骨を作るのに役立つだろうと単純に考えている。

しかし牛乳の中に含まれるカルシウムが尿、大便、汗の中にどれくらい排泄されるか、どのくらい人体内に残り吸収され、その機能をどれだけ果たしているかについては全く研究されていない。

つまり、牛乳から摂取されたカルシウムが体内で本当に利用されているのかは、明らかになっていない。

むしろ牛乳蛋白の分解産物である尿素チッ素(BUN)が尿中に排泄される際、人体内のカルシウムを奪取するため、いっそうカルシウム不足の状態を引き起こす。

また、牛乳に含まれる燐は人母乳の約6倍。燐が吸収されて血中の燐イオン濃度が高くなると、その分だけ血中のカルシウムイオン濃度は低下する。

血中の燐イオン濃度が高くなると、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨の中のカルシウムを総動員して、血中のカルシウムイオンを高めようとする。

乳幼児の骨は軟骨でできており、その軟骨内にカルシウムはほとんど蓄えられておらず、体外から燐が入ってくるとすぐに低カルシウム血症を起こしてしまう。

低カルシウム血症となればテタニー(手指足趾のケイレン、疼痛)を発症する。

成人の場合、低カルシウム血症を起こさない代わりに、骨からカルシウムが奪われる脱灰という現象が起き、尿中にカルシウムが排泄される。

乳糖不耐性のある日本人が牛乳を飲んでも、牛乳中のカルシウムは吸収されず、その上、燐がカルシウムを体や骨から追い出すので骨粗鬆症となるのである。

牛乳や肉に含まれる脂肪酸はカルシウムの人体内への吸収を阻害する。

人母乳中のホエー蛋白(乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた液体に含まれる低脂肪で良質な蛋白質)に含まれる免疫グロブリンが乳児に供給されないと感染症や病気にかかりやすくなる。

人母乳には牛乳にないビフィズス菌の発育促進因子のオリゴ糖が含まれており、これも乳幼児の免疫向上に必要である。

牛乳や乳製品が有毒だからといってカルシウムを補う為にカルシウム製剤を服用する事もまた人体にとって大きな弊害となる。

カルシウム製剤を服用して急速に血中のカルシウム濃度が上昇すると、腎臓からカルシウムを排泄しようとする。

そのため今度は反対に血中のカルシウム濃度が低下し、カルシウム不足の状態となる。これを補正しようとして、副甲状腺ホルモンが働いて人の骨組織からカルシウムを奪取する。

これを繰り返している内に骨は脆弱となり骨折しやすくなる。

カルシウムを安全に摂取するには牛乳やカルシウム製剤ではなく、海藻、野菜、玄米を食すだけで充分その目的を果たすことができる。

牛乳中にはカゼインと呼ばれる蛋白質が含まれている。これは人母乳中に含まれているカゼインとは異なり、硬い蛋白質なので人の胃酸では消化分解が大変難しい。

牛乳中のカゼインを人の乳幼児に与えると下痢をおこしてしまう。人間にはこのカゼインを分解するレンニンという酵素がないからだ。

このカゼインをうまく消化できないため、人の腸内細菌叢のバランスも崩れ、腸内で異常発酵が起こる。

そのため牛乳中のカゼインは、人のアレルギー反応やアナフィラキシーショックなどを起こしやすくする。

人の消化管内で消化分解が難しいカゼインは腸内で腐敗し、体外へ排泄されず、乳房や前立腺内に蓄積され、それらの臓器を発癌させる。

また、牛乳は動物性コレステロールや脂肪を多く含んでいるので、心臓病、脳梗塞、大腸癌などを引き起こす。

学校給食に牛乳が取り入れられたのは昭和33年から。その数年後、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患が増加し始めた。その他にも、糖尿病、白内障、骨粗鬆症、貧血、精神疾患などの病気も多発するようになった。(ホノルル大学客員教授 久間英一郎)

牛乳や乳製品を摂取することにより、人間の生殖器、乳腺、前立腺、甲状腺、下垂体などのホルモン分泌臓器に悪影響を与え、これらの臓器を変性させ、ひいては発癌の可能性もでてくる。

ヨーグルトや乳酸飲料を摂取するとその乳酸菌が人間の腸内で増殖して、保健効果があるとされているが、これら乳製品を発酵させる為に使われる乳酸菌は、人の腸内では増殖せず、もともと人の腸内にいる「腸内乳酸菌」とはまったく種類の異なるものである。

これらの微生物もその生息環境が異なれば増殖できない。

ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌はこれを摂取した人の胃酸によって死滅する。したがって、これらを人が摂取してもその人体内で繁殖する事もなく定着することもない。

従ってこれらを摂取しても人の免疫を向上させることもなく、むしろ低下させてしまう。

人の腸内で人の健康に役立つ働きをするのは、もともと腸内に生息していたビフィズス菌などの乳酸菌である。

この有用な人腸内細菌を健全に増殖させ腸内環境を整えるには、ヨーグルトや乳酸菌飲料を摂取するのではなく、玄米菜食をすることにある。

腸内のビフィズス菌など乳酸菌は玄米や野菜、海藻類に含まれる食物繊維や未精白の炭水化物によって増殖し、その機能を発揮でき、人の免疫機能を向上させることができる。

乳牛を肥育するにあたって、その成育過程で、成長ホルモン、抗生物質、消毒剤など多くの化学薬品が投与される。これらは牛乳を通じて人体内にとりこまれることになる。

これに加え、日本の厚労省は粉ミルクに30種の添加物を認可している。例えば、合成ビタミン類(石油から合成した物)、硫酸銅、硫酸亜鉛などである。

前述した牛乳や乳製品自体の人体への悪影響があるばかりではなくこれら化学物質や金属も有害である。

以上、牛乳や乳製品は人の健康維持や増進には決して役立つことはない。

【参考文献】

「マクロビオティック食事法(上)」 久司道夫、久司・アヴェリン・偕代 共著   アレックス・ジャック 編田村源二 訳   日貿出版社

「牛乳神話完全崩壊」 外山利通 著   メタモル出版

「食養生、エコロジカル・メディスン」   小澤博樹 著   綜合ユニコム

【こちらもオススメ】

人間にとって有害な食物とは何か【現代的な食生活】

診断X線検査からの発癌リスク【日本は医療放射線被ばく大国】

現代医学が処方するクスリ(化学薬品)はなぜ効かないのか

pic

小澤 博樹

1949年愛知県碧南市生まれ。1974年東邦大学医学部を卒業後、同付属病院にて消化器外科学、一般外科学を専攻。

1984年、碧南市にて小澤医院を開業し、「食養生」を基本とした代替医療を展開し、現在に至る。

現代医学そのものが金儲け主義であると批判。自らは最少の費用で最大の成果を提供しようと模索する。頑固と良心の共存した、清貧な医者である。

マクロビオテック(玄米菜食)による体質改善、免疫力・自然治癒力の向上を図り、病気を治療に導く有床診療所「小澤医院」のHPはこちら→小澤医院

主な著書に「治す医者か、ごまかす医者か―絶対あきらめない患者学」「医者ができること、してはいけないこと―食い改める最善医療」などがある。