全粒穀物を食事の土台に据える

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レッスン24 礎石

全粒穀物を食事の土台に据える

礎石とは、石積み土台の建造の際に設置される最初の石です。

その他の石は全て、この礎石を基に設置されるため非常に重要な意味を持ちます。

ここでは、この言葉を「基本的な要因」「土台」「焦点」などの意味で使います。

食事の計画を立てる、食事の摂り方をデザインする際、健康に焦点を置き基礎を作ることが重要です。

この基礎として全粒穀物が理想である理由はたくさんあります。

❶世界の大多数の人々は、食事の基礎に穀物を置いています。

アジア人は米、ラテンアメリカ人はトウモロコシ、ヨーロッパ人はパンというようにです。

私のベルギー人の友人は、天然酵母パンがない食事は物足りないそうで、日本人の友人も米のない食事は物足りないようです。

❷全粒穀物の成長は人間の進化と対応しています。

例えば、恐竜時代や哺乳類時代には穀物はありませんでした。

穀物はむしろ、近代の人間の成長に伴い登場してきました。穀物のお蔭でホモ・サピエンスは大脳を発達させ、他の種との違いが生まれたという推測もあります。

農業革命以後、人間は全粒穀物を栽培し、文明の継続的な拡大と繁栄がもたらされてきました。

❸全人口を養うのに十分な量の全粒穀物が栽培されています。環境上、穀物は面積当たり肉よりも多くの栄養を供給します。

栄養的には全粒穀物は果物よりも栄養が凝縮しており、複合炭水化物も多くまかなえます。

実用面では、比較的早く腐敗する肉やデンプン質の多い野菜と比べ、長期間、容易に保存することができます。

❹全粒穀物は世界の市場で確固たる地位を築いています。

毎日の食卓にあがる物資、特に緊急物資を届ける際に国々へ容易に運ぶことができます。

❺穀物は言語と神話との関係性を持ちます。「Meal( 食事)」という単語は、ラテン語の「mele」という「穀物」を意味する語から来ています。

「Meal 」は「measure( 尺度・計量)」の意味も持ち「穀物を計量する( to measure grains )」のように使われます。

穀物に関する神話はあらゆる文化に存在します。

人々に穀物を授けた神々の話、何らかの神々により約束された豊作などの話です。

祭りや歌はこの豊穣を祝うために進化し、感謝祭などの伝統行事として残っています。

命の継続を尊ぶものとして昔も今も穀物はあります。

❻全粒穀物は美味しく、様々な食べ物と合います。

私たちはゆっくりとグルコース( ブドウ糖)に変わっていく複合炭水化物由来の味に満足感が得られる甘みを感じ、非常に長きにわたり私たちを生き長らえさせてくれています。

礎石とは持続性と同じく、食物、そして食物と我々の関係に応用できるコンセプトです。

Exsecise24 礎石としての全粒穀物

有史を通じ、世界の多くの人々は、自分たちの食事の礎石として主食に全粒シリアル穀物を食べてきました。

世界の三大穀物は、生産量が多い順にトウモロコシ、米、小麦です。

中東ではひよこ豆などの豆類、北ヨーロッパではライ麦やオーツ麦も食べられています。

ところが、トウモロコシは遺伝子組み換えの先陣を切り、小麦はグルテンフリーブームに押され、その代わりに米が注目を集めはじめています。

トウモロコシや小麦を従来から食べてきた国や地域の人々は、米、あるいは豆を自らの穀物の柱に添えるようになりました。

遺伝子組み換えの影響のみならず、アレルギー、食べ過ぎ等の結果、様々な疾患が生じている昨今、一方では昔から変わらず残っている古代からの穀物にも注目が集まっています。

チアシードやキヌアをはじめ、アインコーン(一粒小麦)やカムートなど、古代の小麦がアメリカでも登場し、日々の生活に取り入れられてきています。

穀物の選択肢が増える中で、自分自身の身体が何の穀物を求めているのかを聴く機会を増やしていきましょう。

今日は、食事の内一回は全粒穀物を食べましょう。食事の大部分を占める形でなくても良いです。

同時に、全粒穀物をあなたの食事の礎石にすることの意味について考えてみるようにしましょう。

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Julia Ferré

北カリフォルニア在住。夫のCarl Ferréと共にGOMFを運営。

GOMF発行「Macrobiotics Today」誌への原稿執筆、毎年のサマーキャンプの運営を行う。

新刊「Food and Intuition 101」に加え、「Basic Macrobiotic Cooking」「French Meadows Cookbook」の著者。

HP:www.JuliaFerre.com

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