【風力発電を問う】風の祈り 第六章 みんなと数珠繋ぎ その2

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―これまでの経緯―

「今、状況はどうなっているのか?」
 
仁木における風車問題の取り組みは、去年の6月半ばから始まって、はや、半年余りが経過し年を越えました。時を経るごとに次第に見えることも増えてきたように思います。今回は、具体的な経緯を踏まえながら、今一歩掘り下げてみたいと思います。

地域における「合意形成」とは、住民の知らないうちに進めてしまう事?

一、自治会長だけのオフレコ説明会と戸別訪問

先ず、仁木町では、関西電力(以下「関電」)が、去年の1月と5月の2回に渡り、銀山と大江の自治会長を集め、町の住民課も立ち会いの許、風力発電の説明会がありました。
 
「このことを住民に知らせましょうか」という町内会長の質問に対して、「オフレコ(内密)でお願いします」との回答で、配布された資料も回収して持ち帰られたとの事。

その後、漏れ伝えられたところによると、関電は、銀山・大江はもちろんのこと、仁木町の有力者や立場のある人たちの所を何度も個人的に訪問し、協力を要請してまわっているとのこと。

二、「オフレコで住民不在の戸別訪問???」

しかし、皆で考えてみて下さい。この事実一つとっても、最初から不信感ばかりです。

何故、最初から正々堂々と、町民全体に公開公表できないのか。

泊原発が作られる時も、同じパターンでした。あの時は、あらかじめ、地方自治体にも、個人にも、大きなお金まで動いて、地元はがんじがらめで、反対できませんでした。

国や企業に洗脳された原発の安全信仰は、3・11の大事故が起きるまで続きました。

また風力発電についても、再生可能で安全な自然エネルギーだとか、地球温暖化を回避するためだとか、根拠のない美辞麗句を大義名分に掲げて、また、住民を混乱させています。

UNEP(国連環境計画)とWMO(世界気象機関)により設立されたICPP(気候変動に関する政府間パネル〈本部スイス〉)では、「森林面積減少が温暖化の最大の原因である」と公表している。

つまり風車は「地球環境温暖化防止にはならない」「CO2を増やす」と言及しています。

三、どこにでもある弁護士M 氏の話

メガソーラー(太陽光発電)やメガウインドファーム(風力発電)のトラブルに詳しい東京の弁護士M 氏の話によると、それは、

住民の反対運動を未然に抑える為の常套手段なのだという。

発言力のある地域の有力者を、もっともらしい理由をつけて、言葉巧みに誘導し、有力者と一般住民との間に分断を起こすこと。

それが、企業のネライであり、全国的に同じことが起きているのだそうです。

ネライ通りにその形が出来上がってしまえば、一部の住民が反対したとしても、住民全体の大きな反対運動にはなりえないからです。

環境大臣の言う「地域における合意形成を丁寧に進める」(後述)という事が、そんなことであっていいはずはありません。

四、全国的に弁護士案件になるような多くのトラブルが発生

思うに、風力発電に関して、現状を、国民の大多数がほとんど知らない。

そして、知らない間に粛々と事業が進められて、住民が気付いた時には、住民の同意を得て、法を順守した名目で、工事着工完成稼働が一挙にして終わった、というのが全国各地での現状です。

騒いでいるのは一部住民に過ぎないとの形を作って、それを無視しながら、ことが進んでいます。

結果、全国的に弁護士案件になるような多くのトラブルが発生しているのです。

五、どうしてそんなことが起きるのでしょうか

一言でいえば、企業の言う事が、誠意のない、その場逃れの善言美詞に過ぎないからです。 

一番目に大きな原因は、

再生可能エネルギーを推進することは、カーボンニュートラル(脱炭素)を実現することであり、地球温暖化を食い止めるために必要な国の施策であるという、大義名分があること。(この「脱炭素」のことは、大きな欺瞞であることを後号から解説します) 

二番目に大きな原因は、

政府が、企業が風力発電の実施許可を受けるためにクリアしなければいけない法律を「改正地球温暖化対策推進法」という規制緩和でザル法にしてしまったこと。 
 
三番目に大きな原因は、

政府が、「固定価格買取制度」(FITフィット法)という再生可能エネルギーの買取価格を破格に高く設定したことで、多くの企業が利権に群がったこと。  

四番目に大きな原因は、

政府が、三番目の赤字を、企業や国が負うのではなく、賦課金という形で電気使用者が払うような法律を作ったこと。

五番目に大きな原因は、

企業が17~20年で老朽化した風車を自己責任で撤去しなければいけないという法律義務付けがないこと(例:撤去費用に3億円掛かる場合もある)

六番目に大きな原因は、

関電が責任主体ではなく、いつでも責任逃れの出来る巧妙な投資ファンド目的のSPC(特別目的会社)というシステムを構築し、独立した運営会社を作るので、企業側にデメリットがなく、利益だけ享受できること。(運営会社が倒産しても誰も責任を取らない、という事が実際に起きています)

六、約束を守らないで、とぼける関電

前年9月22日付で、関電側に対して、当会(仁木町の風力発電を考える会)・瀬川裕人代表が、住民全体の説明会を申し入れ、関電は、10月20日付けで、農閑期に説明会を開催することを紙面を以て回答して来ました。

だが、未だに当会に、その予告の連絡は、一切届いていないのです。

のみならず、銀山の連合自治会長が関電に「学習と対話会」を要請すると、いち早く、12月9日の大江地区に続き10日に、銀山地区限定の閉鎖的な会合が開かれました。

そこで、その約束の件を代表が関電に問い詰めると、関電側リーダーは、「聞いていない、初めて知った、その書面とは何か?」という態度で、不誠実さを如実に露見しました。あの回答は何だったのか。

その後、発言したくて挙手した大勢の住民の意見を抑えて、住民集会は無理やり閉会したのです。

そのあと住民が詰め寄ったことは言うまでもありません。

今からこんなに不誠実で信頼できないのでは、これからも、信頼することは出来ません。

昨年末、関電主導の電力カルテル疑惑が新聞一面トップに出ました。

他にも毎年のように出る、書くに耐え難い醜聞。今日までの驚きの不祥事の数々を、各々お調べください。

七、野崎議員の快挙?

その10日後の12月20日(火)、《第四回定例町議会》が開催され、銀山地区の野崎明廣議員が一般質問に立ち、

「再生可能エネルギーの問題を町はどのように考えておられるのか、住民は未だ何も知らされていない。仁木町全体の住民に対して事業者からの説明会を行うべきではないか」

という要望をあげられた。

傍聴する住民の見守る中、佐藤聖一郎町長は、「実現に向けて努力する」と明言されたのです。

銀山地区の反対署名が7割も集まり、その熱意が町会議員を動かし、町会議員の熱意が町を動かした瞬間だった。

野崎議員有難うございます。ご苦労様でした。

おそらく、野崎議員の背後には、それを支える他の議員もおられることを信じています。

八、先達、当別町の お陰とその取り組み

先回に引き続き、「みんなと数珠繋ぎ」として当別町にスポットを当てます。

このように、道内で風車反対運動が起こったのは、石狩市の先人の努力に続き、当別町の皆様の努力が国政を動かしたという切っ掛けがありました。

当別、石狩、小樽、赤井川、余市、仁木、古平と、石狩湾をグルッと描いた市町村が、総ぐるみで風力銀座ともいえる凡(およ)そ総数210基、それに洋上風力1178基以上が立ち並ぶ、大被害地帯に化そうとしています。

正に、北海道史上、前代未聞の異常事態に、この地が突入しようとしているのです。

その事の重大さは、当別町民の熱烈なる反対運動が功を奏し、昨年1月24日に開かれた国会質疑衆議院予算委員会で高市早苗議員の質疑に集約されています。

九、高市早苗議員(当時政調会長)

国会質疑衆議院予算委員会(2022年1月24日)より
https://www.youtube.com/watch?v=7_IiCow7xyQ
 
Q:高市早苗 議員

岸田内閣が、令和3年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年度の電源構成は再生可能エネルギーを36から38とし、その中でも太陽光と風力が主力とされています。

しかし、昨今、各地で太陽光や陸上風力の発電設備設置への反対運動が起きていることにも留意しなければなりません。

昨年末、北海道当別町の町長と町議会議長が政調会長室までお越しになりました。

当別町では、民間事業者によって高さ156メートル以上ローター直径117メートルの巨大な陸上風力発電設備が12基も設置される計画が進んでいます。

既に昨年3月24日に経済産業省の売電認可が終わっており、事業者は再来年令和6年の着工を目指しています。

当別町では、事業予定地の森林近くに開発された住宅地に緑豊かな環境を好む若い世代の世帯が多く移住してきておりましたが、巨大な風力発電設備が設置されたら景観が悪化するとして、住宅地の方々から町から出て行くという声が上がってしまっているそうです。

事業者は昨年4月と10月に説明会を実施しましたが、町民の皆様の納得を得られず、当別町議会では昨年11月の臨時会と昨年12月の定例会で、2回にわたって風力発電事業に反対する請願陳情が全会一致で採択されました。

町長や町議会議長から伺った懸念事項は複数あるのですが、

第1に、せっかく若い世代の方々が移住してきてくださったのに、町から出ていかれると、地方創生や人口減少抑止にも逆行し、町の住民税収も減ってしまうという心配をしておられました。

総理は令和4年度予算案においても、デジタル田園都市国家構想に力を入れておられます。

大都市への人口集中から地方分散地方定住の環境づくりを目指しておられる中、当別町のように人口流出を招きかねないケースにつきまして、総理はいかなる解決策があるとお考えでしょうか。

A:萩生田光一 経済産業大臣

風力発電など事業者が大規模な再エネを導入する際に、各地域の実態に応じて自治体や地域住民の方々の御理解を得ながら進めていくことが重要です。

特に景観の問題や土砂崩れなどの防災上の懸念がある場合、自治体や地域住民の方々の御意見をよくお伺いし、適切な調整が必要となるケースがあり、こうした地域の懸念にしっかりと向き合って取り組むことが必要だと思っております。

そのため、まず景観を含めた環境に対する影響の低減策については、「環境影響評価法」及び「電気事業法」に基づき、経産省と環境省が連携をし、立地する自治体の意見を踏まえて適切に評価確認することとなっております。

加えて、再エネの適正な導入拡大を支援する「再エネ特措法」では、発電事業者に対して地元住民と適切なコミュニケーションを図ることや、所在する自治体が定めた条例を含めた関係法令の遵守を求めております。

これらの取り組みを通じ、今後も自治体や地域の御理解を図りながら、再エネが地域と共生した形で導入されていくことに取り組んでまいりたいと思っております。

Q: 高市早苗 議員

今御答弁いただいた環境影響評価法なんですが、これは環境アセスを義務づけていますが、当別町ではこの環境アセスも中国資本と関係の深い事業者が委託を受けております。

また、再エネ特措法コミュニケーションをとるということですが、残念ながらこれは努力義務でございます。

さらに、当別町の風力発電所計画では、この土地の取りまとめを行っている事業者は他県でもソーラー発電事業を行っており、その発電所は70の株式を上海電力が保有しているとのことでございます。

中国系資本と関係の深い事業者が航空自衛隊レーダー基地からおおむね35キロに位置する土地を取得していることから、町長や町議会議長の

第2の懸念事項は、国防上の問題があるのではないかということ。

第3の懸念事業事項は、夕張市のマウントレイシーのように中国系企業が転売を繰り返す可能性や、急に発電事業を止めるリスクがあるということでした。

経済産業大臣に伺います。

経済産業省が売電認可をした事業者による再生可能エネルギーに地域の電力供給を頼った場合、転売や事業停止による電力供給停止リスクはないのでしょうか。

また、そういったリスクをなくすための法制度について御紹介ください。

A:萩生田光一 経済産業大臣

再生可能エネルギーによる電源も含めて、電力の安定供給は国民安定的生活と経済活動にとって不可欠であり、日本全体で電力の供給を管理し、安定供給を確保する仕組みを構築してまいりました。

その上で、個別の事業者に対しては一般論として外国投資家による国内の発電事業への投資や別の外国投資家への発電事業の転売等に当たっては「外為法」による事前届出が義務づけられており、国の安全等の観点から厳格な審査を実施しております。

「電気事業法」では、電気の安定供給が損なわれるおそれがあり、公共利益を確保するため、特に必要がある場合には、経産経済産業大臣が発電事業者に対して供給命令を出すことも可能としております。

今後とも、電力の安定供給の確保に万全を期してまいりたいと思います。

Q: 高市早苗 議員

奈良県でも現在、太陽光発電設備の設置計画への反対運動が複数の自治体で起きております。

森林を切り開いてメガソーラーを設置することについて、議会や住民の皆様は環境破壊、水道水源の汚濁土砂災害などを心配しておられました。

土砂災害については、電気事業法でも一定の規制があることは承知をいたしております。

これまでは地球温暖化対策にも資する施策として、国土交通省は緑地の整備や屋上緑化に取り組み、農林水産省は森林を整備し、環境省も美しい自然環境の保護に力を入れてこられたはずでございます。

菅内閣時代に再生可能エネルギー推進の必要性を最も強く主張してこられたのは、環境省でございました。

メガソーラー設置のために豊かな森林の伐採が進むことによって、かえって地球温暖化が進んでしまうのではないかという疑問の声も伺ってまいりましたが、環境大臣のお考えをお伺いします。

A: 山口剛 環境大臣

確かに2050年のカーボンニュートラルに向けて再エネの最大限の導入が不可欠ですけれども、しかしながら御指摘のように太陽光発電のためにみだりに森林伐採が進めば、この自然環境あるいは景観への影響もありました。

土砂流出による濁水の発生、あるいは吸収源としての機能を含めた森林の多面的機能への影響が懸念されます。

こういう懸念が生じないように、環境に適正に配慮、あるいは地域における合意形成を丁寧に進めるということが、より適切な再エネの導入につながるというふうに認識しています。

このため、「環境影響評価法」では、大規模な再エネ事業について環境アセスメントを義務づけており、環境保全の見地から環境省としても必要な意見を述べています。

また、特にことしの4月からは「改正地球温暖化対策推進法」により、地域における円滑な合意形成を図りつつ、再エネ促進区域において適正な環境配慮を通じて地域に貢献する再エネを促進する仕組みが導入されます。

環境保全の観点からは、促進区域とすべきでない場所の考え方を提示するということも含めて、改正法を効果的に運用することによって、地域と共生する再エネ導入を促進していきます。

さらに、また、経済産業省で行われているように、この再エネの事業規律強化のための取り組みも進められていると承知しております。

関係省庁とも連携しつつ対応してまいりたいと思います。

Q:高市早苗 議員

ありがとうございます。

この改正地球温暖化対策推進法は4月からということなんですが、これ法施行前に売電認可や土地取得が終わっていても、これは適用可能でございますか。

A:山口剛 環境大臣

法律の施行は4月からですけれども、従来から地域における合意形成を丁寧に進めるということを努力義務として申しているところであります。

正式には4月からでしょうけれども、これまでの考え方の延長だと認識しています。

Q:高市早苗議員:

しっかりと目配りした運用をお願い申し上げます。
(以下、略)

十、当別町の姿勢

西当別町では、2020年8月に配慮書の縦覧が始まったが、住民は全く知らず、21年4月に初めて知った。

それから7月に会を発足して、10月には200名を越す説明会で、参加者が事業者に対して予定時間を越えてまで詰め寄った。これが、後日談に上る大変な熱狂であった。 

間もなく、町長、議長、町議会共々全会一致して反対の採決。

そして、年末、町長と議長は上京、高市政調会長に経緯説明。その後、昨年1月の国会質疑に連なり、全国公知の事実となる。

その前後の動きは、凄まじいほど活発で、全員一致した協力体制が素晴らしい。

反対署名の為、徹底して戸別訪問して地道に歩くことの重要性を終始説かれた。

十一、第6回「STOP!風車」学習会in仁木

12月17日、西当別の「風力発電を考える会」世話人代表、手代木(てしろぎ)隆二氏に、Zoomにて貴重なお話を戴きました。

いろいろと、学ぶことばかりでしたが、特に注目すべきことがありました。

環境破壊によって、鳥類が被害を受けることが、農業やワイン製造に思いのほか被害があるかもしれないという事です。その一つがこうもりだったのです。

十二、蛾の大量発生

実際、昨年晩秋、大蛾が大発生したのが、記憶に新しい。

仁木の我が家でも、夜、窓や玄関の戸に見たこともない大きな蛾が集まり、銀山の街灯にも、恐るべき数が群がったのが、不気味だった。

この蛾が、葡萄の果汁を吸う害虫で、その害虫を捕食する益獣の一つがコウモリということだ。

仁木には、コウモリは生息しないと思っていたが、銀山在住の人は、山でよく見かけることを聞いた。

既に新幹線トンネル工事により、森林が伐採され、汚泥水が溢れ、エゾ鹿が俄かに増えた。

他の禽獣にも影響がない訳はない。

コウモリも減ったので、見慣れないあの大きな蛾が大量に生き残ったのかもしれない。

風車建設により、コウモリが生息地を追われて激減すれば、被害が農産物、殊に葡萄農家を直撃するのではないかという心配が出てきた。

十三、コウモリが「潜水病」に

ところが、手代木代表がカナダからのさらに驚くべき報告があると語られた。

バードストライクで死ぬコウモリは約半数に過ぎないという。では、後の半分は? 

それは死骸の90%が内出血で、人間で言えば減圧病、つまりダイバーや飛行機の乗客に見られる潜水病で死ぬという。

タービンの近くでは気圧が下がり、そこでコウモリの肺は膨張して肺外縁部の毛細血管が破裂し、肺は体液で満ち、溺水状態。

コウモリや鳥類でさえこうである。バードストライクによる大鷲などの死はわずかしかないから、風車建設強行にはならないのだ。

見えない無数の小鳥や虫、さらに微生物群が影響を受けない訳はない。

北大のある昆虫学博士は、「膨大な数の昆虫が風力発電のブレードで死んでいるようですが、全くの調査不足でよくわかっていない状況です」とコメントしている。

見えないところで、生態系は狂わされているのだ。

循環する生態系は、食物連鎖で繋がり、どこかが崩れれば、全体が混乱する。

それは、風車が引き金ともなる。これは、農作物への嘗(かつ)てなき危機にも繋がるのだ。

十四、ボルドーの例

さらに、手代木代表は、世界のワイナリーの名産地ボルドーで、このコウモリがブドウ栽培に利用されている話題を、提供して下さった。

ボルドーワイン委員会(CIVB)が、動物と植物の生物多様性を守ることなどで、2017年に全葡萄畑の60%もが、環境認証を取得した。

フランスの野鳥保護団体(LPO)と国立農業研究所(INRA)の協力を得て、CIVBはコウモリが、葡萄の果房につくに対抗するための優秀なパートナーであることを確認する研究を行った。

この蛾は、灰色カビ病(ポトリティス菌)の進行を助長する害虫。

コウモリは一晩に、2000匹の害虫を捕食するという。

古い小屋を置き、コロニーの巣箱を設置するなど、取り組みが盛んとなった。

AOC(原産地統制呼称)が、この農業環境対策に注目してAOC規定に折り込むことを確固として公約したのだ。

好循環を生み出すパートナーシップ。

生物多様性と仁木・余市の葡萄畑とワイナリー。

低農薬・無農薬栽培も夢ではない。

風車にヒントを得て、凶を吉に代え、害を益に正し、損を得に転ずることこそ、新たなステップとステージではなかろうか。

十五、誇りある仁木・余市に

こういう前向きな姿勢で、風車を捉えるのも一方策である。

風車を阻止して、仁木・余市を第二のボルドーにしよう。

温暖化により、ボルドーも昔のボルドーの名声ではなくなった、と言われる。

国内でも、長野、山梨が高温のために、品質低下が免れなくなったと聞く。

当然、銘ワイナリーが仁木・余市に軒を連ねて、世界から押し寄せる日もそう遠くないであろう。

その地に、風車は景観的にも、生育上も、相応しくない。似つかない。

葡萄農家、ワイナリーのオーナー、これからの新規就農の若者たち、後継の若人の為にも、無傷無垢な仁木・余市を残さなくてはならない。

それは次代を託す我々の使命でもあり、大仕事でもある。

一六、地道な署名活動

当別の先輩も、「自分にできることを、できる時に、できる範囲で」を合言葉に、戸別訪問されております。

「休んでも止めない」ことの大切さ。

吉田松陰が、列強の外圧に屈せず、「在野の人よ、立ち上がれ」と呼び掛けた「草莽崛起(そうもうくっき)」の精神を精神として日々歩まれています。

私たちも歩みましょう……。

すでに国内外から13,000筆に上る反対署名を頂いています。

引き続き署名活動の継続とご協力をお願いしたいと思います。

大きな夢は、身近な一歩から始まる。

また、1月21日の当会主催の学習会には、日本チーズ界の牽引的役目を担われている新得共働学舎の宮嶋望代表をお迎えして、チーズとワインの切っても切れない発酵醸造のお話「食と発酵と環境」をお届けします。

また、3月11日には、STVどさんこワイドの料理番組でお馴染みの星澤幸子さんをお招きして、郷土料理や農業のお話を「自分を愛する生き方」と題して、お話し頂けます。

皆さんお誘い合わせの上、ご参加くださいますようご案内申し上げます。

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宮下周平

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。

自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/

無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。

世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。

産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。

現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

著書に『倭詩』『續 倭詩』がある。