ほんものの和風だしを使い和食の味わいを再び

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船瀬俊介連載コラム 月刊マクロビオティック 2002年04月号より

だしを知らないアメリカ人

10年ほど前、アメリカを取材旅行で回ったときのことだ。

「ヘルシーなジャパニーズフードをご馳走しよう」と、環境問題に熱心な若者からレストランに案内された。

おじやみたいな煮込みごはんが出された。口に運んで「ン……!?」旨くも何ともない。そっけない、というより味がない。

すすめた青年は、どうだ、うまいだろう?という顔でうなづいている。

味気ない理由がわかった。全然だしが効いていないのだ。ただ水で煮ただけなのだから、うまいはずもなかろう。

「これはだしが効いていないよ」と、教えてあげた。

「DASHI?」肩をすくめ、首をひねる。彼らは、”だし“を知らないのだ。日本文化や料理に熱心な外国人にとっても、この”だし“なるものは初めて聞く単語。

おどろいた。これも一種のカルチャー・ギャップか。

同行していた友人いわく。「船瀬さん、ブック・オブ・ダシ』を英語で書いたらどうですか?」

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「ブック・オブ・トーフ』という本が全米でベストセラーになっている。だしの本もヒットするかも……とジョークを交わしたものだ。

味の素を追放してほんだしとは?

しかし、いまや、だしを知らないのはアメリカだけではあるまい。

「ウチはお台所から味の素を追放したの」

ある奥さんが自慢気に言った。

「いいことですね。それで、おだしはどうしてます?」「ええ、全部ほんだしに変えたの」私はのけぞってしまったが、奥さんはすごく本気で「あら……ほんもののおだしでしょ」とニッコリ。

「かつお風味のほんだし」などと書かれていると「本物」の「だし」と消費者は誤認する。

じっさい、これらは味の素(グルタミン酸ソーダ)、食塩、糖分に、たとえば、かつおぶし工場から出る煮汁エキスを匂い付けに使っただけのもの(最近は、もうしわけ程度にかつおぶしを添加しているようだ)。

ほかの煮干し風味のほんだし……なども同様。

これは原料に一割本物が入っていれば、他の九割はニセモノでも「かつお」「煮干し」「昆布」など名のってヨロシイ……といういいかげんなザル規制のおかげだ。

かくしてニセだしの氾濫となってしまった。

これは、かんちがいの奥さんを責められない。こんなサギ表示を許した政府に責任がある。

だしは和風料理の決め手

さて、私は『自然流「だし」読本』(農文協)という一冊をまとめたことがある。日本人の健康回復のためには、和風料理への回帰しかない。

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これは、多くのひとびとが言っている。しかし、なかなか伝統の和風料理は、日本人のあいだに広まらない。

とくに若い世代のひとびとの食卓はシチュー、グラタン、ハンバーグ、スパゲッテイ…。ほとんどカタカナ料理ばかりに明け暮れている。

「和風料理は作らないの?」ときいても首をひねる。

「だしをキチンとやれば、美味しくできるよ」

「だし?」と肩をすくめる。あの親日家のアメリカ人と同じだ。

ひらがな料理の「だし」を現代の日本人は、わからなくなっている。これでは、家庭から伝統的な日本料理が滅びていくのも当然だ。

それは、頑健な日本人の健康が失われて行くことに通じる。

そこで、まとめた『だし読本』。ここで、私はだしの四天王をとりあげた。昆布、しいたけ、かつおぶし、煮干しーーである。


自然流「だし」読本

完全なベジタリアン料理なら、昆布、しいたけでおだしをとることになる。

ふつう、和風だしは、昆布とかつおぶしをかける。すると数倍もの風味が出る。昆布のグルタミン酸とかつおぶしのイノシン酸という両うまみ成分が掛け算される。

これをだし算と呼ぶ。

月刊マクロビオティック 2002年04月号より

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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家

著作 『買ってはいけない!』シリーズ200万部ベストセラー 九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に参加。

『消費者レポート』 などの編集等を担当する。また日米学生会議の日本代表として訪米、米消費者連盟(CU)と交流。

独立後は、医、食、住、環境、消費者問題を中心に執筆、講演活動を展開。

著書に「やってみました!1日1食」「抗がん剤で殺される」「三日食べなきゃ7割治る」「 ワクチンの罠」他、140冊以上。

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