【風力発電を問う】風の祈り 第七章 メディアが動く

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一、メディアに異変!

今年に入って、俄かにメディアが動き出した。

週刊誌に、テレビに、新聞に、コロナワクチン禍と共に、脱炭素問題を取り上げる情報が、息急(せ)き切った様に、溢れ出した。

まったく今まで、ワクチンと再エネを賛美することが有っても、否定する声は、報道機関から流れた試しがなかった。

それが、掌(てのひら)を返したように、国民に訴え始めた状況は、これから益々顕著になるものと思われる。

二、「NHKニュース」から

これは、否定というより問題提起である。

1月21日(土)、仁木町町民センターで行われた第7回「STOP!風車学習会in仁木」の新得共働学舎・宮嶋望代表の講演会の前日に、NHK札幌の朝の「おはよう北海道」でのニュースで特集「風力発電は自然と共存できる?」とのタイトルで、10分間ほど取り上げられた。

それを一部紹介したい。

二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとして注目されている風力発電にまつわるある問題について取材に当った小林デレクター。

北海道は、国内でも風力発電の先進地となって、現在970基もの風力発電が稼働している一方、こうした急増によって、さまざまな問題も出て来ています。

この日、札幌市内で行われたのは、風車の建設に異議を唱えるシンポジウム(注:「私たちの北海道を“再エネ植民地”にさせないために」)です。

建設地周辺の住民や環境問題の研究者などおよそ200名が全道各地から集まりました。

訴えていたのは風車による景観の阻害や風車の翼が風を切る音の騒音被害です。

「99・4%の住民が、建設反対という結果になりました」(当別町スウェーデンヒルズ町内会会長)

「事業者は、「住民の理解を得るために努力します」と言いますが、努力しません」(小樽余市 風車建設の中止を求める 市民団体代表)

主催者によれば、ここ3年で風力発電事業に反対する人の数が急増しているといいます。
 
「原発に代わる新たなエネルギーとして非常に良いものだと思っていたのですが、自然度の高い所であったり、国有林内であったり、場所を構わず作られることに懸念を抱きました。本当にしっかりと考えていかなければならないと思います。」(北海道風力発電問題ネットワーク 佐々木邦夫代表)

小林デレクターは、報告します。

さらに風車の建設により野生動物にも、大きな影響が出ています。

絶滅危惧種のオジロワシ。風車によって命を奪われているといいます。

こちらは、道北地方の海岸で撮影された映像です。

飛んで来たのはオジロワシ。次の瞬間、回転する翼に叩き落されてしまいました。

風車に鳥が衝突する事故、バードストライクです。

これまで、猛禽類やカモメ、鴨の仲間、少なくても87種597羽が被害に遭いました。

中でもオジロワシは被害に遭い易いことが分かっており、73羽が確認されています。

この被害の実態は、さらに深刻ではないかと実感している人がいます。

環境省の委託を受け、稀少鳥類の保護に当たる斎藤慶輔さん。

バードストライクに当たった猛禽類の治療や検死を行っています。事故の連絡がある度に、現場に向かい、事故をつぶさに見て来ました。

「飛んで逃げることが出来なくて、収容してみると、ものすごく体重が軽く、餓死寸前の状態でしたね。右側の翼の先端に骨が飛び出てしまっているような状態で・・・・・」

斎藤さんが感じているのは、報告されている事故件数は実際の被害のごく一部、氷山の一角ではないかということです。

「当たったけれども、跳ね飛ばされて見つからない。さらには、他の動物に食べられてしまうとか、雪に埋もれてしまうとか、いろんな原因で見つかっていないものが沢山いると思います。その実数というのは全く分からないと思います。」(猛禽類医学研究所代表 斉藤慶輔さん)

更に、専門家・東京農業大学生物産業学部准教授の白木彩子さんからは、バードストライクによりオジロワシの種の存続を脅かしかねないと指摘されていました。

「これがサハリンの南端になりますね。で、こちらが宗谷岬です。鳥が渡り易い、渡りのボトルネック地形というのが世界中にあるが、この宗谷岬もその一つとしてあげられ、事故が76%も集中しています。‥‥‥鳥にとって重要な場所は、十分な調査をして決定すべきです」と語ります。

典型的ボトルネック地形の道北地方で、現在、大規模な風車の建設計画が進んでいます。

環境省環境影響審査室審査官・新田一仁さんは、バードストライクの問題について、

「バードストライクの防止は、環境省のもうひとつの重要な政策である生物多様性の保全の上でも、非常に重要な課題のひとつだと認識している。専門家や地域に精通している地元の方々や自治体の方々から、広く情報を集めて意見を戴いてより良い計画にしていくことが重要だと思います」

環境省では、一昨年から調査を進めている段階です。

地中海のジブラルタル海峡も同じボトルネック地形で、過去に400羽以上の鷲が犠牲になり、そこで、夜明けから日没まで、十数人体制で、鳥が近づいてくると風車を止めると、被害は10分の1ほどに抑制出来て、かつ電力も0、5%未満に留めることが出来たという報告。

しかし、これは、多大なコストと労力がかかり、日本での導入は無理というのが実情だという事です。

そこで、結論は、「本当に自然に優しいエネルギーなら、鳥にも優しい取り組みが必要ですね」というアナウンサーの一言が印象的でした。

三、道新朝刊に、全国各地の撤回の記事

立て続けに、会後、22日(日)の北海道新聞朝刊に、『風力発電計画、道内外で撤回』との見出しで二面トップに掲載されました。

「税収は魅力的だが、企業の説明が不十分で信頼できないと判断した」と、宮城県川崎町の小山修作町長。これも仁木町と同じ関西電力が事業所。蔵王麓に風車23基を建てる計画だった。

また同県丸森町でも別社27基の計画に「土砂災害のリスクが増す」と撤回を求めている。

20年以降、宮城・山形・福島に続き、道内では伊達市が計画中止となった。

昨年9月末時点で、全国の風車事業数は148件(道内21件)。計画は倍の287件に上る。

そこで、記事は、仁木町などの64基の計画に触れ、12月の大江・銀山での一部住民説明会を紹介。

「森林伐採による農業用水への影響」「土砂災害」「風車から発する騒音」「生態系への影響」など、住民懸念の発言が相次いだとする。有志による「考える会」を発足。

国は、昨年4月施行の「改正地球温暖化対策推進法」で、市町村が「推進区域」を指定する制度を創設。

企業の区域内での事業実施の配慮を求めたが、道はそれを策定中。

しかし、北海道環境審議会からは、「国の基準の丸写しで、道の考え方が見えない」との指摘。

これは、全くその通りで、道としての意見や提案が下りず、ただ事業者の意見計画を鵜吞みにする現状である。

また、資源エネルギー庁は「対立の原因は、コミュニケーション不足」として、企業側に積極的な住民説明を促している、と。

しかし、企業側からも誠意ある回答が未だ得られず、全町民への説明会呼びかけも行われていない状況で、徒に日延べをして、次の計画に繋いで建設を合法化しようとしている。

四、関電不祥事続く

続く道新記事の中で、仁木町等には、関電側は、「売電収入の一部で基金を創設、地元農産物の販売促進に充てる」ことを検討中とあり。

また、役場広報部も、「地域貢献策として話し合ってゆきたい」と述べている。

何と、この記事の4日後、またもや関電の「顧客情報不正閲覧」の不祥事が新聞に掲載された。

昨年末、各紙一面トップを飾った関電主導の「カルテル疑惑」で、全国民の顰蹙(ひんしゅく)を買い、その口車に乗って1000億円の課徴金を払わされる中部、中国、九州電力。

この関電の裏切り行為と独り無罪放免されて、三社は関電訴訟への法的手段に打って出たばかり、舌の根も乾かない内に、又もやらかしたのである。

仁木・余市・古平町のみなさん、目を覚ましてください。相手はこの海千山千の関電なのですよ。

五、そもそも「賦課金」と「固定価格買取制度」とは

北電が3月から電気料金30%値上げ。

さらに年々値上げされる風車や太陽光発電による賦課金は、年間で平均1万2420円(300kwh/月)と、重く国民の肩に圧し掛かる。

一時、ALL電化流行(ばや)りで、安い深夜電力の蓄電システムを導入した家庭は、今一月10万円内外の電気料金を支払う羽目に陥っている。

これは、3・11の原発事故で、当時の菅直人首相が原発依存から再エネに大きくシフトを変えて、FIT「固定価格買取制度」法案に舵を切った時から、物事が狂い出した。

これに飛び付いたのが再エネ事業者だ。20年間、固定価格で大手電力会社が事業者から買い上げる政府の決定。

施設増税費も建設投資コストも易々と回収でき、ノーリスクで事業展開できる制度だ。

経産省「調達価格等算定委員会」の提案より12円も高い、孫正義ソフトバンク社長呈示の42円/1kwh(消費税込み)の言いなりに委員会は従った。

まさに法外(ぼったくり)な価格と補助金に累々と事業者は群がり、22年度は総額4兆2000億円の負担金を国民が背負わされることになったのだ。

何故、執拗(しつよう)にも怪しい事業者がこうも風車やソーラーに群がるのか、お判りいただけるだろうか。

物価高、円安で生活苦があちこちで聞こえる昨今、それでも関電の安手の地域貢献策の嘘言に載るのであろうか。

仁木町特産物は地元販売力で、外の手を借りずとも充分事足りているではないだろうか。

六、風車は、バックアップ電力が必要、本当の意味を知ってください

皮肉にも、関電不祥事記事の下に「新設火力発電は、原則脱炭素燃料」(6ページ左上記事の右)とある。

何度も取り上げたが、風車もソーラーも、独自では稼働も発電も出来ず、必ずや火力・水力のメイン電力、つまり「ベースロード電源」のバックアップがなければ送電できない。

諄(くど)いようだが、ここが、一番の要(かなめ)だ。後で説く、大国ドイツも、ここを見誤ったのだ。

風車は、風の吹いた時だけ、ソーラーは日の照る日中だけ。

無風の時、夜間の間はどうするのか。

それを同時同量、「ジャスト・イン・タイム」に保持せねば、一瞬でも減電して一定の電気量を維持しなければ、ブラックアウト総停電になる。

その為に余計な、いや再エネの何倍もの火力水力の電力を補填したり、無駄に捨てなければならないのだ。

それも、全体供給電源の僅か1%から3%の為に。つまり、利用率が13%にも満たない設備費と維持費のために、全く必要がない無駄な二重コストが掛かる。

独(ドイツ)、メルケル首相も嵌(はま)った、この分かり切った理屈や構図の罠。

これを誰が払うのか。国ではない。事業者ではない。国民の血税、我々がすべて支払わねばならないのだ。

つまり住民や国民の為には、全く何の役にも立っていない。

寧ろ、自然が破壊され、健康が蝕まれ、財産が奪われ、何のメリットもないのだ。

ただ、事業者と外資の利益のために、国民の税金が外国に持ち出され、その建設維持で益々国民は塗炭の苦しみに遭うのだ。

我々は、自然エネルギー、クリーンエネルギーという狡猾老獪(こうかつろうかい)なプロパガンダに騙されているのだ。

七、地熱はイイでしょう

日本は火山国、温泉地の地熱発電が有効ではないか、との意見も多い。

しかし、これも前途多難なのだ。

地熱の潜在力(ポテンシャル)は、世界3位と言われながら、即、商業化出来る地熱資源量ではないのだ。

それと大量の利用は、温泉湯が枯渇する懸念とCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、As(ヒ素)が溶け込んで還元井のパイプを詰まらせる為、大量の濃硫酸で中和させねばならない。

環境汚染問題が発生して単純に「自然はイイ」とはいかない、一筋縄にはいかないのだ。

特にAs(ヒ素)が36倍もの事例があるくらい、逆に自然利用が自然汚染の温床と化す危険性が、そこかしこに隠れているのだ。

誰もが、「風ならイイかも」、「陽の光ならイイかも」と思いがちで、疑いもなくイメージだけ先行して再エネを賛成したり、勧めたりする。そこが落とし穴なのだ。

風車に対して、どれほど多くの民衆が、良いものと思っている事か。

八、ドイツが、再エネ政策で地獄への道を

ドイツは、今地獄への道を猛進し始めた。

ウクライナ戦争で、初めて明るみに。ドイツのこれまでの大失策が露見した。

何故か。それは、クリーンエネルギー政策に偏重したためだ。

1990年、ソ連が崩壊してロシアが誕生した時、ワルシャワ条約機構は瓦解され、NATO北大西洋条約機構は目的を達したので解散すべきだった。

それを、さらに東に進み、ポーランドへ、バルト三国へ侵攻して遂にジョージア、ウクライナに。

ロシアがウクライナを攻めたのでなく、実質NATOが占領してロシアを追い込んだのだ。これはキューバ危機と同質の顛末だった。

これにより、ロシアからの天然ガスのパイプが絶たれた。

それは主力電力源が失われたのみならず、再エネ用のバックアップ電源としての天然ガスの供給が絶たれたため、風車も太陽光発電も全く用をなさないものになったことが、この時明らかになったのだ。

メルケル首相は、何と40%までクリーンエネルギーの美名の許に、再エネ政策を推し進めていた。

今になって、初めて6万基もの風車が、いざとなると無用の長物であったことに気付いたのだ。余りにも遅きに失した。

2015年、あの100万人移民化政策が、人道支援の同じく善意の許に推し進められた結果、3年後、テロや強姦、支援金悪用などの凶悪犯罪が急増して取り返しのつかない国内大混乱の元凶になったのと同じ構図なのだ。

環境立国を誇るドイツが現実を見余った、余りにも現実離れした理想主義は、国民に負荷を掛け過ぎる政策に陥った。

そのお陰で、ドイツ国民は、3倍の年間100万円以上の電気量を支払わされているのだ。

kw当り、石炭・石油・天然ガスは10円。だが、太陽光・風力は30円。唯々諾々と、これを国民に押し付けたのだ。

CO2が温暖化の原因であるとした国際金融資本によるNWO世界新秩序の為のプロパガンダ。

その虚構は、年々明らかになって来た。

化石燃料の埋蔵量は、50年百年に留まらず、新たな資源発見でこの40年間で1・6倍、更に増加傾向。資源回収率とCO2低排出技術は年々高度に進んでいる。

生物は、CO2と光合成が必要なのだ。

低炭素社会と称して、CO2を削減することは生物の生長を阻害し、太陽光パネルで大地を塞ぐことは光合成システムを遮断することになるのだ。

そして、毎年3%ずつ劣化し続ける太陽光パネル。その何百萬というパネル廃棄物の毒性重金属処理を、どうするのか。

20年も持たない風車の処理不能の残骸を、何処に最後持って行くのだ。

九、日本が明日のドイツに

そして、いずれ再生可能エネルギーの虚構と欺瞞が露わになり、日本は明日のドイツになるかもしれない。

経済も自然も人心も、国際金融資本と外資の思うままに荒らされ、操られ、日本は最後の草刈り場、植民地となって行く。

コロナワクチンの超過死亡で20万人も死し、これからもワクチン死が増え続け、少子化と人口激減で、日本は移民政策を取らざるを得なくなるだろう。

日本人の多くが、外国人に使われる構図は、既に始まっている。極めて現実的に、悲劇が迫っているのだ。

その引き金の一つが、中国資本が深く関わっているソーラーであり、風車なのだ。

ここで踏み留まらなければ、明日の日本はない。

十、「週刊現代」さえも告発

話を戻そう。

ついには、体制側で黙秘して来たと思われる週刊誌も、コロナワクチン被害、そして再エネ加害の問題を取り上げるようになった。

「週刊現代」にも、12月31日(~1月7日)、1月14日(~21日)号にわたって、「消費税7・5%分の国民負担増、「持続可能性」の大ウソ、日本人を不幸にする『再生可能エネルギーのデタラメ』」と題して前後編にわたってジャーナリスト岩瀬達哉氏が投稿している。

―風力、太陽光、地熱‥‥‥「再生可能エネルギー」は無条件で「善」だと思われている。

だが、本当にそうだろうか。発電所建設の実態や国が示す計画を精査した結果、余りにも杜撰(ずさん)な実態が見えて来た―

「クリーンエネルギー戦略」2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政策。

この脱炭素技術開発と再エネの安定供給に欠かせない蓄電池工場・半導体工場など、経済安全保障分野に総額150兆円を投資するもの。

20~30年後に実現できるか否かの技術で高コスト、即戦の競争力にはならない。

政府は、新たに20兆円の環境国債を発行し、今後10年間で官民協力して約130兆円を追加投資する。

償還財源は、「炭素税」カーボンプライシングだ。

この計画案(スキーム)は、民間企業は製品価格に転嫁する他なく、仮に10年で150兆円を回収するとなれば、年間約15兆円。

消費税率に換算すれば、7・5%。つまり消費税が17・5%に引き上げられたに等しいのだ。

自然エネルギーといえば、聞こえのイイ燃料費無料の理想のECO(エコ)であるかのように錯覚する。

だが、実体はとんでもない金食い虫、自然を荒らす害虫だったのだ。

丸森町では、平均風速3mしか吹かない。4mでやっと羽根が回るかどうかなのだ。

新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の「風力発電導入ガイドブック」によれば、100%発電率(設備利用率)は「20%以上あるのが望ましい」3mでは、20%も達しないどころか、最初から採算ベースに合わない自明の理をどうして発案し、受けられるのか。

仁木町とて同じだ。海岸線の寒風吹き荒ぶ余市でも年間平均2・3m。内陸の銀山ではそれ以下。

その2mそこそこの風速で、180mの巨大風車がどうして回るのか。

思考停止の空想的計画だ。更に山を削り、盛り土をしては、当然、土砂災害を誘発する。

冬場の故障メンテナンスは、雪深い山道をどうやって向かうのだろうか。

SDGs(エスディージーズ)とは、持続可能であろう。

安全性も経済性も持続可能でないものが、どうして、罷(まか)り通るのか。

住民無視の利益最優先の企業の為、どうして田舎が犠牲にならねばならないのか。

十一、早計過ぎる協定、法制化

「パリ協定」では安倍元首相が、26%減に同意。

ところが、菅義偉前首相は2030年までに2013年比で46%削減、さらに50%減と「気候変動サミット」(COP(コップ))で宣言したのだ。

その対策が先のクリーンエネ戦略だ。粗忽(そこつ)無謀にも程がある。

素人目にも、不可能であること明々白々ではないか。

鎌倉時代後期800年前に北海道に渡来して来たアイヌ民族を「先住民」と菅首相在任時に早計に法制化した経緯がある。

それ以前何万年間、北海道に在住した縄文人・擦文人はどうなったのか。

アイヌは「後住民」ではないのか。北海道史の事実を踏まえた上での法制定だったのか。禍根を残した。

また、EUが2020年5月に公表した 2030年までに化学農薬50%削減、肥料20%削減、有機農業面積25%以上という目標を掲げた「みどり戦略システム」の経緯。

2001年有機認証制度JAS法が施行されて22年。増える処か、減る一方の有機農業者。

全農家260万戸の内の1・2万戸。農地は0・5%の2・4万haに過ぎない。

これを3倍の6・3万haをどうして7年の内に増やせられるのか。

50年までに化学農薬使用量を50%減にすると。この現実味の無い宣言に、CO2削減50%の同じ響きを感じるのだ。

現実に我々有機農家に何のメリットの良き音信(おとづれ)が無いばかりか、小農業者を切り捨て、大企業農家を優遇するに必死である。

新規就農者の門戸は、閉ざされたままだ。

除草剤グリホサートや殺虫剤ネオニコチノイドなど世界中で禁止農薬在庫の最終処分場に日本だけが名乗りを挙げた。

ホームセンターには遺伝子組み換え種子とタイアップの「ラウンドアップ」が山積みされている。

本場アメリカでも恐れて使わぬ発ガン性除草剤が、家庭菜園にも撒かれている現実。

国土は汚染されて泣いている。

日本国民の健康を顧みない首長が、オーガニックを推奨する見識と良心が何処にあるのだ。

目標と現実がますます乖離して行く。余りにも粗略杜撰(ずさん)な政府方針は、机上の空論、文面の体裁だけである。

あれほど嫌った農薬塗(まみ)れの中国の農産物。今では日本の農産物の方が上回ってしまった。

十二、「再エネ栄えて、国は亡ぶ」最後の選択は、あなたに

東京大学公共政策大学院の有馬純特任教授は「急ごしらえのこの戦略は、まず実現は難しい」と専門筋も断言している。

米EUの削減目標は、その場限りの談合数合わせで、必死で努力することは毛頭ない。

首が挿(す)げ替えられれば、前言に責任なく、言ったもの勝ちという世界の裏交渉術だ。

そもそも、日本の温室効果ガス排出量は世界で3%。150兆円かけて必死に0(ゼロ)にした所で、全地球には何の影響力もない。

欧米に忖度(そんたく)して、国民にその皺寄せする日本は「再エネ栄えて、国は亡ぶ」道を、まっしぐらに突き進んでいる。

さあ、どうする日本!
このまま自滅の道を辿るか。
はたまた、再起の道を行くか。
それを決めるのは、本当に
あなたしかいない。

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宮下周平

1950年、北海道恵庭市生まれ。札幌南高校卒業後、各地に師を訪ね、求道遍歴を続ける。1983年、札幌に自然食品の店「まほろば」を創業。

自然食品店「まほろば」WEBサイト:http://www.mahoroba-jp.net/

無農薬野菜を栽培する自然農園を持ち、セラミック工房を設け、オーガニックカフェとパンエ房も併設。

世界の権威を驚愕させた浄水器「エリクサー」を開発し、その水から世界初の微生物由来の新凝乳酵素を発見。

産学官共同研究により国際特許を取得する。0-1テストを使って多方面にわたる独自の商品開発を続ける。

現在、余市郡仁木町に居を移し、営農に励む毎日。

著書に『倭詩』『續 倭詩』がある。